<ロイドとの密室>
これはきっと、明がやったのではなく、ラビットが切ったんだろう。
私はこの状況を整理しながら、ラビットの部屋へ行くために、エレベーターの方向へと
走る。
これはきっと、明がロイドの部屋をでて、ロイドに変装して、ラビットの部屋へ行ったということだよね。
ちょうどエレベーターの前へ来たので、順番を待つ。
ティーンティロリーン
綺麗な音楽が流れて、エレベーターの扉が開く。中に入って、41階のボタンを押す。
「すみません。私も乗らせていただけますか。」
女性の声がしたので、あわてて開くボタンを押す。中に入ってきたのは…ロイド⁉
うそ…まさか、女性のふりをしたの⁉
ロイドはとっさに閉めるボタンを押す。扉が閉まった。明らかに密室。早めに降りようと、別の階のボタンを押そうとする。だけど、ロイドがボタンの前を封鎖した。
ここって、1階だから、41階まで、十分時間がかかるよね…?
ロイドがにらんできて、震えあがる。あの時の記憶がよみがえってきてしまう。
明…!助けてよ!
私は心の中で明に助けを求める。
トゥルル…トゥルル…
携帯から電話が来る。着信は、明。一応通話ボタンを押して、放っておく。そうしたら、明にも今の私の状況がわかるはず…!
ドヒュン!
銃音と同時に、私の左腕に強い衝撃が走る。きっと、ロイドが撃った拳銃の弾がかすめたんだろう。
「っ…!」
私が声にならない叫びをあげると、ロイドが低い声で言った。
「…。フッ、あの時の子どもか…。あの部屋に入ってきた男も、ちょろかったぜ。」
私はその言葉にかっときて、言い返す。
「明のことをそんな風に言わないで…!」
痛みに耐えていると、話しにくい。
「ああ、あの男、明っていうんだな。あと…、やりかえさないなら、こっちがやるぜ?」
ロイドが拳銃を構える。やり返したいのに、左腕が痛くて、やりかえせない。
「時間を与えているんだから、さっさとやったらどうだ?それとも痛くてできないかい?」
ロイドが、チャンスだというかのように、不敵な笑みを浮かべて、引き金に指を強くかける。
もうダメ…!
ティーンティロリーン
エレベーターの到着音が高らかに響く。それと同時に、ドアが開きかけた。
「もう、待たねえぞ!」
ドヒュン!
銃音と同時に、あたりが煙でつつまれて。
私は意識が遠のいていくのを感じながら、だれかに思いっきり引っ張られて、どこかに連れていかれた。