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女心を知りたくて、またヒロインの攻略を始める

ゆるゆる更新です。お許しくださいませ。

また、タグのR15は一応つけてあるだけです。



「先輩っ!」


「ユリナっ!」


 俺の元に走ってくる、黒髪ロングの眩い聖騎士鎧に包まれた少女。

 魔王を討つために、一時的に二手に別れて行動し、各々魔王の右腕と左腕の魔人を倒したところだ。

 お互いに接戦だった。

 そして、ようやく会えたのだ。


「先輩──」


 俺の胸のなかに飛び込んでくるユリナ。

 あぁ、この柔らかさに触れたいと何度願ったことか。

 俺はしっかりユリナを抱き締めた。


「なあ、ユリナ──」


「──さよなら♪」


「……え?」


 抱き締めたユリナが、笑顔で。

 その手に握られた、聖騎士鎧に似合わない禍々しい力を帯びた短剣を俺の胸に突き刺していた。


「きゃはは、騙されたー! ほんっと間抜け! アハハハハッ!」


 腹を抱えて、俺を指差しながら笑うユリナ。

 ユリナを見上げたまま、俺の視界が暗転した。








 ──DEAD END──









◇ ◇ ◇



「おはようございます、先輩」


「おう、おはよう由梨菜」


 登校する電車の中。

 隣の駅故で、部活も同じ。

 そんな後輩の由梨菜と、狭い車両の中揺られていた。

 由梨菜は、黒髪ロングの、すれ違えば誰もが振り返るような美少女だ。

 部活で話すようになり、行き来が同じで話しているうちにかなり仲良くなれたは良かったのだが、いかんせん学友の目がキツくなった。


「ふぁぁ……」


「先輩、眠そうですね」


「あぁ、昨日あまり寝れてなくてなぁ」


「また、あのゲームやってたんですか?」


 あのゲーム……そう、俺が黒髪ロングの美少女後輩ユリナに短剣で殺されたVRMMOだ。


「しかも、またレベル1に戻ってましたよね」


「うっ」


 あのゲームは、ゲーム史始まって以来の鬼畜ゲーとして有名である。

 それにはいくつか理由があるのだが、それの最たる物が、デッドエンド=レベルや熟練度オールリセットという物だ。

 ボスに挑むため等の死に戻りをしようものならその時点で最初の町からやり直しだ。

 しかも、その過程でヒロインをおとさなければならないという。

 コミュ症の人はこちらこそ鬼畜要素というらしい。


 そんなシミュ(・ ・ ・)レーション(・ ・ ・ ・ ・)ゲーム(・ ・ ・)はやはり売れ行きが良くないのか、ほかのVRMMOをやりこみすぎてやるものの無くなった廃人がチマチマやっている程度だ。


 では、なぜ俺がそんなゲームをガチ勢としてやり込んでいるかと──


「……んで、そろそろお返事は貰えそうなのかな?」


「ッ……! すいません、もう少し、もう少し待ってください」


 この後輩に告白しているからだ。

 

 もちろん、というか、なんというか。


 可愛い。


 そして話してみると、家事できる、性格もよし、頭もいい。

 空気も読めるetc……平たく言うと、惚れたのだ。

 

 夏休み始まる頃にはかなり仲良しになっていて、夏休み中は積極的に勉強会を二人でしたりした。

 そして、七月最終日の夏祭りの日。

 花火の照らす中、告白した。


 由梨菜の噂を聞くと、やはり容姿その他からよく告白されるらしい。

 そして、大抵即断るとか。


 その事実はわかっていた。

 部活や、登下校で空気が悪くなるのは嫌だったが、恋心が抑えきれず告白した。

 想いを伝えきった時に我に帰り、あぁ、終わった……と思ったのだが。

 何を思ったのか、由梨菜は顔を赤らめ、うつむきながら「もう少し、待ってください」と言ったのだ。


 それから約一ヶ月。今は九月の初めだ。

 未だ返事は聞けていない。


 そして、告白したときと同じ頃。

 鬼畜シミュレーションゲーム、『アンダーワールド・リフェリアオンライン』が開始された。


 そこで、俺は見つけたのだ。


 黒髪ロングの、後輩ヒロイン"ユリナ"を。


 俺が返事を貰えないのは、由梨菜の心がわかってないからかもしれない。

 そう考えた俺は、ユリナだけに狙いを絞り攻略を開始した。


 攻略サイトで他のヒロインの攻略情報が流されるなか、ユリナだけが誰も攻略できていなかった。

 あまりにもひどいバッドエンドを迎えること、ルート分岐をどれをしても今のところクリアできていないこと。


 他のプレイヤーが諦めて他のヒロインを攻略する中、俺だけがユリナを攻略していた。


 そして、由梨菜にもその事は伝えてある。

 本気だと示すために。


 それを、やめろと言うかと思ったのだが、由梨菜はまたしても顔を赤らめて、「……頑張って下さい」と言った。

 そして、その攻略状況を見てもらうために、由梨菜にアンダーワールド・リフェリアオンラインをやろうと持ちかけた。

 ユリナの攻略状況を、本気度を見てもらうために。

 それを由梨菜は了承し、同じようにプレイしている。


 そして、昨夜──由梨菜はユリナに殺された俺がレベル1に戻ったのを見たのだろう。


 性格的にクールな一面も持つ由梨菜は、もう少しキツくなにか言ってくると思っていたのだが、いかんせん自分に関する事だからか、特に何も言ってこない。


「……今夜、またユリナ攻略するために頑張り始めるからさ、助けてくれ」

「私はレベル102ですし、構いませんが……程ほどにしてくださいね」

「それは断る」

「なんでですか」

「由梨菜を落としたいから」


 ……あ、やべ、直球過ぎた?

 由梨菜固まってる。



『次の駅は、○○~、○○~。お降りの際はお足元にご注意ください~』


「……先いきますね、先輩」


「なに言ってんの、俺も一緒に行くよ」


 早足になる由梨菜を追いかけて歩く。

 由梨菜が早足になる……実はものすごい怒こってる?

 等と思いながら、その揺れる黒髪に追い付いた。



説明:デットエンド=オールリセットについて


アンダーワールド・リフェリアオンライン(以下AWL)では、原則死亡=オールリセットです。

ですが、もちろん途中の宿屋等セーブポイントもあります(じゃないとゲームおとす度にやり直しという欠陥ゲームになるので当然ですが)。

よって、抜け穴というわけではありませんが、やり様によっては死んでも前回セーブポイントからやり直しは可能です。


ではなぜ主人公は1からなのか、といいますと

やり直し回避のために回収しなければならないフラグがものすごく前の方であることがAWLではあります。

なので、その可能性を考えると1からということになります。


長々と失礼しました。

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