十三話
帰りの時間まであと三時間あるから雄と一緒にお土産を選ぶ事にした。
雄はいつも仕事しているから、その人が何が好きで何が嫌いか知っている。
だから私も雄に私の事をもっと、もっと知ってほしい…。
「…どうした?」
「ううん」
私は雄の横に肩を並べて歩く。
雄は私よりも背が高い。周りから見たら素敵な旦那様と見られてる気がしてドキドキする。
雄の横顔を見てそんな事を考えている。
「あの…さ…」
「?」
「あんた…分かってて見てるわけ?」
「どうしたの?」
雄の言葉が分からなく首を傾げている。
雄は少し怒ったように言った。
「俺以外の男をジッと見てたら、勘違いされるから止めろよ…」
あれ?この言葉何処かで聞いたことあるフレーズ…。
………あっ!あの時雄の寝顔にうっとりして雄に見つかった時…。
目を瞑るなんて、他の男なんかに見せるんじゃねぇよ…勘違いされるから…
あの時と同じ台詞…。
もしかして、あの時から私の事を………。
「………おい」
「えっ!」
雄に呼ばれて雄を見ると雄は私よりも先に歩いていた。
「置いていくぞ…」
「あっ!待って」
雄の元に走っていくと雄の左手が差し伸ばされていて…。
「…あんた見失うといけないから…手を…繋いでもいいよ…」
「……うん」
私達は初めて手を繋いだ…。
雄の手…暖かい…。
私は雄の手の温もりを感じながら、ハワイを旅立った…。
日本に着き、久々の我が家だ。
私達が家に入ると何やら騒がしい声がする。
雄と顔を見合わせ中に入れると私の両親と雄の両親が私達の帰りを待っていた…。
「お母さん!お父さん!」
「あら、由梨ちゃんと雄くんお帰り♪」
「なんで居るの?それに雄のお母さん達まで」
なんの知らせもなく、家に居るから何かのドッキリぐらいビックリしていると、雄のお母さんの笑顔が近づき…
「由梨さん、雄とこれからも幸せになってね。それと…孫も早く見たいわ♪」
「か、母さん!何を急に…」
雄のお母さんの言葉に頬を赤くする私と雄。
でもいつかは雄との…
「まぁ雄そんな顔を赤くして、でも雄も子どもほしいでしょ♪どうなの?♪」
な、何を言ってるの!?
でも雄はどう思ってるんだろう?
私はほしいなぁ…雄との子ども。
でもまだ早いかもしれない。
雄はどう思ってるんだろう…?
「俺は……子どもはいらない…」
「えっ…」
それってほしくないって事?
雄は私達の子どもほしくないの?
ほしいと思ってるのは…私だけなの?
私は雄の言葉が頭の中でぐるぐる回っていた。