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第3話:ライバルとの初対決


佐藤ハルトは、アパートの部屋で鏡を見ながら新しいシャツを着直した。ミナミに選んでもらったシンプルな白シャツとジーンズは、ヨレヨレのTシャツ姿だった以前の彼とは別人に見えた。部屋も片付き、配信環境は少しマシになった。だが、ハルトの心は落ち着かなかった。


ライバルKAIの言葉が耳に残る。


KAI「お前の企画、所詮一発屋だろ。才能と努力がなきゃすぐ消えるぜ」


前回の配信「視聴者と一緒にKAIを倒す!リアルタイム指示でバトルクロニクル攻略!」は大成功だった。視聴者数70人、登録者72人に増え、コメント欄は100件を超えた。ハルトの「史上最低ライバー」というレッテルは、逆に視聴者を引きつけるネタになりつつあった。だが、KAIの1万人の登録者には遠く及ばない。


ハルトはノートに書いた目標「KAIを越える。登録者1万人」を睨み、決意を新たにした。


「よし、今日もぶちかますぞ!」


ハルトは新たな配信企画を用意していた。


「史上最低ライバーの公開反省会&KAIに挑戦状!」


企画は二部構成だ。


前半は、前回の配信の「ダメな点」を視聴者と一緒に振り返り、改善案を募る「公開反省会」。


後半は、KAIの得意ゲーム「バトルクロニクル」の高難度モードに、視聴者の指示で挑戦し、KAIに「挑戦状」を叩きつける内容だ。サムネイルは、ミナミのアドバイスで「KAIのシルエットに立ち向かうハルト」のイラスト。


100円ショップのタブレットで描いた拙い絵だが、妙な迫力があった。


夜8時、配信開始。ハルトはカメラに向かって笑顔で話し始めた。


ハルト「よお、みんな!史上最低ライバーの佐藤ハルトだ!今日はさ、前回の配信を振り返って、みんなに『ここダメだった!』って突っ込んでもらう反省会!んで、後半はKAIに挑戦状出すぜ!あの1万人の登録者持ってるKAIに、俺、絶対負けねえから!」


視聴者数は開始10分で50人。コメント欄が早速賑わう。「ハルト、声デカすぎw」「前回の死に方、伝説だったぞ」「KAIに勝てるわけねえwでも応援する!」


ハルトはコメントを読み上げながら、反省会を始めた。


ハルト「まず、前回の配信、みんなのおかげでボス倒せたけどさ、俺のトーク、めっちゃ噛んでたよね?ほら、このシーン!」


ハルトは前回の配信のアーカイブを画面共有し、操作ミスで叫びながら噛みまくった場面を再生


視聴者から「wガチでひどい」「滑舌やばいw」と笑いのコメントが殺到


ハルト「よし、みんなの改善案、教えてくれ!トークどうやったらマシになる?」


コメント欄に提案が飛び交う。「ゆっくり喋れ!」「滑舌練習しろ!」「面白いネタ仕込め!」


ハルトは一つを選び、即興で試した。


ハルト「よし、滑舌練習ね!えっと、『カエルの歌が聞こえてくるよ』…って、うわ、噛んだ!w」


視聴者数は60人に増え、コメントは「ハルト、練習しろw」「でもなんか応援したくなる!」と温かい雰囲気に。反省会の後半、KAIへの挑戦に移る。


ハルトは「バトルクロニクル」の高難度モード「インフィニットアリーナ」を起動。KAIがこのモードで最速クリア記録を持っていることを、視聴者に伝えた。


ハルト「KAIはこのステージを15分でクリアしたんだって。俺、絶対30分以内にクリアする!みんな、指示頼むぞ!」


視聴者からの指示がコメント欄に溢れる。「左にダッシュ!」「スキル貯めろ!」「敵の攻撃パターン覚えろ!」


ハルトは必死で従うが、操作ミスで何度も死ぬ。それでも、視聴者の「ハルト、諦めんな!」「次、絶対いける!」という声に励まされ、続ける。


25分後、奇跡的にボスを撃破。画面に「STAGE CLEAR」が出て、コメント欄は「マジ!?」「ハルト、すげえ!」「KAIに挑戦状キター!」と大盛り上がり。視聴者数は最大90人、コメントは150件を超えた。ハルトは汗だくで叫んだ。


「みんな、ありがとう!これ、KAIに見せてやるぜ!俺、史上最低かもしれないけど、絶対世界一になるから!」


配信後、ハルトの配信クリップがStreamStarのトレンドに載った。「史上最低ライバーの挑戦状」が一部でバズり、登録者は一気に100人を超えた。だが、喜びも束の間、KAIからの禁止コンテンツからX.comKAIが自身のXアカウントでハルトの配信クリップに反応していた。


「@HaltStream

30分?遅すぎw 俺なら15分で終わる。雑魚は黙ってろよ」と、挑発的なポスト。


ハルトはスマホを握りしめ、悔しさで震えた。


ハルト「絶対…見返してやる」


翌日、バイト先のコンビニで、ミナミにその話をすると、彼女は目を輝かせた。


ミナミ「ハルト、KAIが反応したってことは、向こうも意識してるってことじゃん!次はもっとデカい企画でぶち抜こう!」


ハルト「デカい企画か…例えば、KAIと直接対決とか?」


ミナミ「それ、めっちゃ熱い!でもさ、KAIのファン、めっちゃ多いから、荒らされないよう準備しなよ。ほら、トーク力とかもっと磨いて!」


ハルトは頷き、ミナミとトーク練習を開始。早口言葉や、視聴者からの質問に答えるシミュレーションを繰り返した。


ミナミ「ハルト、もっとリズムつけて喋れ!視聴者引き込むには、感情入れるんだよ!」


数日後、StreamStarの公式イベントが発表された。


「ライバーバトルロイヤル」


人気ライバー同士が「バトルクロニクル」で対決し、視聴者投票で勝者を決める大会だ。KAIが参加を表明し、ハルトもエントリーを決意。登録者100人 vs 1万人の戦い。


ハルトは新たな配信で、視聴者に協力を呼びかけた。


ハルト「みんな、KAIとの直接対決、決まったぞ!俺、史上最低だけど、みんなと一緒なら勝てる!応援、頼むぜ!」


視聴者数は120人に達し、コメントは「ハルト、絶対勝て!」「KAIぶっ倒せ!」と熱狂。ハルトはノートに新たな目標を書き加えた。


「KAIを倒す。登録者1000人」


史上最低ライバーの戦いは、まだ始まったばかりだ。


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