<不吉な予感>
夜。明と合流して、駅に行った。
外は、まだ1月なので、凍えるほどの寒さだ。
あの後、超高層マンションについて調べると、そこには係員さんが数十人いると知った。
ならば、係員に変装するのがいいだろう。
どうやら、ラビットの係員は、ロイドとミナらしい。
それを明に伝えると、明は頭を傾げた。
「う~ん。ロイド…ロイド。なんか、聞いたことある名前な気がする。」
たしかに、わたしも調べた時は思ったんだけど。
ま、いっか。って。
「うん。私もそうは思ったんだけど…まあ、いっか。って。」
私が言うと、明はうなずいた。
「わかった。それはおいておこう。僕が調べたのは、超高層マンションの設計だよ。
…ここ。ロビーへの入り口があるんだ。だけど、ここは鍵がないとは入れないし、普段見かけない人は怪しまれると考えた。
だから、見つけたところは…ここ。関係者以外立ち入り禁止って書いてある場所。
ここ、どうやら係員の部屋へつながっているらしいんだ。
だから、嬉々はミナ、僕はロイドに変装したら、いいと思う。」
明、すごいな。色々考えている。私は明が言ったことに賛成して、うなずいた。
「うん。私はそれでいいと思うよ。」
話し合っていると、電車が来た。私たちはその電車に乗り込む。
2席空いているところを見つけると、そこに明と一緒に座った。
ここの駅から田原駅まで、7駅。全部で40分弱か…
12時におひとましする予定だから、このくらいでいいのかな。そう考えながら、作戦を練った。
40分電車に揺られて、ついたところは超高層マンション前。
見上げてみると、ざっと150メートル以上ある。
明と一緒にさがして、関係者入り口を見つける。
私がドアノブをまわしても…もちろん、開かない。まあ、これは想定内のこと。
ピンを取り出して、適当にひねくりまわす。
鍵穴にさして回すと…開いた。
扉を開けると、長い廊下が続いていた。
その両端に、プレートに書かれた号室の部屋が、エレベーター奥の行き止まりまで続いている。
え~っと。ロイドとミナのところは、何号室だっけ。私が明に助けを求めると、
「ロイドは105号室で、ミナは159号室。二人とも一階だよ。」
明が答えてくれる。
「ありがとう。じゃあ、変装したら、41階の4010号室の前でね。
あ、あと合言葉を決めておこう。もし、変装されたらってことで。」
私は念のため、明に言った。
「わかった。合言葉は…う~ん。怪盗に勝利を!で、いい?」
私は思わずその言葉でフフッと笑ってしまった。
「いいよ。じゃあ、またあとで。」
私は明にそう伝えると、一目散に駆け出した。