五話
リゾートホテルって事はハワイ?だよね…初めての海外だ♪
私は嬉しくてはしゃいでるとソファーでビールを飲んでいた雄が私をジッと見ていた…恥ずかしくなって雄から背を向けた。
私変だったよね…1人だけはしゃいでる…
雄は私となんて楽しくないよね…友達のほうが…
「来週…」
雄の声で振り向くと雄と目が合う。
雄は目を反らさず言った…
「来週の日曜日から火曜日まで休みがとれたから…」
それだけを言うと部屋に行ってしまった…
どうしよう…嬉しい…めちゃくちゃ嬉しい…なに着ていこう♪水着とか買わなくちゃ♪
来週の日曜日が待ちきれない♪
その日の夜はあまりにも嬉しくて寝付けなかった…
そして次の日の朝、私は早速お母さんに電話で昨日の事を話して、洋服などを買いに行く。
ピンクのワンピースに白の水着を買った。
可愛いとか言ってくれるかな?…言ってくれるわけないか…
でも少しでも意識してくれるかな?
「ちょっと、お姉さん♪」
私より歳上の悪そうな男が話し掛けてきた。
こういうのは無視が一番いい。
だけど…
「あっ恥ずかしいんですか?可愛いっすね♪」
知らない人に可愛いって言われてもねぇ…
嬉しくない。
無視をし続けてるけど、引き下がってくれず…
「あのいい加減にやめてもらえますか?」と言おうとしたら、誰かに声を掛けられ振り返ると…
「あっ!雄の仕事仲間の…」
「どうも、後藤と言います」
「なんだよ…男いたのかよ…」
ナンパ男は居なくなり、私たちは話をした。
「どうしてここに?」
「1日仕事休みで、彼女と待ち合わせしてたら、ちょうど雄の奥さんが絡まれてる所を見てね」
「そうだったんですね…ありがとうございました」
「いえ、男として当たり前ですから」
「(笑)そうだ♪私来週の日曜日に夫と旅行に行く事になったんで、お土産待っててくださいね♪」
「旅行ですか、ラブラブですね」
「えっ!まぁ////」
ラブラブだって♪
「お土産楽しみにしてますね」
「はい♪」
そんな約束をして別れ、お昼がまだだったのでお昼を済ませて帰宅した。
帰宅するともう雄が帰ってきていた。
また忘れ物でも取りに戻って来たんだと思ったけど、二度も忘れる雄なのか…
まさか泥棒!?あるわけないない。だってちゃんと鍵閉めたし…でも、忘れてるかもしれないし…
どうしよう…雄!助けて!!
「おい!」
「キャッ!」
不意に誰かに肩を叩かれびっくりしてしゃがみ込んだ私。
殺される!と思った時には聞いた事ある声が聞こえてくる。
目を開けるとそこには雄の顔が…
ホッとした私は、雄に抱き着いて泣いていた。
雄は私の背中をポンポンしてくれた…
心地よくでいつの間にか雄の腕の中で涙も落ち着いてきて、雄から離され、二人は見つめあい…
そして……
「…顔…洗ってこい…」
雄は何事もなかったように、私から離れた…
今、なにも言わなかったら…私…雄とキスしてた…
初めてのキス…だったかもしれない…
頬に流れた涙を拭き、もう一度雄の所に向かった。
リビングには雄の姿がなくて、テーブルの上にはリゾートホテルの雑誌が置いてあった。
ちゃんと考えててくれたんだと嬉しくなる。
どんどん二人の距離が近づいてきている。
するとドアが開き雄が部屋から出てくる。
私の姿を見て、雄は少し顔を赤らめた気がした。
「あの、この雑誌…」
「別に、あんたの為じゃないから、あんたの母親の為だから…」
多分雄は恥ずかしくてそう言ったのかもしれない…
それでも嬉しかった♪
「ふふ」
「な、なんだよ…」
「ううん♪何でもない(笑)」
ありがとう、雄…