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劇が終わってから

急いで書いたので誤字脱字多そうです……すいませんっ!



 なんとか開演二分前。

 委員長と並んで、わりと見やすい席を取ることができた。

 確かに、なぜか取られず、そしてよく舞台が見える席だ。


「確か演劇部の二軍がやるんだっけか。ミュージカル調だっけ?」


「ええ、そうね。『不思議の国のアリス』を時間内におさめて、しかもミュージカル調でやるというのだから面白そうだわ」


「そういえば、~のアリスってもうひとつなかったっけか」


「それは鏡の国のアリスね。……そろそろ始まるみたいよ?」


 委員長がそう言うと同時に照明が落ちる。

 幕が開き、野原とアリス役の子が出てきた。

 そして、アリスの前をウサギの仮装をした男子が走っていく。

 あ、ほんとだ。急いでるウサギにちゃんと見える。二軍は下位メンバーじゃないのは本当なんだな。


 そんなことを考えているうちに、劇は進んでいく。


◇ ◇ ◇


 体育館をでて、少ししたところのベンチに委員長と並んで座る。

 委員長はには、よい劇を紹介してくれたお礼にと飲み物を買った。リンゴジュースを飲みながら話をする。


「なかなかちゃんとしてたな。まさか、最初の懐中時計が伏線になってると思わなかった」


「本来の『不思議の国のアリス』とは当然改編してあるわよ。劇の時間内で終わらせなければならないし、何より二軍の脚本の人はオリジナルが大好きなのよね」


「ほんと詳しいんだな。さすが委員長」


「二軍の脚本は同じクラスの人よ? クラスメイトの事ぐらい覚えておきなさいな」


 マジか、全然知らなかった。クラスメイトは数人しか話さないし、仕方ない部分も多少はあると思いたい。

 委員長はこれ見よがしにため息をついている。


「湊君はほとんど拓真君としか話さないものね。他にクラスメイトのことどれだけわかるのかしら?」


「んー、どうなんだろうな……」


「新島くんは?」


「いつも騒がしい黒いやつ」


「……若菜さんは?」


「茶道部の人だっけ。作法教え込まれるときに名前わからなくて困ってたら名前も教え込まれた」


「なら、私は?」


「……委員長様?」


 どう答えたら正解なのかわからない。下手なこと答えたら拓真みたいになるのは目に見えてるしな。

 と思ってたらまたため息つかれた。


「そういえば、湊君の明日以降の予定は……由梨菜さんと見て回るんだったわよね?」


「おう。一年分多く知ってるからな、見所のある部活とかを教えてあげられたらな、と。……後夜祭のファイアーダンスのお誘いもしなきゃな」


「私に教えられているようで大丈夫なのかしら。むしろ由梨菜さんに教えられていそうなのだけれど?」


 言葉につまる。

 まあ、由梨菜ちゃんとしてるからな。隠れた名店とやらがあるのかすらわからない。その辺のリサーチをしてから由梨菜のクラスに……あっ。


「ご、ごめん委員長、行きたいところがあるから行ってもいいか?」


「あら、どこにいくの?」


「由梨菜のクラス。他のところ見て回ってからいこうと思ってたんだけど、劇で一時間近く経ったからそろそろ由梨菜の所行きたい」


 委員長はそこでクスッと笑った。上品な美人系の人がやると恐ろしく似合うな。

 そして、仕方ないわね、とでも言いたげに手で追い払う動作をしている。


「あら、なら早く行った方が良いのではないかしら? もらうものは貰ったし行っていいわよ」


「無駄に様になるS発言にビックリする……けどまあ、ありがとな委員長」


「お礼はリンゴジュースとして貰ったわ。ほら、はやく行ってあげなさいな」


「おう。たまには(・ ・ ・ ・)その口調(・ ・ ・ ・)を素(・ ・)に戻して(・ ・ ・ ・)気楽に楽しめよー!」


 手を振る委員長に背を向けて、いざ由梨菜のクラスへ。

 すごく楽しみだ。未だに内容を教えてもらってないからな。


◇ ◇ ◇


「……うるさいよ、もう。崩すのは湊君と二人だけの時だけだよ」


 誰も知り合いが近くにいないのを確認して、わざと音をたててリンゴジュースを吸い込む。パックが握る形にへこんでいく。

 さすがにゴミ箱に投げ捨てるわけにはいかないから、と立ち上がって歩き始めた。



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