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大魔王様のハーレム

 よりにもよって考え事をしていたんだ。


 そう親方との会話は確かに俺を前向きにはしたが、どうやってヴィヴィと顔を合わせようかとか、ルルがどう思うかなあとか、フクちゃんもクールに笑い飛ばすぐらいで済ませてくれるかなあ、地獄の特訓コースはいやだなあ。


 なーんて考え続けていた為に部屋に入った瞬間に逃げ出すなんて事が出来なかったのである。


 間違えましたと言ってでも逃げ出すべきだったのではないだろうか。今まさに俺の命の灯火は消えかかっている、主に精神的なプレッシャーでだがな。不老不死だもの本当に死ぬ訳は無いんだが。


 原因は目の前の三名である。


 そして何故に無言なのか。教えてくれよ。神様!


 ああ、神様は敵だったわ。つまり助けを求める相手はいないって事ですね判ります。


 恋愛の神様とかいないかい、今なら話し合いでも応じるぜ……



 比呂斗が入る前に居た3人であるが勿論順番が存在する。


 一番最初に居たのはヴィヴィである。大胆にもベットに潜り込んで待ち伏せするという作戦に出た。ある意味男らしいじゃなく、女の最終兵器をいきなり発動する辺りが素晴らしい。


 ベットの上で服を脱ぐか脱がないか、比呂斗が親方と話し込んでいた辺りで扉が開いたのだが、そこにはヴィヴィの待ち人ではなくルルとフクが突撃してきたのである。


 そしてベットの上で服を脱ごうかとしているヴィヴィを見つけたという具合である。勿論比呂斗はこの事を知らない。


 だが3人の其々の視点から思考を考えてみる。


 まずヴィヴィは祝賀会の席で傍にいてくれて嬉しい=愛の告白だと思っている(間違いとはいえない)。そして覚悟を決めていたらルルとフクの乱入である。勿論2人の気持ちは知っているが邪魔をされたという思いが強い。なんて言おうかと考えているところで本当の待ち人が到来したのである。


 ルルとフクにしてみればギリギリで阻止ができたのはいいが、まさか服を脱いで比呂斗の部屋でベットに入ろうとしているとまでは思っていなかった。せいぜい語らいの場で決着をつけようと思ったらヴィヴィの思い切りの良さに少々焦りと驚きで対応の仕方に困っていたという所で大魔王様登場である。


 そしてこの場には大魔王、魔王、副官、他国の王女なんていう身分は全て意味を成さない特殊フィールドが出来上がっていたのである。


 一言でも発すれば、それは即ち全員からの注目を集める事であり均衡を崩す行為である。そして比呂斗は別としてもそうなれば言い合いに発展するという比呂斗に見せたくない部分を曝け出す可能性があったのである。


 ようは、大魔王何とかしろよ。という雰囲気であった。


 そう云う訳で、先程から比呂斗の灰色の頭脳はピンク色に変色しつつもフル回転中である。

 比呂斗からすればユイキス教の軍勢を押し止めるよりも難しい難問であった。



 つーか、無理じゃね?

 いや色々、エロエロと考えたよ?

 実行不可能な案まで浮かびましたよ。そりゃ若いですから。でも現在この国における強さランキングワンツースリーと並んでるのに下手な冗談なんていったら吹っ飛ぶよ、大魔王とか関係ないと思うんだ。


 ええい、ままよ!


「その、3人でお茶会でも」

 いやいやいやいや、違うだろう。何言ってるんだ俺、あのコンパニオン地獄の中ディレクターとして口から生まれた天才とか思ってた才能は何処へいったんだよ。

「「「お茶会?」」」

 ああ、皆さらば、また来世で会おう。

「「それは」「悪く」「無いですわね」」

 奇跡よ、俺の口よ、命は一時的に繋がったようだ。


 これも今まで他人の恋路を成功に導き、恋愛相談から失恋相談に至るまでありとあらゆる女性の相談を男ながらに引き受け続けた【いい人】【いい友達】【相談の達人】という意味を持たないスキルを磨き続けた結果、そして姉上からの薫陶の賜物が生み出した奇跡。


 今は同じ世界にいない姉上達に向かって、感謝の気持ちを心から現したいとこれ程思ったことはないですよ。


 だが、このときの俺はまだ知らなかったんだ、この後も先程の冷戦など歯にも掛けない程の女の戦いが繰り広げられる事を……



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 フクの手配でお茶会の準備は滞りなく済まされた。同時に祝賀会については勝って兜の緒を締める意味合いとしてこれから作戦会議が始まる為に大魔王、魔王、補佐官は退出済みであると告げられていたのだ。


 手際がいい。こんな時までそこまで気を回すところは流石ですよ。


「実は私達は大魔王様へと思いを打ち明けに来たわけですが……」

 初っ端からルルがそんな事を言い出した。

 え、なにそれ、予想外の話ですが?

「そこでヴィヴィが服を脱いで大魔王様のベットに居たわけですよ」

 グホッゲッホ……

 はい?

 フクちゃん何言ってるの、告白しにきてちょっと変になったとかじゃないよね?

「ふ、服はまだ着てましたよ?」

 まだ、ってことは脱ぎかけてたんですかって、ヴィヴィさん何してたんですか?

「「まだ?」」

 そうですよねー、そこは重要ですよね。

「そ、それは祝賀会でヒーロ様に告白されたからで」

 え”!? そこでそう繋がるのですか。

「「告白」「された?」」

 た、確かにあれは、あれ?告白だったっけ。

「ん、そのまあ、なんだ傍に居てほしいと言ったのだが」

「「だが?」」

 あれ、言い訳見たいになるよね?これは良くないな。

「うむ、ヴィヴィのような素晴らしい女性にはルルやフクのように我が傍にいつまでも一緒に居てほしいと望むのが我の希望である」

 ああ、これは最低の男の科白ですよ。3人纏めて俺の女になってくれってのは……ああ、最低だ俺、最低だ……親方、俺の命はもう尽きる。図面は引いてあるから是非とも護国の兵器を作り上げてこの子達を守ってやって欲しい。俺は護国の鬼となってでもこの国を影から見守り続けるよ。死ねないけどな。


「「「……」」」


 比呂斗のそんな悲痛な想いとは別に3人の恋愛脳は再計算を始める。そもそもが互いに大魔王に対して惚れていることは認識していたのである。そして仲も悪くなかった。フクとルルの関係程ではないにせよ、ヴィヴィも一国の姫として、そしてなにより互いに武を競わせた友として認め合う仲だったのである。

 そして大魔王程の相手である。独占など最初からできる立場では無いのであれば、ここで競争を仕掛けるというのは意味が無いどころか、不利益のみが生じるのだと瞬時に結果をはじき出したのだ。どこぞのポンコツ灰色頭脳とは出来が違った。


 互いに目を配り、そして頷く。


「「では本日より」「私達三名」「ヒーロ様の妻で御座います」」


 そこに奇跡は存在した。

 互いに協力する事によって生み出される共闘関係。これ以上のライバルを防ぐ最高の手立て。3人が同等の立場に居ればこそ成り立つ同時結婚こそが唯一の脱出口だったのである。そして比呂斗は成し遂げたのだ、同時3ルート攻略という偉業を……









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