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第1話:光り輝く檻のなかで

初めての投稿になります。

拙い文章ですが、最後まで描き切りたいと思っていますので、最後までお付き合い下さい。

 ベインツ王国の夜を彩る、まばゆいばかりの魔導灯の光。

 王宮の広間は、今宵、国中の貴族たちが集う熱狂の渦の中にあった。


「……ふぅ」


 アルバスタ公爵令嬢、アンジェリカ・アルバスタは、重厚な扉の影で小さく息をついた。

 プラチナブロンドの髪を腰まで流し、アメジストの瞳を伏せるその姿は、壁に飾られたどの名画よりも美しい。

 けれど、その瞳にはどこか冷めた色が宿っていた。


 今日は、婚約者である第一王子、アルベルトの十八歳の誕生日。

 そして、この国の「王族」にとって、人生を左右する運命の日でもある。


「アンジェリカ嬢、ここにいたのか」


 背後から声をかけてきたのは、プラチナグレーの髪を短く整えた少年だった。

 レオナルド・ベインツ。第二王子であり、アンジェリカにとっては義理の弟となる予定の人物だ。


「レオナルド殿下。……お疲れではありませんか?」

「僕のことはいいよ。主役は兄上だ。……それより、アンジェリカ嬢。顔色が悪い。兄上に何か言われたのかい?」


 レオナルドのエメラルドの瞳が、心配そうに彼女を見つめる。

 アンジェリカは、いつものように完璧な貴族の微笑みを貼り付けた。


「いいえ、何も。……ただ、アルベルト殿下は少し、お気持ちが高ぶっていらっしゃるようですから」


 言葉を選んだが、実情はもっと酷い。

 先ほどまで、アルベルトは酒の勢いに任せ、「お前のような堅苦しい女が隣にいると、酒がまずくなる」とアンジェリカを罵倒していたのだ。

 それを思い出し、アンジェリカはそっと扇で口元を隠した。


「……兄上は、貴女がどれほどこの国のために尽くしているか、理解しようともしない」


 レオナルドの声に、わずかな鋭さが混じる。

 彼はアンジェリカが五ヶ国語を操り、王妃教育を完璧にこなし、実務においてもこの国を支えていることを誰よりも知っている。


「いいのです。私は、この国の『王妃』になるために育てられましたから。……それが私の義務です」


「……義務、か」


 レオナルドが何かを言いかけたその時、会場がひときわ大きく沸き立った。


「……来たな」


 レオナルドの視線の先。

 広間の中央に、ひときわ豪華な衣装を纏ったアルベルトが立っていた。

 その隣には、見慣れない少女の姿がある。


 ピンクブロンドのふわふわとした髪に、ピンク色の瞳。

 メルフィール子爵家の令嬢、プリシラだ。


 アルベルトは、集まった群衆を満足げに見渡すと、アンジェリカの存在など忘れたかのように、大声で宣言した。


「皆のもの、聞け! 私はたった今、運命に導かれた! 私の『番』は、ここにいるプリシラだ!」


 静まり返る会場。

 王族にしか現れないという、魂の伴侶「番」。

 アルベルトは、隣にいる小柄な少女の肩を抱き寄せ、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「アンジェリカ! お前との婚約は、あくまで義務だった! だが、私は真実の愛を見つけたのだ。これからは、プリシラこそが私のすべてだ!」


 広間の視線が、一斉にアンジェリカに突き刺さる。

 同情、嘲笑、困惑。

 アンジェリカは、ドレスの裾を握りしめようとする手を、辛うじて止めた。


「……おめでとうございます、アルベルト殿下」


 震える声を出さないよう、喉の奥を固める。

 その横で、レオナルドが拳を強く握りしめていることに、アンジェリカだけが気づいていた。


 物語は、ここから音を立てて動き始める。

誤字を見つける度、細かく修正しています。

不慣れなため、何度も更新をかけており、すみません。


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