ただあなたを守りたい 騎士編 3
ただあなたを守りたい 騎士編
―3―
身が震える寒気を感じて一度肩を震わせる。ノイアはその身に被さっている毛布を一度引く。
(……寒いな)
肩まで毛布がかかり寒気が若干引いたような気がする。だが、雪国の寒さがこの程度の事で和らぐ事はない。毛布の上に被さる厚い布団もこの寒さの前では十分とは言えないらしい。
とても眠れそうにないのでゆっくりと上体を起こす。突然の戦闘のおかげで窓を割られたノイア達は男性二人が使用する部屋で休んでいる。ベッドは二つしかないためノイアとシェルで一つを使用し、もう一つはザーランドが使用している。
「眠れないの?」
出来る限り声量を落とした低い声。
ノイアはゆっくりと視線を左へと向ける。左隣にあるザーランドが休むベッドのさらに奥。壁に背を預けて寝ずの番をしている傭兵がこちらを気にして声を掛けてくれたらしい。普段は陽気な彼だが襲撃が合ってからは、どこか張り詰めた感じがする。
「ああ。代わろうか?」
ノイアは微笑んで問う。眠れないのであれば番をするのもいいだろう。だが、ジュレイドはゆっくりと首を左右に振るだけだった。そして、有無を言わせない強い意志を込めた瞳を向けてくる。
「そうか。案外、真面目なんだな」
「言ってろ」
ノイアの言葉に肩をすくめる傭兵。普段の陽気な彼に一瞬だけ戻った気がする。その変化を正確に感じたノイアはゆっくりと口を開く。今なら答えてくれるような気がしたからだ。こちらだけ話したままなど納得がいかないという思いもあるのだが。
「なあ……」
「船の時の続き?」
ノイアがつぶやいた瞬間。ジュレイドはまるで心を読んだかのように的確に先を述べる。
「……ああ」
戸惑いつつ一つ頷く。
ジュレイドは微笑んでいた。初めて見る柔らかい笑みだった。
「俺は傭兵をして……もう十二年は経つな。ただお金が必要だったんだ。出来るだけ多くの金がな……呆れるかもしれないが俺一人が十年以上は遊んで暮らせるだけは稼いだよ」
溜息をついて語るジュレイド。
「そのお金は……どうしたんだ?」
彼は宿を決める時に余計な金はないような素振りをしていた。それだけ稼いだのならば宿で一泊するくらい余裕ではないだろうか。
「全部使ったよ。長い長い親孝行のためにな。だがな……もう終わったんだ。終わったんだよ」
ジュレイドはうつむいてつぶやく。長身の男の肩は不思議と小さく見える。その理由は彼が震えていたからだろう。
「……ジュレイド」
つぶやいてゆっくりと立ち上がるノイア。戸惑う茶色の瞳が重なる。
「必要なだけの薬は用意した。そんな俺が出来る事はもうないんだよ。生きる目的もない。だからいるんだよ、ここにな。彼女は……シェルは俺を必要としてくれる。そうさ……。ノイア、お前とは違う。人に語れるような立派な理由なんてないんだ。一番の年長者が笑えるだろう」
自嘲の笑みを浮かべる傭兵。そんな彼はどこか疲れきった顔をしていた。
「私にも人に語れるような立派な理由はない。騎士でありながら……私はシェルを守る事を最優先にしている。それは許される事ではない。ただの我がままだ」
ノイアはつぶやいて一歩進む。傭兵はこちらの行動が理解できないのか戸惑っているようだ。
「私達は同じだ」
「何が……?」
「結局はシェルがいなければ歩めない。だから守ろうとしている。私も……ジュレイドも弱い存在だ」
さらに一歩進むノイア。次の瞬間にはジュレイドを優しく包んでいた。
「……」
傭兵は何も答えなかった。動く事もなく黙って抱擁を受け止める。
「だから支え合う必要があるの」
ノイアは諭すように優しくつぶやく。この時だけは一年前のシスター見習いだった時に戻る。汚れのない真っ直ぐな気持ちを伝えるために。
「そうだな。可愛げがなくなったと言った事は訂正するよ」
囁くようにつぶやくジュレイド。その声音はどこか優しかった。
「今さら言われてもな。それに……シェルの代わりに抱きしめただけだ。寂しいお前のためにな」
ノイアは抱擁を解いて一歩下がる。
「そうかい。でも……少し軽くなった。ありがとう」
つぶやいて瞳を閉じる傭兵。また寝ずの番を続けるつもりなのだろう。もう話す事はないと言外に告げているようにも見える。
「構わない。心を癒すのもシスターの務めだからな」
その言葉を最後にシェルが眠るベッドへと戻る。ジュレイドは何も言わなかった。それが気にはなったが、時が来ればまた何か話してくれるような気がした。
「おやすみ」
ノイアは一度つぶやく。傭兵は瞳を閉じたまま片手を上げて済ます。すでに普段通りの彼だった。安心したノイアは毛布に包まって瞳を閉じる。
(今なら眠れるか)
すぐに強烈な眠気がノイアを襲う。まどろみ始めたちょうどその頃。隣に眠る少女がノイアを抱きしめる。
「ありがと」
囁くような少女の声。どうやら起きていたらしい。何時から聞いていたのは分からないが、少し居心地が悪い気もする。何か悪い事をしていた訳ではないのだが。
「構わないさ。仲間のために……これくらいはしたい」
「うん」
シェルは一つ頷いただけで他には何も話さなかった。ノイアは守るべき存在をその手に抱いて深い眠りについた。
*
「今日の晩は異国からの客人が参ります」
涼やかな声音が王座の間に響き渡る。
王座の前で膝をつけて控えているのは第一師団長ゲベル・トイリス。この大陸一の光剣の使い手であり、いざ戦争となればこの国の兵の三割を動かせる権限を持っている男だ。フィッツベル王国を一つにまとめるに到った統一戦争では数え切れない武勲を上げ、実質は彼がこの国を動かしていると言っても過言ではない。
「今さらハールメイツ神国の使者に会う必要はないと愚考しますが」
ゲベルは面を上げる。鋭い視線を自らが仕えるべき王へと向ける。明らかな敵意を含む、睨むような視線。無礼極まりないが、それだけの事が彼には出来てしまう。三割の兵を動かせる権限を持つ彼だが、一度反乱を起こせば五割以上の兵がゲベルの味方をするだろう。こちらに従う魔術師などザーランドが率いる第二師団くらいではないだろうか。
「いえ……ぎりぎりまで戦争は回避したいと思います。そのための手段を講じないなど恥でしかありません」
ノースは鋭い視線を真っ直ぐに受け止めて断言する。こちらは全く引くつもりはない。フィッツベル王国の女王は、最高権力者は自分であるのだから。
「そうですか。そこまでおっしゃるならば」
ゲベルはゆっくりと立ち上がる。
「無礼がないように」
ノースは屈強な男の背に言葉を投げ掛ける。彼は赤い絨毯が敷かれた道を大股で歩いていく。左右に控える魔術師は去っていくゲベルと王へと交互に瞳だけを向けている。彼らの瞳から伝わってくるのは戸惑いだった。
「ふぅ……」
ノースは王座に小さな背を預けて溜息をつく。やはり自分には荷が重い。このまま彼が描くシナリオ通りに進んでしまうのだろうか。そう思えてならない。
「父上……ノースはどう進めばいいのですか?」
亡き前王に問う。表向きは統一戦争で死んだとされている父。だが、ノースとザーランドは暗殺されたと思っている。現在、権力を持っているゲベルによってだ。確かな証拠はない。だが、そう疑わずにはいられなかった。
誰かに答えて欲しいと願う。だが、その問いに答える者はいない。心細さを胸に抱いてノースはただ毅然と前を見つめる。形だけでも誇れる王であるために。
*
「動けない……」
少女の頼りない声が雪原に響く。
振り向くとシェルの膝は雪で埋もれていた。ちょうど深い部分に足を突っ込んだらしく、両足を引き抜くのに多大な体力を消費しているようだ。やはり背の低い彼女にとって深い雪原を踏破するのは無理があるらしい。その証拠に額にはびっしりと汗が浮かべ、もう限界だと顔に書いてあるようだった。
「この辺りは深いからな」
ノイアが地面を見てつぶやく。町を出た先に広がっていたのはまた雪原だった。だが、この雪原はイリース雪原とは比べ物にならないほどに雪が深く降り積もっていた。
「失礼」
ジュレイドがつぶやくと同時に疲弊した少女を両手で抱き上げる。
「ごめんね」
シェルは申し訳なさそうにうな垂れる。それと同時にどこか安心した表情を浮かべていた。
「いいさ。体が資本の仕事をしているからな」
ジュレイドは温かい笑顔を浮かべる。少女一人抱えたくらいでこの男が疲れるなんて事はないだろう。だが、両手が塞がった彼のために前に出る者が必要であるのは当然の事である。
「シェルは任せる」
ノイアはつぶやいて歩を早める。ジュレイド達の前に出て腰にある剣に触れる。
「ああ。初撃だけは防いでくれ」
背に掛けられる声にノイアは一つ頷いて警戒を深める。いつどの勢力が攻撃してくるか分からない現在。どれだけ警戒しても無駄にはならないと思う。
「今晩には着きます。それまでは気を抜かないで下さい」
最後尾を歩くザーランドが三人に声を掛ける。皆は一つ頷いて目的地へと着実に歩を進めた。
雪原を歩き続けて一時間が経った頃。
雪原にぽつりと見える小さな人影。雪原に入り初めて見る人影である。
「幻ではないようだな」
ノイアは人影を見てつぶやく。幻だと疑ってしまうほどに人がいない雪原地帯。この雪の深さは現地の人間でも警戒するレベルだという事が見に染みて分かった瞬間でもあった。
「こんな所で戦闘になるのは最悪だな」
抱えていた少女を降ろすと同時に傭兵が銃を腰のホルスターから引き抜く。咄嗟に銃を抜く所がいかにも彼らしかった。
「敵と断定は出来ないがな」
ノイアは鋭い視線を前方に向ける傭兵に倣い剣を引き抜く。だが、この動作は無駄に終わるのではないかと思っている。それは人影の正体を見ればすぐに分かるだろう。
こちらに向かって歩いてくるのは小さな少女だった。漆黒のドレスを纏った十代前半に見える可憐な少女である。こんな雪原を一人で歩くにはあまりにも奇妙に見えてしまう。
「警戒だけはして下さい」
ザーランドが雪原に配置されている水晶色の石に力を伝える。魔力に反応して光が雪原を満たしていく。
淡い光に照らされた少女は、愛らしい笑顔を浮かべて恭しく礼をする。たまたま雪原を歩いていたという事ではないらしい。刺客なのか、王城からの伝言があるのか。
「お前は何者だ?」
ノイアは皆を代表して問いを放つ。
「名を問うのであれば……そちらが先に名乗りなさい」
少女は表情をそのままにつぶやく。
「……すまない。私はノイア・フィルランドだ」
自らの非礼を素直に詫びて名乗るノイア。
「ノイアね……。なら、見せてもらいましょう。神力という力を」
少女は両手を左右に伸ばす。
刹那、空間が歪む。
「踊りなさい、マリオネット」
少女の理解し難い言葉。だが、少女の目的ははっきりと分かる。
「ジュレイド、ザーランド。敵だ!」
ノイアは叫んで後方に跳躍。それと同時に神力を解放する。
二度、障壁が何かに衝突して閃光を上げる。着地と同時に見つめた先にはまた理解に苦しむ物が存在していた。
「人形?」
障壁を叩いたのは木で出来た人形だった。人形劇で使用されるような、糸で吊るされて操られるマリオネット。人形の上空には禍々しい門が開き、そこから垂らされている糸で操られているのだろうか。表情のないデク人形はどこか不気味で視線を外す事ができない。
「初撃は防ぐんだね、ノイア」
友人に挨拶するかのような親しみを込めた声が耳に届く。マリオネットに視線を奪われていたわずかな時間。その間に少女は間合いを詰めていた。
それを合図にしたように振り下ろされる人形の腕。
響いたのはガラスが割れるような音だった。マリオネットが作った道を少女は潜り抜けて手に持った大鎌を振り下ろす。高速の銀閃がノイアの視界を埋める。
「初撃だけだと思うな!」
叫ぶと同時に騎士剣を振り上げる。舞ったのは激しい火花。少女が驚く暇も与えずに一息で吹き飛ばす。
「援護を!」
ノイアが叫ぶ。
刹那、少女を銃弾と、氷刃が狙う。少女の背後には光輝く障壁が退路を塞いでいる。シェルの障壁だろう。
「へぇ……面白い」
体勢を整えた少女は薄っすらと微笑む。それと同時に手に持った大鎌が滑らかに動いた。
幾重にも渡る銀閃。退路を塞がれた少女はいとも簡単に銃弾と氷刃を凌いでみせる。
だが、この程度は予想の範囲内である。ノイアは鋭い瞳を少女へと向けて疾走する。
「人形遊びに付き合う暇はない」
言葉と共に渾身の力を込めて騎士剣を振り上げる。ノイアが狙ったのは少女の銅である。触れれば致命傷となる一撃。その一撃を防いだのは少女の操り人形。自らの体が崩れる事も恐れない意志無き人形だった。その姿はただシェルを守る事だけを考えている自分と重なる。
だが手を抜くつもりはない。すかさずノイアは横薙ぎの一閃を放つ。マリオネットの銅を正確に切り裂く。銅を両断されたマリオネットは力を失って雪原に崩れていった。
「ふふ……」
迫るノイアを見て不敵に笑う少女。余裕すら感じさせる楽しそうな笑みだった。背に寒気を感じたノイアは直感を信じて右に跳躍する。
「残念」
少女の楽しそうな声。
着地と同時にノイアが跳躍した地点に素早く視線を向ける。その場に立ち尽くしていたのは一体のマリオネット。咄嗟に右に飛ばなければ背を殴打されていただろう。
(かなり戦い慣れているな。どうすればいい?)
ノイアは荒い息を整えると共に思考を走らせる。遠距離の攻撃は手に持った大鎌が全て防いでしまう。逆に接近戦を挑めば、身が砕ける事も厭わないマリオネットが進路を塞ぐ。
どれだけの人形を所持しているのかは分からない。だが、これで終わりとはとても思えない。それは少女の余裕に満ちた笑顔を見れば容易に想像できる。
「もう終わり? 私はそれでもいいけど」
少女は漆黒の瞳をノイアへと向ける。
「私達は王城に向かいたいだけだ。戦う意志はない。何がしたい?」
ノイアは少女に問う。少女は隙無く大鎌を構え、しばし逡巡した。
「魔力……それに神力という力に興味があったの。ただ刺激が欲しいだけよ。戦う事が私の全てなの」
少女はただ戦いを楽しんでいただけらしい。
ノイアには理解できない感情だった。ふつふつと怒りが込み上げてくる。
「自らの退屈凌ぎのために……人を殺めたのか!」
ノイアは叫んでいた。この少女が自分達以外にも刃を向けたのは簡単に想像できる。理由もなく、意志もなく殺された人間を思えば許す事などできない。
「だって……弱いんだもん」
少女は可笑しそうに笑う。笑ってはいるが少女の大鎌は殺気を放ち続けている。隙あらばノイアを、皆を殺すつもりなのだろう。
「貴様!」
気づいた時にはノイアは地面を蹴っていた。込み上げてくる感情に任せて剣を強く握る。
激情するノイアとは逆に少女の瞳は冷たく細められる。何か企んでいるのだろうが関係ない。彼女みたいな存在は許してはおけない。
感情に任せての疾走。剣を握る手にはもう迷いはなかった。鋭い視線が見つめる先で少女は左手を前方に向ける。
少女の求めに応じて現れたのは三体のマリオネット。
「どけ!」
ノイアは叫ぶと共に先頭にいる人形の銅を切り裂く。砕けて舞う木片の隙間から垣間見える少女を、貫くような視線で見つめる。左右から迫る人形に視線は移さない。
ノイアが再度疾走するために力を込めると同時に左右の人形が砕け散る。男性二人の援護に感謝して雪原を駆け抜ける。
進路を塞ぐ物はもう存在しない。ノイアは鞘を捨てて両手で剣を握る。渾身の力を込めて振り上げようとした瞬間。
「遅いわ」
少女の冷たい声が響く。高速で駆け抜けたのは少女の大鎌だった。
避ける事も、障壁を展開する事もすでに間に合わない。まさか速さで負けるなんて思ってもいなかった。ただ人形を扱うだけの存在ではない事は分かっていたのだ。それを失念させたのは溢れる怒りの感情だった。
覚悟を決めた瞬間。一つの閃光がノイアの視界に映る。ノイアを包んだのは温かさを感じさせる障壁だった。
「ノイア!」
自分が守ると決めた少女の声。燃え上がるような怒りは一瞬で冷めていく。冷静さを取り戻したノイアは一度距離を取ると同時に少女の追撃を警戒する。
だが、少女は追撃をする事はなかった。
ノイアは不審な瞳を向ける。それを合図にするように少女は手に握った大鎌とバラバラになったマリオネットを、まるでその場に存在しなかったかのように消した。
「なんだ?」
ノイアは理解出来ずにつぶやく。少女からは溢れる殺気はもう感じない。むしろこちらに心を開いたかのような温かい視線を向けてくる。
「ただ殺すよりも……戦うよりも、もっと楽しそうな事を思いついたわ」
少女はゆっくりとノイアに近づいてくる。
「止まれ!」
ノイアは剣を向ける。理解できない相手というものが、ここまで恐ろしいと感じるとは思わなかった。震える肩を叱咤して少女を見つめ続ける。
「もう攻撃しないよ」
少女は楽しそうに笑い、近づいてくる。
男性二人も判断を迷っているのか少女に攻撃する事はない。
「あなた達と共に歩む方が楽しそうだわ」
少女はノイアに小さな手を向ける。その手を怪訝な瞳で見つめるノイア。
「自らの楽しみのために武器を取る者とは一緒に歩めない」
ノイアは鋭い瞳を向けたままつぶやく。少女と握手をする事は当然ない。
「もうしないわ。ただ……あなた達の命を狙う者がいるのなら排除してあげるわ」
少女は強引にノイアの右手を両手で包む。
「心を改めると……?」
ノイアは問う。少女は笑顔で頷く。
この少女が何を考えているのか全く分からない。油断して背を向けた瞬間に攻撃を仕掛けてくるようにも見えるし、純粋にこちらに興味を持ったようにも見える。後者だとしてもその理由が分からない。理由などなくてただ感情で動いているとでも言うのだろうか。ノイアは判断を求める視線を三人に向ける。
「ノイアさんに託します」
最初に答えたのはザーランドだった。ジュレイドは無言で首を横に振る。保留が一、反対が一。
「シェルは?」
ノイアは彼女に全てを託すつもりで問う。重荷を背負わせてしまうかもしれないが、シェルが決めた事であれば従える。返ってくる言葉はだいたい想像できているのだが。
「私は信じるよ。例え裏切られたとしても」
シェルは微笑んで少女を見つめる。
「分かった。だが下手な事をしてみろ。すぐに斬る」
ノイアは少女の手を振りほどいて背を向ける。早足で歩いて地に落ちた鞘を拾う。
「安心して。あなたに興味が沸いたから……飽きるまでは絶対に裏切らないわ」
少女は花が咲いたように笑う。まるで毒がないような、穢れを知らないような綺麗な笑顔。今まであれだけの殺気を放っていたとは、とてもではないが思えない無垢な姿だった。
「そういえば……名は?」
結局ノイアだけしか乗っていない事に気付いた。
「錬よ。よろしくね」
錬は右手でピースを作って元気良く挨拶。
「はぁ……」
ノイアは自然と溜息が出てしまった。三人の攻勢を凌ぎきった彼女が力を貸してくれるのは素直にありがたい。だが、素性がまるで分からない事は不安に思わずにはいられない。神力も魔力も使っている様子はなかった錬。ならばあの操り人形はどんな力で動いているのだろうか。
思考に没頭していると左肩を優しく掴まれる。
「今は王城へ」
ザーランドが進むべき道を右手で示す。歩きながら考えろという事なのだろう。
「分かっている」
ノイアは一つ頷いて王城へと足を向けた。
*
二頭の馬がクレイア街道を走る。
「懐かしいな」
無造作に生えた草を見つめてブレイズはぽつりとつぶやく。一年前に皆で進んだ道。自分達の最初の旅路だった場所である。
「ふふ……ジジイと一緒ではつまらないですかな」
左隣を走るギルベルトは薄い微笑を浮かべてこちらに視線を向ける。
「いえ……まさか護衛に選んでいただけるとは思ってもいませんでした」
「すみませんね。隊長クラスの者を護衛に選ぶなど……そんな権力は一介の騎士にはないのですが」
嬉しそうに話すブレイズに、老齢な男は申し訳なさそうにつぶやく。
「グリア連合国……下手に刺激すれば戦争に突入する国です。他の者には任せられません」
部下に任せるのも隊長の仕事ではある。だが、信頼に値する者が国外に出ている現在は人選が難しかったのだ。ならば自分で行くしかないというのが、ブレイズが決めた決断である。
有事の際は団長と副団長がいる。自分一人が動けなくなろうと何も問題はないだろう。
「ノイアさん達が国外に出ているのは問題ですね。明らかに手駒が不足しています。その上で私達まで動くのは賢いとは言えません。ですが……グリア連合国の真意をどうしても確かめたいのです」
軍神は遠い目をする。おそらくグリア連合国を見つめているのだろう。
「賢王か……」
ブレイズはつぶやいて遥か遠くを見つめる。この場からは見えないが確かに存在している国。その国を納めている賢王の強大さは一年前にこの身でしっかりと味わったブレイズである。
「この大陸に招き入れて殲滅するつもりなのか……本気でハールメイツ神国を潰しに来るのか。どちらなのです」
ギルベルトは問うようにつぶやく。
ブレイズは悩む軍神の横顔を見つめる。だがすぐに視線を外す。軍神が予測できない事を自分が分かる訳がないのだ。ならば出来る事をやろうと思う。この命を懸けて軍神を送り届ける。そして、必勝の策をハールメイツ神国に伝える事が自らの任務である。ブレイズは心を切り替えて手綱をしっかりと握った。
*
「ここが王都か……」
ノイアは城門に辿り着いた瞬間に全身の力が抜けた気がした。もう動く事すら億劫である。今すぐにでもベッドに横になって休みたい。
「ノイアは体力がないのね」
隣で微笑む少女。見上げた先には操り人形の腕に抱えられた錬がいた。
「……そんな楽をしている奴に言われたくはない」
ノイアは鋭い視線を向けて、苦々しくつぶやく。
「ふふ。力は有効に使うべきものよ」
錬は不適に笑い操り人形を消す。支えを失った少女は重力に従って落下していき、渇いた着地音が響く。
「さあ、行きましょう」
ノイアの手を引いて歩き出す少女。その姿は歳相応の少女だった。
「行こう、ノイア」
次の瞬間にはいつの間にか右隣にいたシェルが手を引く。
「おい。待て……引っ張るな」
ノイアは両手を引かれてぎこちなく歩いていく。バランスが取りにくい事この上ない。好意を持たれるのはいいのだが、もう少しこちらの事を考えてほしいものである。だが、少女二人はお構い無しに未知なる王都へとノイアを引張っていく。背後からはノイアを見守る男性二人の温かい視線を感じる。
(頼むから……どちらか一方の面倒をみてくれ)
ノイアはそう思わずにはいられなかった。ふと握られた右手が強く握られる。右隣を歩く少女にゆっくりと視線を向ける。
「ここが……王都なんだね」
シェルは瞳を輝かせていた。見る物全てが新鮮なのだろう。その楽しそうな横顔を見ていると疲れが薄れていく気がした。
余裕を取り戻したノイアは、瞳を輝かせている少女の視線を追っていく。
なだらかな坂が真っ直ぐに伸び、左右には賑わいを見せる商店街が広がる。毛皮のコートなどを売る衣類の店、温かそうなスープを売っている店など、どこも賑わっていた。
少女二人は楽しそうに店を見渡す。無邪気な二人に手を引かれて坂を上りきった先。平らな円形の広場の中心には一つの石碑があった。石碑に刻まれていたのは何かの文字のようである。
「名前……?」
ノイアは文字を注意深く見つめる。幸いこの大陸の文字は読む事が出来る。シスター見習いの時に習った事の成果がこんな所で役に立つとは思ってもみなかったノイアである。だが、解読出来たとしてもなぜ王都の中心にこんな物があるのか。その答えは分からなかった。
「それは……統一戦争の際に散った高名な魔術師の名です」
追いついてきたザーランドが口を開く。振り向いて彼の顔を見つめると、どこか悲しそうな表情を浮かべていた。おそらくこの石碑に知っている者の名前があるのではないだろうか。
「それでも……また戦うんだね」
ノイアは少女二人の手から逃れて石碑に触れる。彼らは何を思って戦いに望んだのだろうか。家族の無事、それか大切な人を守るためだったのだろうか。それか自身の欲を満たすためだったかもしれない。どちらにしても悲しい事であるとノイアは思う。
「この石碑は戦いの愚かさを示すために……ノース様が立てられた石碑です。戦いに向かう心をこの石碑が諌めるようにと」
ザーランドの落ち着いた声が沁みていく。
「戦いを止めたい……そう願う女王か。ぜひ会ってみたいな」
ノイアは期待に満ちた視線を王城へと向ける。
「一緒に止めよう!」
シェルが胸の前で拳を握り力強く宣言する。
「入った先は……敵地かねぇ」
「すみませんが……それも覚悟して下さい」
肩をすくめるジュレイドに、淡々とつぶやくザーランド。
「危険は元よりも承知だ。それでも戦いを止めたいから……ここにいる」
ノイアは振り向いて二人の男性を見つめる。
「やれやれ思い切りがいいねぇ。なら行きますか」
ジュレイドは微笑んで歩を進める。皆は頷いて王城へと続く真っ直ぐな道をひたすらに進んで行った。
*
「そろそろですね」
ノースは薄っすらと瞳を開く。彼らが王都ローベルクに入ったという報告はすでに受けている。彼らがどこにも立ち寄っていないのであればそろそろ到着する頃だろう。
王座からゆっくりと立ち上がった女王は、床に敷かれた赤い絨毯を踏みしめながら進んでいく。左右に控える魔術師が膝を床につけて頭を垂れていくのを視界に収めながら緊張した面持ちで歩んでいくノースである。本来であればここで待っていればいいのだが、どうしても急く気持ちを抑える事ができなかったのである。
時間にして数十秒。
目の前に広がるノースの身長の倍はあろうドアに手を掛ける。ゆっくりとドアを開けて、下る階段に一歩を足を進めた所で一つの集団が目に入った。正確に言えば、彼らの先頭を歩く金髪の騎士の瞳が視界に飛び込んできたのだ。
迷うという言葉を知らないような力強い緑色の瞳だった。ノースの揺れた瞳とはまるで違う。これが歩む事を許された者の瞳なのだと直感的に感じる。その瞬間に体が固まって動く事ができなかった。
「ノース様、ただいま戻りました」
ザーランドの言葉が耳に入ったが反応する事ができなかった。それだけ先頭にいる騎士の瞳は力があったのだ。
「私がどうかしましたか?」
金髪の騎士がこちらに問う。その瞬間に心臓が一度跳ねる。
「い……いえ。申し訳ありません。私は……フィッツベル王国の女王……ノース・ロウ・フィッツベルです」
纏ったドレスのスカートを軽く挙げて会釈する。
「私はハールメイツ神国の騎士、ノイア・フィルランドです」
騎士が胸に手を当てて会釈を返す。その後にそれぞれが挨拶をしたような気がしだが、頭には入らない。王としての威厳を示すなどという事はすっかり頭から抜け落ちていた。
「ノース様……?」
ザーランドが眉根を寄せてこちらを見つめる。その姿を見てはっとしたノイスはすぐに平静を取り戻す。
「お疲れでしょうから……ますはお部屋に。着替えを用意しますから、その後は食事でもしながら話しましょう」
ノースはようやくそれだけを言う事ができた。
「感謝します」
ノイアと名乗った騎士が一度会釈をする。
「私が案内します。よろしいですね?」
「ええ」
ザーランドの言葉にぎこちなく頷く。まるで自らが人形みたいだとノースは思う。それだけ不自然だった。ザーランド以外は特に気にした素振りは見せていない。だが、これでは王として失格である。
彼らが去るのを見送って数秒経った時に女王はゆっくりと口を開く。
「あれだけ強い意志を持った方なら……この国を変えられる。それに比べて私は……」
自嘲の笑みを浮かべてノースは強く拳を握った。
*
「着いたようだな」
冷たい声が部屋を満たす。耳にするだけで悪寒がするような不気味な声だった。声を発したのは窓際に座る細身の男である。月明かりに照らされたこの男は、不気味な声も相まって浮世離れして見えてしまう。神か悪魔か。人という概念を超越したように見える彼は視界に収めるだけで体が震えてしまう。
「ああ。今は部屋で着替えているだろう。彼らにはこの国に来た所で、無駄だという事を教えてやる必要がある。ただ……情報にない少女が加わっているのが気にはなるが」
腕を組んでゲベルはつぶやく。一度ならず、二度も刺客をやり過した彼ら。それに加えて正体不明の少女まで同行している、という事にゲベルは少なからず不安を覚えずにはいられない。
「あれは……ただの失敗作だ」
窓際に座る男は淡々とつぶやいた。
ゲベルは眉根を寄せる。人をまるで物のように言う男。知り合ってすでに数ヶ月は経つが、今でも何を考えているのかまるで理解できない。それゆえにゲベルは問う。
「失敗作とは?」
ゲベルの声を聞いて細身の男はゆっくりと立ち上がった。ゲベルは震える体を叱咤して男の言葉を待つ。
「言葉通りだよ。私が作り……そして、捨てた。彼女はただの人形だよ」
男は表情を変えずにつぶやいた。何の感傷もなく淡々と事務的に語るだけ。表情から読み取ろうと努めるが、それは無駄な労力に終わった。
「人形……。警戒する必要はないと?」
「ああ。それよりも早く戦争を始めてくれたまえ」
返答は簡単なものだった。あまりにもあっさりと語る彼の言葉はなかなか頭に入ってこなかった。言葉を返さないゲベルに男は一度溜息をつく。
「そんな事で勝てるのか? 敵はそんなに甘くはないぞ」
男は興味が失せたのかつぶやくと同時にゲベルの右横を通り過ぎる。慌てて振り向いた時には男はドアノブに手を掛けていた。言葉を掛けなければそのまま去ってしまうような。そんな背中だった。
「必ず勝つ……そして、俺は王になる!」
ゲベルは慌てて去り行く背に向けて叫ぶ。王になるためなら、この怪しい男すら利用すると心に決めている。他国への侵略という大罪をも背負う覚悟である。
「そうか。ならば……私も力を貸すとしよう」
男はついに一度も振り向く事なく言葉だけを残して去っていった。
*
「私のドレスがないのだが」
ノイアは用意された衣類を見つめる。テーブルの上に並べられているのは色鮮やかなドレスである。だが、サイズが明らかに小さいのだ。シェルや錬が着るには問題なさそうだが、ノイアには明らかに小さすぎるのではなかろうか。
「もしかして……これ?」
シェルが手に取ったのは男性用の燕尾服だった。
「さすがに。それはないだろう」
苦笑いを浮かべて夜の最上級の礼服を手に取る。冗談のつもりで体に黒のスーツを合わせる。
「ピッタリじゃない」
錬が可笑しそうに笑う。
指摘通りにサイズはピッタリである。ノイアの身長は百六十センチ前半である。男性と比べれば小柄な部類に入る。自然と導き出される答えは二つである。一つ、ノイアを男性と間違えた。二つ、あえて男性用の礼服を用意したという事だろう。後者だというのであれば、これを着ろというのだろうか。今さら女性らしくか弱く振舞うつもりはさらさらない。だが、これはあまりの仕打ちではなかろうか。
「き……着てみて」
シェルが頬を朱色に染めて期待した眼差しを向ける。
「うーむ。ヒラヒラした物よりかは動きやすいのだろうが」
ノイアは男性用の礼服を見つめる。期待した少女二人の視線がどうもくすぐったい。
「はぁ……」
ノイアは一度溜息をついてしぶしぶ着替え始める。これから食事に招待されるのに軽装を纏って参加する訳にはいかない。服がこれしかないのであれば着るしかあるまい。
「ドレス……綺麗」
溜息をつくノイアとは別に錬の手伝いを受けてドレスアップしていくシェル。飛び跳ねる勢いで喜ぶシェルを見られるのは嬉しいが、どこか切ない気持ちがふつふつと沸いてくる。
(神よ……あなたはどこまで私をお嫌いなのですか……)
心の中で悲しくつぶやく。だが、天からの声など返ってくる訳はない。再度、溜息をついて男装するノイアだった。
*
「こんなもんか?」
鏡を見ながら同室にいる魔術師に問う。夜の礼服を身に纏い、先ほど茶色の髪をアップさせたジュレイドである。こんなしっかりした服を着る事があるとは夢にも思わなかった。
「だいぶイメージが変わりますね。いいのではないですか」
部屋の奥にあるベッドに腰掛けているザーランドが微笑む。この人物が嘘を言うようには見えないので、一応はまともには見えるらしい。
「ま……こんな汚れた手で小奇麗な服を着ても無駄かねぇ」
こんな皮肉しか言えない自分は本当に曲がっているとは思う。だが、本音でもある。今もせっかく豪華な食事に招待されたというのに、手には大口径の銃を持っている。
「その物騒な物は必要ですか?」
ザーランドの溜息交じりの声が切なく響く。その声はどこか残念そうだった。
「悪いな。これがないと……落ち着かないんだ。お守りだと思ってくれ」
つぶやいて背のベルトに銃を挟む。そして、漆黒のジャケットで隠す。
「仕方がありませんね。ここは大目にみます」
「悪いねぇ」
男性二人はお互いに微笑を称える。言葉を交わさなくても分かる。お互いに少しずつ信頼している事が。どうかこの信頼が崩れませんように、ジュレイドはそう強く願った。
*
赤い絨毯が敷かれた通路を落ち着いた足取りで歩く少女達。
そんな少女達を見た者の反応は分かりやすかった。愛らしい姿に溜息をつく、または驚愕の表情を浮かべてまじまじと見つめるという二種類である。
(穴があるなら入りたいな)
ノイアはそう思わずにはいられなかった。着心地は決して悪くはない。この姿で剣を振れと言われれば可能だろう。その点においては何の問題もない。
だが、所詮は男性が纏う礼服だ。それを女性である自分が纏う事による奇異の視線に耐えられない。慣れてしまえばどうという事はないのだが。
「やはりいいな。かっこいい……凛々しいよ、ノイア」
右斜め後ろから熱の入った声が届く。両手を朱色に染めた頬に触れてつぶやくその姿はまるで恋する乙女。どこかで育て方を間違えただろうか。女性である自分にそんな瞳を向けるのは元世話係としては心配で堪らない。
「ふふ。本当に悪くないわよ、ノイア。いっそ男性になったら?」
錬は心底楽しそうだ。
「私は女だ!」
左斜め後ろを鋭く睨む。
「レディーはそんな事で叫びませんわ」
ドレスの裾を摘まんでわざとらしく丁寧な口調で話す錬。
まさしくその通りであるので言い返す事ができない。だが、不思議と錬に言われると嫌味を感じない。どこか大人の余裕すら感じるからだ。
「まあ……いいか」
ノイアは本日何度目かの溜息をついて通路を進む。
指示された部屋に辿り着くには数分と掛からなかった。四メートルはあろう巨大なドアの背に体を預けて待っていたのはジュレイドだった。
「ザーランドは?」
姿の見えない人物を求めて第一声を発するノイア。
「中にいるよ」
ジュレイドはドアを左手の親指で示す。それからゆっくりと背をドアから放す。
「そうか。何か怪しい所は?」
「ない。ザーランドの所属している第二師団の魔術師が固めているみたいだ。中にはゲベルとかいう奴の刺客がいるかもしれないが、これだけ周囲を固めれば安心だろう」
ジュレイドが一度瞳を閉じて気配を探る。
ノイアも先ほどから複数の視線を感じている。見張られる視線と、張り詰めた視線の二つだ。前者がゲベルの刺客、もう一つはザーランドの部下だろう。後者の方が多いのは確かだろう。
「なら……ゆっくりとご馳走になれそうね」
錬は笑顔でドアへと向かう。その背を追いかけていくシェル。青い瞳が一瞬だけ傭兵の視線と重なったように見える。
「お姫様はいつにも増して可愛いねぇ」
ジュレイドがつぶやいて黒髪を撫でる。シェルの心を正確に読み取って言葉を掛けたのだろう。
「えへへ。そうかな」
シェルは満面の笑顔でつぶやく。立ち止まり嬉しそうに自らの水色を基調としたドレスを見つめる。
「ああ」
ジュレイドは優しい笑顔を浮かべる。どうやら昨日の迷いはもう晴れたらしい。
「なら……良かった。行こう、ノイア」
シェルが左手を差し出す。
「分かりました。姫様」
ノイアは姫をエスコートする騎士のようにそっと少女の手を取る。シェルは幸せそうに笑う。その笑顔が見られるだけでこの服を着てよかったと思うノイアだった。
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