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【書籍化決定】貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜  作者: やきいもほくほく
三章

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37/77

③⑦ リュドヴィックside1


(温かい……)


リュドヴィックは眩しさと温かさを感じて目を開く。

状況が把握できずに何度か瞬きを繰り返す。


(まさか、私が人前で眠っていたのか……?)


リュドヴィックは信じられない気分だった。

慌てて体を起こそうとすると隣から「うーん」と、唸るような声が聞こえた。

驚いてしまい、隣を見るとそこには気持ちよさそうに眠っているディアンヌの姿があった。

ストロベリーブラウンの髪と長いまつ毛、健康的な肌色とほんのりとそばかすが見えた。

色素が薄い自分とは違い、ディアンヌは性格含めて元気がよく感情が表に出やすいようだ。


いつも理性的だった自分が勢いだけで結婚に踏み切ったのは、両親への反抗もあったのかもしれない。

後悔はないが、こんな自分がディアンヌとピーターを幸せにするという責任を取れるのか不安は残る。


ベルトルテ公爵家で、厳格な環境の中で育てられたリュドヴィックは反抗することなく大人しく従っていた。

両親は家名やプライドを重んじる貴族らしい人だったからだ。

夫婦仲も最悪で一緒にいるところなど、社交界以外で見たことはない。

幼い頃から宰相になるために厳しく躾けられた。

その方が効率がいいし、自分を殺せば安寧が手に入る。


しかし姉のアンジェリーナは違った。

この環境に反発して、いつも足掻いていたように思う。

感情を失っていく自分を見て姉が『リュド、守れなくてごめんね』と言ったことが、今でも忘れられなかった。

姉がリュドヴィックの心を守ろうとしてくれていたのだと、今なら気づくことができる。


姉の反抗的な態度も足掻いている姿も、子どもの頃は『無駄』だと思っていた。

けれど姉が街で助けたマリアはこうして公爵家で侍女長を務めるほどに成長した。

彼女はリュドヴィックを支えてくれているが時折、悲しそうな目でこちらを見ていることがある。

お礼を言おうにも姉はもう手の届かない場所にいるのだ。


(私は姉上に対して何も返せていない……)


アンジェリーナが公爵家を出ていくまで追い詰められたと知った時もリュドヴィックには何もできなかった。

自分を守ってばかり。

だからこそアンジェリーナが残したピーターを大切にしたいと思った。

少しでも恩返しがしたい。何も力になれなかった分も。


(……これは罪滅ぼしだ)


それにピーターが後継としていれば、結婚する必要もない。

今思えばリュドヴィックが結婚をしないことは、両親に対する唯一の反抗だったのかもしれない。


両親はピーターをベルトルテ公爵家で引き取ることに反対しなかった。

少なからず後悔があったのかとも思ったが、会いにこないことを見る限り、それもないのだろうか。

リュドヴィックが結婚しない以上、後継ぎができないことを憂いただけかもしれない。

だが、愛を知らないリュドヴィックにピーターの悲しみを癒せるはずがなかったのだ。

一カ月、試行錯誤するもののピーターとうまく心を通わせることができなかった。


ピーターと共に過ごしてわかったことは、自分には手に負えない存在だということだ。

母を亡くして悲しんでいるかと思いきや、いたずらをしてみたり周囲を困らせている。

それにリュドヴィックのそばにいたがるため、仕事が進まずにヤキモキしていた。

ピーターが何をしたいのか理解できないのだ。

ベテランの乳母であるエヴァですらピーターに振り回されてしまう。


ただ、彼が食事をあまりしないことが気になっていた。

食材や作り方を変えても口にしないそうだ。

完全にお手上げ状態だった。

ピーターのことや仕事が重なり、リュドヴィックは限界を迎えようとしていた。

予想外の行動までする彼に、苛立ちを感じて冷たく接してしまう自分に自己嫌悪を感じてしまう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 子供って予想外の塊りだからねー。「う◯ち出た〜」って言いに来るのは可愛いうちで、「見て〜」って手乗りにするのは勘弁してって思うよね♪子育てにふれてない人が子供で夢見たら、そりゃ理解不能だよー…
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