<明はどこ⁉>
ロイドの部屋の前に着くと、扉を開けた。中は、シーンと静まり返っていて、あれ散らされている。
私はわざとロイドに聞いた。
「ねえ、明。なんでロイドの部屋、あれ散らされているんだろう。」
ロイドは答える。
「さあ、どうだろう。」
私は、ロイドの背中をバンっと前に突き出す。
「怖いから…明見てよ。」
わざとそう仕向けると、ロイドは部屋の中を見回した。今が、チャンス。ロイドが私に背を向けているのなら…。
ちらりと部屋を一応のために見回す。えっ…明がいない⁉
本当は、ロイドにけりを入れてから、明を助けるつもりだったんだけど…こうなったら。
ドンッ
ロイドを部屋の中に入らせると、眠り薬入り煙玉を発射。ドアをバンッしめて、鍵に細工を仕掛ける。さっき、明を閉じ込めたのだから、ロイドは簡単に解除できると思うけど、一応時間稼ぎ。
そのあと、明を探しに、一目散に駆け出す。これでもう、完全にロイドに私達が裏で作戦を練っていたことがばれる。けれど、明を探すためには仕方がない…!
走りながら、「明」と書かれた電話の通話ボタンを押して、耳に携帯を押し当てる。
トゥルルル…ブツッ
すぐに電話がつながった。私は走りながら、電話の向こうに声を飛ばす。
「明…明?嬉々だよ。今、どこ?私はロイドの部屋付近。時間稼ぎのために、ロイドを部屋に閉じ込めたんだけど…」
「嬉々…。無事でなりよりだ。でも、なんで逃げなかったんだい。」
明がしおれた声で話す。でも、どうやら疲れてはなさそう。
「怪盗として逃げることは恥だと思ったから…だよ。それより、明はどこ?」
私は一生懸命明に問いかける。
「僕は…今、」
明が電話の向こうから話しかけてきた時だった。
「あら…ロイド、どうしたのよ。電話?だれに?もう、今夜はパーティーなんだから、清掃よろしくね。」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。これは…ラビット?明がロイド?どういうことだろう。
「あ、はい。ラビット様。清掃がんばります。」
この声はロイド…⁉まさか、明がロイドのふりをして、ラビットの部屋へ入っている?
「誰と電話しているのよ?ロイドは私にだけ一生をかければいいのよ!」
ブツッ
電話が切れた。