<パートナーは幼なじみ⁉>
翌朝。あまり眠れなかったせいで、体が重い。
ベッドの上でごろごろしていたら、私の部屋…一応、寮の部屋のチャイムが鳴った。
ピーンポーン
だれからだろう。
だるい体を無理に起こして、制服に着替える。
怪盗も、一応怪盗学園があるんだよね。
「ちょっと待ってもらえますか~。」
そうドアの向こうの人に向かって叫んで、身だしなみを整える。ブラシで髪をといて、顔を洗って。
あっ部屋も整理しなきゃ。でも、部屋は綺麗な方だし、ま、いっか。
あわててドアに駆けつけて、ガチャリとドアノブをまわす。
「おまたせいたしまし…たあ⁉」
ドアの向こうにいた人を見て、あっけにとられる。
そこにいた人が…私の幼なじみの、明だったから。
「いきなり来ちゃってごめん、嬉々。エレナ様から、嬉々のパートナーになってくれって言われてね…。」
「パートナーって明のことなんだ。」
「うん…。」
この状況って、整理しにくいけど…明が私のパートナーってことだよね。
ジリリリッジリリリッ
1限目が始まる合図が響く。
とっさに明が私の腕をひっつかんで、引っ張った。
「ええっ」
私は明に引っ張られながら、部屋を後にした。
「え~、では、二人はパートナーとして話し合っていたために、遅れたと…」
「はい。僕が、いきなり訪ねたのが悪いんです。」
明が担任の先生の花野先生に言う。
「えっ。明のせいじゃないよ!」
私が言うと、花野先生の眉毛が上がった。
「とにかく二人とも、廊下に…」
「わたくしの責任ですわ!」
バンッと教室のドアを開けて入ってきたのは…エレナ様!
「エ、エレナ様…。」
花野先生はその場で硬直する。
「わたくしが、今日の朝に行きなさいといったからなの。いい?さあ、明、嬉々。席に着きなさい。」
「「あ、ありがとうございます!」」
私と明は同時にお礼を言って、席に着いた。
学園後、明はきちんと説明してくれた。
「エレナ様は、寮にいる人たち全員を、ペアにしたんだ。理由は、教えてくれなかったけどね。そして、嬉々と明は幼なじみだから、ペアにしたら好都合だと考えて、パートナーにしたんだ。
そして、試しに今日の夜、田原駅にある、超高層マンションの41階4010号室に巻物を取りに行けって…」
「えっ…」
行く以外、ないよね。
「わ、わかった。今日の夜、明の部屋に行くね。」
「うん、ありがと。じゃあ、今日の夜九時…僕の部屋に来てね。あ、ちなみに僕の部屋、2階の一番奥だから。」
その後、明とは別れた。
「はあ…」
急に疲れがどっと出てきて、ベッドの上に寝転がる。
超高層マンションだなんて…しかも、41階。私のニュースからの情報の記憶からして
最上階だ。
あっ…!
たしか、田原駅の超高層マンションの41階って…ニュースでやってた…!
私はがばっと飛び起きて、机の上にあるタブレット端末を開く。
パスワードを入力して、「田原駅 超高層マンション 41階」
と、検索。でてきたのは…やつらの一員…ラビット!
やつらとは、理由は知らないけれど、私達の巻物集めを邪魔する集団。今までにも何回も
邪魔されてきたんだ。ラビットは、変装上手の女性。
そして、やつらはなんと、超人気芸能人ばかりなの。だから、住んでいるところは大抵わ
かるので助かるんだけど…。やつらが住んでいるところに侵入だなんて…!
すぐに明に電話をかける。
トゥルル…トゥルル…ブツッ
「あ、明…!知ってる?今から私たちが侵入する場所、やつらの場所だってこと。」
電話の向こうから、ちょっぴり焦ったような声が返ってくる。
「今、そこについて調べていたところ。ラビットが住んでいるなんて…今回は手ごわそうだね。」
「うん…どちらかが変装されるリスクもあるの。」
私は震える声で、明に言う。
「とにかく、夜までにいろいろなことを調べておこう。」
「うん…。じゃあ、また夜に。」
ブツッ
私は返事をした後、通話終了ボタンを押した。
今はとにかく、あちらの情報を調べよう。