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九話

「あのさ…俺…」


トントン…


部屋中にノックが響く…。

雄は溜め息を吐くとドアの方に向かった。

「あのさ…俺…」の後雄は何を言いそうになったのかな?

続きが気になる…。それより誰が来たんだろう?

ドアの方に目を向けると、フロントの人だった。

フロントの人が雄に何か言って、雄はびっくりしてる。

何を言われてるんだろう?

そんな事を考えていると、雄が話を終え戻ってくる。


「フロントの人なんだって?」

「あぁ…今日の夜パーティーがあるから夫婦でどうぞ…って…」

「パーティー…」


パーティー…行きたいけど、ドレスなんて持って来てないし、雄もあんまり乗り気じゃないし…

雄に断ろうと口にしようとした時…


「………行っても……良いけど………」

「えっ!でも…ドレスなんて持って来てないし…」

「ドレス…貸してもらえる…」

「でも…」

「行きたいのか行きたいのか…どっちだよ…」

「……行きたい…です…」


私の言葉に雄は頷いた。


「この後、ドレスをなん着か持ってくるらしいから、あんたの好きなの選べよ…」

「うん…ありがとう…」

「あ、ありがとうは俺に言うんじゃなくて、フロントの人に言え…」


雄は俯く…。少し雄の顔が赤く感じた。

もしかして照れてるんだろうか、そんな風に感じた。

雄はフロントに電話をして…


「はい、妻と一緒に行きます」


雄から妻…という言葉を初めて聞いてドキドキする。雄と結婚してると実感する。

雄は電話が終ると、私の所に戻ってくると電話の事を話す。


「今からドレスを持ってくるらしい…」

「うん…雄はなに着ていくの?」

「俺はこのままでいい…」

「でも、私だけでいうのは…恥ずかしいし…雄もおしゃれしてもらえば…」

「俺の事は気にするな…」

「でも…」


トントン…


「…来たみたいだな…」


そう言ってドアを開けた。

フロントの人がなん着かのドレスを持って部屋に入ってくる。


「奥さま、急にすみません…」


頭を下げる女性。


「いえ!こちらこそパーティーにご招待して頂きありがとうございます。」


素直にお礼を言うと女性は微笑みドレスを見せてくれて、私に似合うドレスを真剣に選んでくれた。

選んでくれたドレスは薄ピンクのドレスだった。

私のドレス姿に女性は頷くと私の耳元で言った。


「奥さま、本当にお綺麗ですよ♪旦那さまも綺麗とおっしゃいますよ♪」

「えっ!」

「うふふ♪」


そうかな?


「あの、すみません!雄…じゃなくて、主人の服は用意してあるんですか?」

「もちろんでございます」

「そうですか…よかった…」

「今、旦那さまも着替えていますから、さぁ行きましょ」


背中を支えられながら雄の所に向かうと、着替え終わった雄がソファーに座っている。

雄はまだ私に気付かない…


「…雄…」


私は雄に声をかけると雄は振り向く。


「…!」


雄は私の姿を見てびっくりしている。

なにも言わないけど、どうなのかな?

似合ってるのかな?


「ど、どうかな?」

「奥さまお綺麗ですよね♪旦那さま♪」

「……」


どうして黙るの?なにか言ってよ…綺麗だって…不器用でもいいから…

でも雄のスーツ姿もカッコいい…仕事の時のスーツ姿もカッコいいけど、今日が一番素敵…。

雄から綺麗という言葉はないままパーティーに行った。

会場に着くと綺麗なドレスを着て、賑やかにワインを片手に会話を楽しんで、豪華な料理が並んでいる。


「凄い人…」


私が驚いていると、雄はウェイトレスからワインを取ってくれる。

そして私にワインをくれる。

そして雄とワインを口にした。

久し振りに飲んだワインだから酔いが回るのが早かった。

身体中温かかった。



「ごめんね…ちょっと外の空気吸ってくるね…」


そう雄に言って歩こうとした時。

私の足が思うように歩けず、前に倒れそうになる。

……でも、誰かに支えられる。

支えられたほうを見ると、雄の顔が近くにあった。


「あっ////ご、ゴメン!」


雄に謝り雄から離れようとしたけど、離してくれず、外まで着いてきてくれる。

その優しさがさらに私の身体中が熱くなっていった。テラスに出ると少し風があり気持ちいい…。

私はベンチに座ると雄も私から離れて雄も座る。

お互いが何も話さない…

雄を見ると空を見上げてる。

私も空を見上げるとたくさんの星がキラキラ光っていた…。


「わぁ、綺麗…」


そう呟くと誰かに見られてる感じがして振り向くと雄が私を見つめていた。


「……」

「……」


無言のまま私達は見つめ合う。

すると…


「いや、だからな……」


遠くから人が来るのに気付くと私達はお互いに目を反らした…。

私、顔赤くなってないかな?

雄に見つめられて…ドキドキして…どんどん好きになっていく…。


「おっ!ねぇちゃん♪可愛い格好してるじゃないの♪」


酔っ払いの男性が私に絡んできた…。

厄介なことにならないように雄の所に行こうとしたけど、私の腕を掴んでくると男は言った。


「隣の男なんかより俺のほうが優しくしてあげるよ♪」


もう酒臭いよ…。


「おい、オッサン…」


男のほうを睨んで話す雄。


「誰がオッサンだ~?」

「どうみても俺より歳上だろ?」


なんか雄って意外にヤンキーみたい…。

よく居るよね、絡んできた相手にキレてるヤンキーって…。

てか喧嘩になる前に止めなくちゃ!


「すいません、家の主人が変な事言って」

「はぁ?ねぇちゃんの男かよ…もっといい男つかまえなよ…後で捨てられるに決まってんだからさぁ」


なんなの!雄の事知らないくせに…


「あの、雄は…!!」


ふと私の言葉を遮る。

横を見ると雄が私の腕を掴んでいた。

お前は何も言うな…と言ってるかのように…。

そして雄は息を吸うと…


「俺は捨てたりなんかしない…一緒にいると決めたんだ…」


その雄の言葉が胸を熱くさせた。

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