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プロローグ

少しでも楽しんでいただけると嬉しいです!

週に一回は更新できるように頑張ります。

どこまでも続きそうなくらい広がる雑草すら生えている気配のない荒地。


ラスボス感半端ない古城が真っ黒なオーラを放ってそびえ立つ。


(ああ、視界がぼやける、口の中は血の味しかしない、体中傷だらけでもう痛みも感じない体は思うように動かない)


その男が一歩踏み出すたびに乾いた地面に真っ赤な血が滴り落ちる。


「なあ、お前そんな、やつだったか?知らない間にらしくなってやっぱり最高だな、フハハッ、痛くないよう、にとどめを刺、してやるよ」


乾いた笑い声が響き渡る。

しかしその声には苦しさが滲む。


(ああ、そうか、まだお前は知らないのか。)


「ぐっ、ぅぐっ、フフ、ヒヒヒ」


傷だらけの男は笑いをこらえようと必死なようだが、こらえきれていない。というかモロ聞こえている。


かといってそんな男の姿に臆することもなく


「おうおう、余裕そうだね…勇者様。降伏するのかい?今なら俺の、靴を舐めたら俺の奴隷で許して、やるぞ?」


古城と同じように真っ黒なオーラを身にまとった男は続けた。


(はあ、面白くて仕方がない。そんなドヤ顔で大口が叩けるなんて、滑稽だな。ずっとお前の1人漫才を聞いていたいところだがー)


傷だらけの男は小さな声で、だがはっきりとその場にいたもの全員に聞こえる声で言った。


「その臭い口、業務用洗剤で、洗っとけ。俺のお気に入りの、靴がドブ水臭く、なって虫でも湧いたら大変だ、からな。」


((((口悪っ、どっちが魔王だよってか、傷だらけで喋る内容じゃねえ!))))

そんな周りのツッコミが聞こえそうだがこの2人には関係ない。


「勇者の信念、か何かは知らないが、そんなものに縛られて、俺に勝てるわけが、ないじゃん?バカなの?単細胞なの?お前、の母ちゃん、ゾウリムシだろだーはっ、はっはっ」


((((レベル低っ、えっなにこいつら、俺らの命こいつら次第とか嘘でしょ…))))



「俺は勇者だからな。信念に従って、何が悪い。てか、なぜ、俺がお前に負ける、と思っている?バカは、お前だろwww小学生の時、好きな子の目の前、で鼻から牛乳吹き出して魚、の死んだような目で見ら、れた挙句、同窓会で再会して、話す話題、がなかったから意を決して、その話振ったら完全に忘れて、てあまりのつまらなさに、やっぱり魚の死んだ目で見られてその、まま帰っても誰、にも気付かれずに一生を送ればいい。」


もう周りで見守っていた人は彼らのゴミみたいなレベルの会話は聞かないスキルを身につけだしていた。


「そもそも勇者さん、お前はもう戦える、ほど力はないだろ?あれだけ俺に、必殺技繰り出されたらどんな、奴でも負けるから、さ、別に、恥ずかしがることないって。諦めなよ?」


(まったく、これだから悪者は…ありがとうボス。俺を勇者にしてくれて。)


勇者と呼ばれた男の口角は上がったままだ。


バックで2人の動向を見守っていた人たちは固唾を呑んで見守っていたが、一部例外もいるようで。


「終わるな。」

「うぅっ…」

「やっべ、Nステ録画してねぇ、今日、まみたん出るんだよな…」

「甘いもの食べたい。今すぐ食べないと禿げそう。」

「みんな元気なんだね…」

「Zzz......」


彼らも体中には目に余るほどの無数の傷を負い、その痛ましさは先ほどまでの戦いの激しさを物語っている。


それにしてもーー


(((…っるせぇよっ!なんでこの人たちはこうもマイペースなわけ!あんたら仮にも守神の子孫だろ…)))


彼らの存在がこの国の民のストレス性胃腸炎の原因に挙げられそうだがそれはまた、おいておこう…


魔王と勇者も軽口を叩いてはいるもののやはり余裕があるわけでは無く。


誰がどう見ても魔王の方が優勢だ。

あれだけ必殺技を繰り広げられてしまっては…しかし民には信じるほかなかった。

この口の悪いボロボロの勇者を。

悪口も心の広さも小学生レベルだが彼は民を救わねばならなかった。

勇者として。


「なあ魔王、いや、榊。お前はさっき勇者の心得を、馬鹿にしたが、内容は、知っているのか?まあ、知るはずもないか。魔王だもんな。」


「勇者の心得なんて知ったところでなんだっていう?心得は、所詮気持ちの在り方だろ、笑わせる」


「そうか、そうだよな。良かったよ、

お前が心得を、信じなくて。だから、俺はお前に勝てる」


「だから、この状況で、勝てるとか、まじないから笑この国の民は懲りもせずに、お前のこと、信じている、ようだけどね」


「ああ、そうさ。俺はもう体力も、気力もお前よりない。あと一度、必殺技を食らったらその時は、完全に俺の負けだ。だがな、お前はひとつ、間違いを犯した。どうせ、何かわからないだろうから、教えてやるが、必殺技の意味を履き違えるとは、今世紀最大のミスだな!まったくもって、合理的でも、効率的でもないな!」


「履き違える?合理的?ついに脳みそやられたか」

相変わらず余裕綽々の魔王。


民は願った。

どうか我らが勇者に軍配があがることを。

この戦いに幕を閉じ、平和な生活が戻ることを。


ーー勝て、勇者。俺たちはお前を信じている


そんな民の願いの叫びが糧となったのか。


勇者はふらつく足に力を入れ、ありったけの声で叫ぶ。


「ーーーーーーーーーーーーーーー!」


辺り一面に銀色の光が差し、爆発的な風が巻き起こる。


勇者の髪は美しい長い銀髪、目は深い藍色から琥珀色に変わり勇者は今までの怪我など忘れたかのように魔王に突進する。光を放ちながら、まるで鳥のように美しく滑らかに、そして龍のような力強さと圧倒的な威力で魔王に剣を振り下ろす。

誰もがその姿に見惚れ、目の奥に焼き付けたことだろう。


民はその姿を後にこう語ったとか。


【その勇者真の勇者なり。






…とは言えどもあれはない。(ブフォォ)】


あれの部分はせめてもの勇者の威厳を保つために誤魔化されたらしい。だがどうしても何かに残したかったようで、百歩譲って"あれ”

で収まったのだとか。



《必殺技とは必ず殺す技なり、必殺技の使いどころを見極めし者、真の勇者となろう》


『勇者の心得vol.8 』より


俺は勇者だ。

合理的に効率的に俺は勝つ

今までまこれからも。


たとえ必殺技を使うたびに俺の心が折れたとしても…!



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