一話
結婚1週間目の夫婦…佐藤家。いわゆる新婚。
23歳の佐藤 由梨。専業主婦。
25歳の佐藤 雄 弁護士。
私達は1週間前に出逢い、お互いが恋におちる事はなく、親の勧めで、私達の話を聞かず勝手に婚姻届けを出してしまった…。
相手の親と私の母は親友で、とても仲の良い母達。
私の母から良い人紹介してほしいと頼み、で、できたのか、雄だったのだ。
まだお互いを知らないのに、出会ってすぐ一緒になるなんて…。
近所には仲の良い夫婦と母達は言ってるけど、実際は、お互いを知らないのに仲良く出来るわけがない。
そんな毎日が続いても良いのだろうか。
少しは仲良くなったのかな?なんて思えるほど話してないし…。
「何?」
「な、何でもない」
また見つめてしまった…
話がないから、どうしても見てしまう…。
どこを見ても同じ景色しかないし、視線を戻しても雄を見てしまうから、しょうがない。
「ちょっと…トイレ…へ…」
「イチイチ言わなくていいよ…返事とか面倒くさいから」
モジモジしながら席を立つと、目線は新聞を見つめ、冷たく突き放す。
あっそうですか!!
何も言わないですよ!!
ベー!
なんて言えるわけもなく、返事するだけし、トイレに向かった。
部屋を出る時にチラッと雄を見ると、まだ新聞を詠んでいた。
当たり前だけど、私を見てないに決まってるんだけど、つい気になっちゃうんだよね…
夫婦だからかな?
夫婦だから結婚写真はあって当然で、結婚指輪もある。
雄も日常外す事なく指輪をしている。
それは夫婦だからなのか、仕方なくしてるのか、全く雄から読み取れない…。
恋愛の結婚をした夫婦なら、夫からプレゼント
私は母達からのプレゼント。
家も家具も買ったモノではなく、みんな私物。
一緒に買ったモノなんてない。
お互い好きじゃないくても、夫婦らしくしたいけど、雄は気にならないのか…
少しだけ気にしてもいいのになぁ…。
次の日の日曜日。
結婚が何だかんだであって、日曜日はドタバタしてたけど、今日の日曜日はゆっくりできそう。
でも雄は弁護士なため、何度も仕事の電話が携帯にかかってくる。
弁護士って大変だなぁ…なんて思ってると、急に雄がバックを肩に掛けると部屋を出ていこうとする。
「ど、どこ行くの?」
「あんたには…関係ないこと…いくら夫婦でも知って良いことと悪い事だってあるから…」
関係ないか…。でも夫婦だからって、線引かなくてもいいのに…
「そうだよね…行ってらっしゃい…」
雄は返事をせず行ってしまった。
ちょっとぽっかり穴が開いた感じがする。
嫌われてるのかな?
1週間前までは赤の他人だったから仕方ないけど、今は夫婦なのにちょっとぐらい優しくしてもいいのに…。
まさか…他に好きな人がいるとか?
な訳ないか……母達からの結婚を勧められても断らなかったもんね…。
無理やり結婚させられて嬉しいわけない。
好きな人がいるなら、断れば良かったのに…
そう1人になった私の感情を誰に伝えようか…
そう思ってある人の所に訪れた。
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