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大魔王様の一念岩をも砕く?

 大神比呂斗、大魔王になる前の俺の名前だ。

 なんの変哲も無い普通の大学生だった。多少の興味もあって進んだ学部が外国語学部。一般家庭で生まれてから大魔王になるまでは本当にハプニングも無い人生だった筈だ。

 イベント会社のバイトを終えて、コンビニからの帰宅途中に召還されて今に至るんだけど、もう帰れないよなあ、額に宝石埋まってるし、それ以外が人間のままと言われてもな。


 親父やお袋は元気だろうか、姉貴達はもう結婚してるしな…

 仕方ないよな、そう、もうこの世界で生きるしかないし。

 ルルやフクが困ってるのに投げ出せないじゃん。

 そこにヴィヴィアンも加えて大魔王としてはやるしかないんだ。


 頑張れ俺!


 魔界統一と人間界との平和共存をしないとな、うん。

 美少女3人の為だ、一念を貫けば岩をも砕くと言うじゃないか。


 ハーレム目当てで気合を入れているとしか思われない理由で努力する事を誓う比呂斗であった。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



「ぐっはあああ」


 まだだ、まだ負けんよ!

 派手に吹き飛ばされつつも、剣で受け止めて直撃は受けてない。

 これでも最近では防御が出来るようになったんだぞ。

 フークーが軍備の確認作業を始めたので連日ルルとの特訓なのだ。


「ここだっ!」

「せい!」

 鋭い動きで俺の攻撃など無かったかの如く踏み込んでからのルルの一撃を喰らう。

「ゴフッ、ま、参った」


「大分上達されましたが、攻撃に回られてからは甘いですね」


 仕方が無いじゃないか!あたったらどうするんだよ。


「つい、な」

「これはヒーロ様の為の訓練なのですから。

 今のヒーロ様ならもう一呼吸は早く打ち込めた筈」

「まあ、そう云うな、ルシールよ。

 我が戦わずとも、そなた達がいれば安心できるのだ。

 できれば女性に剣を当てるのも止めたいぐらいなのだぞ」

「フフフ、ヒーロ様は私に剣を当てれると…

 確かに上達なさいましたがまだまだで御座いますよ」


 ぬ! 心配してるのに…まあ魔界三剣と言われるらしいからな。


「ルシール様、宜しければ私にも一手御指南を」


 颯爽とヴィヴィアンは訓練用の剣を引っさげて現れた。

 様になるなあ…


「アメラ最強の戦姫のお相手となれば此方からお願いしたい」

「では、いざ」


 魔力を使わない剣のみの戦い。

 魔界有数の剣士であるルルとアメラ最強のヴィヴィアン。

 先程からまるで踊りを思わせるような遣り取りが続いている。

 剣戟が奏でる鋼の演奏に合わせてステップを踏んでダンスをしているかのような光景が続く。これは勝負がつかない方が嬉しくなるような取り合わせだ。

 お互いが微笑みながら繰り広げる演舞は互いに攻撃を避けて距離を置いたところで引き分けとなった。


「ふむ、素晴らしいな、楽しかったぞ。

 私と打ち合い出来る者など少数なのだ、また頼めるか」

「これほどまでに楽しい打ち合いは久しぶりでした。

 こちらこそ宜しくお願いいたします」

「よければヒーロ様の相手もお願いできるかな。

 違った剣術を相手する事も一つの修行になるだろう」

「宜しいのですか」

「ああ、剣は嘘をつけない、私の見たヴィヴィアン殿の剣

 良ければヒーロ様にもお伝え願いたい」

「私如きでよければ」


 あれ、もしかしてまた訓練相手が増えた?

 獰猛な野獣の前の餌みたいな雰囲気なんですが。


 午後まで俺の地獄は続いた。

 めっちゃ手抜きされてました、自惚れてすいません。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 昼からはフークー先生の変わりにロッティ先生が来る。

 軍関連で忙殺されているフークーが用意した先生である。


 既に地理も言語もマスターした俺に怖いものなんてない。


 だがロッティ先生の授業は魔法、魔術理論だった。

 俺の苦手分野だよ…


 魔法で駄目なら魔術で!

 そう考えて魔法ではなく、攻撃初級魔術を発動させようとした時に11個目の山が吹き飛んだのは記憶に新しい。

 なので理論からみっちりと勉強させられている。


 ロッティは宮廷魔術師団長とも言える女性幹部の一人だ。

 教育方針はフークーが決定し伝えてあるらしい。

 フークーに引き続き、徹底的に魔術の理論を教えられた。


 魔法は俺の能力の中でも中核をなす大事な物だ。


 事象改変能力(マホウ)なのだそうだ。

 極小規模な事ならそこそこの魔術師でも出来るらしい。

 単純に蝋燭に火をつける、風がそよぐ、水に波紋が揺らぐ。小石を砂に変えるなど、自然の法則を大きく変えない程度なら可能だそうだ。


「はい、では復習です、魔術とはなんですか」

「魔力を効率よく使い、事象改変を行う為の術式を組み上げ発動する事です」

「宜しい」


 まあそんな感じの方法が魔術だ。

 偉大な大魔王の一人が世界の理に書き加えた法則に乗っ取って発動する方法を覚えないと使えない。


 方法は詠唱、術式と大きく2種類が存在する。


 魔力を込めた魔術詠唱方式は世界の理に記された事象改変式を音声入力するわけだな。


 術式は記号や魔術文字が書かれた物に魔力を通して事象改変式を起動させる事になる。


 要はプログラミング言語と考えられる訳で、間違えたコードでは発動しない。

 そして決められた物しか存在しないのが特徴だとか…


 如何に大魔王の事象改変能力(マホウ)が恐ろしい物かが解っちゃうね。


「ではヒーロ陛下にはF級から習得して頂ましょう。

 そろそろ実技で試されていくのも良いかと思います」

「うむ、この辺り一帯が吹き飛んでは困る故な」


 城を吹き飛ばしたら洒落にならん。

 俺は魔術の授業は特に気をつけているんだ。

 だが、授業は野外授業だけどな、危ないから。


 威力認定として

 S級:災害級

 A級:殲滅級

 B級:破壊級

 ――次元の違い――

 C級:上級

 D級:中級

 E級:初級

 ――戦闘用との壁――

 F級:一般


 さらにランクは3種類から決められている。

 術式:魔法量:制御で魔術の難しさが変わる。

 例えば広範囲を灼熱地獄にする魔術のような物なら。

 術式S:魔法量S:制御SでランクはSSS難易度となる。

 これが小さな火を発生させるだけの魔術なら。

 術式F:魔法量F:制御FでランクはFFF難易度となる。


 細かいランクは大抵無視されてS級~F級で呼ばれているのが普通らしい。


 だが100人の魔術師で発動するS級のSSS難易度の魔術ですら、山を吹き飛ばす威力の物は存在しないと解ったのだ、歩く核兵器か俺は…


 まあ、そんな俺だがこうして練習して安全に魔術を使えるように日々努力しているんだ。


「火の理、求めるは灯火」

 蝋燭が灯る。

「風の理、求めるは静寂」

 蝋燭が消える。


 どうよ! 

 しょぼいけどな…

 だが爆発もしなかったんだ、次はF級から卒業さ!


 実力は既にS級以上、練習はF級。

 その日は延々とF級の練習をさせられた。

 ま、負けないんだからな!

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