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豆州から飛び立つ  作者: 練習中
1487年〜
6/58

海の景色

主人公はともかく他のキャラの感情表現が苦手なため、中途半端な文章で申し訳ないです。


主人公まだ13歳だからまだ若様でいいのかな。



◾︎駿河国


 龍王丸方が戦の準備を始めたとの報せを受け俺は軍を動かした。総勢1500の軍勢。数日遅れて父が後詰としてやってくることになっている。

 この戦は時間との勝負だ。龍王丸方が駿河の国府を占領し体制を整えるまでの間に、こちらはできるだけ多くの土地を切り取らなければならない。


 まずは堀越公方の影響の及んでいた国境辺りの地侍を吸収しつつ西進、大した抵抗なく興国寺城を落とした。

 河東は当主代行の小鹿範満の影響力が強い地域だった。味方であるはずの堀越御所の突然の攻撃に為す術なくといった感じであった。


 続けて兵を2手に分けた。一方は興国寺城の南を東西に走る根方街道を西に進み善徳寺城へ、もう一方は海近くを結ぶ東海道を西進して後詰の水軍と共に吉原城へ向かった。両城ともに情報が伝わっていなかったようで奇襲で落とせた。


 これで潤井川以東の海沿いは制したことになる。この時点で龍王丸方はようやく小鹿範満討伐の兵を動かしたところであった。こちらの動きには当然気付いてはいない。

 これは行けるぞ!ということで一気に富士川左岸(富士市街地)を制圧、富士宮市方面への対応は少数の兵を置き後詰に来るであろう父に依頼しておいた。


 俺はというと兵を本隊と別働隊に分けた。

 本隊は富士川の手前まで前進、そこで庵原郡の東端の蒲原城を睨む。

 別働隊は船に300程の兵を乗せて由比と興津の境にある薩埵峠に派遣した。薩埵峠は古くは足利将軍家初代尊氏と弟直義が争った地でもある。

 現状は狼煙場として使われている程度だったので拡幅して砦とし興津川対岸の横山城など龍王丸方を見張るように命じた。横山城を本拠とする興津氏は水軍を持つため海の監視も重要である。

 あとは薩埵峠と富士川の間に所領を持つ由比氏と蒲原氏をじわじわと降伏を促しながら締め上げるのみ。



○ ○ ○



◾︎駿河国庵原郡蒲原城



「お爺様。この城から駿河湾を眺めるとまた一段と大きく見えますね」


「そうですな。駿東郡で見た景色よりこちらの方がより雄大に見えます」


 こうして爺孫コンビで談笑している場所は富士川を超えた庵原郡最初の城になる蒲原城。

 治めていたのは傍に控える蒲原左衛門尉満氏。その表情は読めない。足利から辿れば分家(吉良)の分家(今川)の分家(蒲原)。左衛門尉は今川家の家臣と幕臣の身分を併せ持っていたようだが関係ない。東西から締め上げ降伏させた。武力で負けたわけではない。だから左衛門尉が心から心服していないはずだ。

 まあ、考えていても仕方ない。心服させるまでだ。


 視線を南西に向けると東海道の親不知とも呼ばれる薩埵峠が見える。そこに砦を築き完全にこちら側のものとなっている。


「この地は東西の人の行き来を抑える要衝。富士川沿いを北上すれば甲斐へ向かうこともできる」


 そう口にしながら左衛門尉に視線を移す。


「足利一門としてこの城を守ってくれるか?」


「…は、はっ!」


 この言葉に左衛門尉は動揺したようだ。返答に戸惑いを感じた。


 そうこうしいると小姓がやって来て告げる。


「若様、今川家より使者が参りました」


 ようやく御相手が動いてきた。



○ ○ ○



◾︎同上


 今川からの使者は知らない名前の者だった。俺の知識からしたら知らない者の方が多いから仕方ない。けれど、伊勢新九郎とか来てくれたら面白かったのに。


「用を申せ」


 上座に向かいながら使者に対して雑に言い放つ。戦場では細かい儀礼などどうでもいい。俺の態度に祖父が何か言いかけたが無駄だと諦めたようだ。



「当家の領土に断りもなく兵を進めたこと、主龍王丸を始め我ら今川家臣一同困惑しております」


 今川家の使者の問いは聞いて当然のことだった。 お飾りに等しい堀越御所に攻められるとは思わないよな。


「小鹿方の城を奪ったまで。龍王丸殿には駿河国府をしっかりと抑えてもらいたい」


 第三者から見ればどちらの方に分があるだろうか。

 この後もいくつか言葉を交わしたが、話し合いが実を結ぶことなく使者は帰っていった。


「若様。一体どうなさるおつもりですか?」


 そう尋ねてきたのは祖父だった。

 この場にいる一軍の将たる人物は俺と祖父のみ。こちらに降った左衛門尉を加えても3人しかいない。

 吉原までは四郎左衛門や兵庫助もいたのだが2人は今、薩埵峠の砦とそれ以東の海路を抑えてもらっている。


「そうだな、興津川を境に領土を確定させたいと思っている。父上に富士(氏族)を牽制していただいているが伊豆の国衆が乗り気でないために未だ膠着している。だから俺が直接乗り込み、此度の戦を終わらせる」


 手を握りしめながらそう宣言すると祖父が感動したように目をうるうるとさせていた。左衛門尉は唖然とした表情をしている。

 と思っていたら祖父が切り返してきた。


「ですが若様が行かれる必要はありませんぞ。一国衆ごとき堀越執事である儂が参りましょう!」


 祖父の勢いがすごい。武士とはこういった存在なのであろうか。思わず頭を抱えてしまった。味方でも相手も見栄を張るようなムーブをされると後に困るのだが。仕方のない祖父だ。


「お爺様、今回だけですよ。本来はやる気の有無ではなく、条件に適した人員を送らなければならないのだから」


 後日、蒲原城を以前口にしたように左衛門尉に任せ俺は善徳寺に陣を構える父の元へ。祖父は後詰の兵を加え2000の軍勢で北へと進んでいった。


 

ついにネタ&ストックが切れました。

次回は父との会話と富士郡の統一、次次回は帰宅、その後は内を固めたり外交(?)をとは考えています。しかし、自分の文章と発想に納得がいかないのでしばらく更新は空きます。

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