はじまりー出会いそして別れ
不気味な寒気と暗闇が僕を包んでいる…。人の気配はない。そりゃそうだ。ここは死体保管庫。僕の寝床だ。別に死んでるわけじゃない。生きている。だが毎日ここで食事をしたり睡眠をとったりしている。言わば僕の家だ。5歳の頃親から捨てられた僕はただ一人街を歩いていた。そのとき僕はある男と出会ったー
彼は名高い暗殺グループのリーダーで裏の世界ではよく知られていたらしい。その男は僕の人並みはずれた運動神経に目を付け暗殺グループに入れるべく毎日暗殺の修行をさせた。たくさんの暗殺技術を教わった僕は暗殺グループではなく対暗殺者狩猟グループに属していた。なぜこのグループに入ったのかは覚えていない。ただ一つだけ覚えている事がある。それは僕に暗殺技術を教えてくれた師匠の事だ。死んだ。と言うか殺した。あの頃の僕は暗殺技術を学んでいると言うことをしらなかった。しかし最後の修行のとき【首の上手い落とし方】と書かれたボードが目の前にだされた。このとき僕は気づいた。自分が人を殺す技術を教わっていたことを。その瞬間、僕の頭は真っ黒になった。気づいた頃には目の前に広がった残酷な風景。バラバラになった師匠。片手には師匠の親指を握りしめていた。驚いたのは僕は素手で師匠を殺した事。素手で師匠をバラバラにした事。師匠を殺した後体がひどく震えた。どうやら体内に恐怖と言う何かがはしった。それと空腹だ。それだけ動いたのだろう。これまでに経験したことのない空腹だ。耐えられなかった。だから。ダメなことはわかっている。だけど耐えられなかったから食べた。師匠を。夢中で食べているとき師匠と過ごした日々を思い出していた。暗殺グループのリーダー。はじめて聞いた時には驚いた。彼に拾われ半年間は修行はせず、楽しい日々を暮らしていた。修行が始まっても休日には遊園地に連れて行ってくれたりした。師匠はかなり優しい人だ。だからこそリーダーの座を維持できていたのだ。血に染まった顔に涙が流れる。しばらくしてようやく食べ終わった。口の中に血の味が広がっていたがもうなれていたからあまり違和感はなかった。しかしこれからどうしよう。師匠のように僕を抱きしめてくれる人もいない。一緒に遊んでくれる人もいない。愛してくれる人も…もうこの世にはいないのだ。誰一人。もういい。もう生きる事に疲れを感じていた。気づいた頃にはもう警察署に向かって走っていた。それからの記憶がない。気づけばここで働いていた、