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豆州から飛び立つ  作者: 練習中
1494年〜
31/58

西の情勢(2)

今回は短い上に中盤が訳分からない文章になりました。

難しいこと書くのは駄目ですね。自分でも分かりません。




◾︎相模国小田原城


「続いては尾張にございます。治めるは尾張・遠江守護斯波家。美濃船田での戦に巻き込まれ先年の今川の遠江侵攻には援兵を送れず。現状は機会を伺っているようです」


 尾張・遠江守護斯波武衛家当主は斯波左兵衛佐義寛。

 武衛というのは代々当主が任ぜられてきた官職左兵衛左(督)の属する兵衛府の唐名に由来する。


 尾張という国自体、津島や熱田といった良港を抱えているため商いが盛んだ。

 箱根屋を営む助五郎もまずは熱田に向かったと聞いている。


 武衛殿は先年まで中央の幕府軍に従って河内国や近江国に、また越前守護を取り戻すために越前国と頻繁に出兵していたことを考えるとこの時代の武家にしては良く国をまとめている方だと思う。


 ちなみに、三河国のくだりで知多半島に戸田氏が勢力を持っているという話があったが、こちらも似たようなもので、知多郡の分郡守護も一色氏であった。

 どちらも経緯は分からないが、一色氏の領地が戸田氏へ簒奪または継承されたのだろう。


「お待ちくだされ」


 そこで静止が入った。


「どうしたのだ四郎?」


「西の情勢とは隣国駿河今川家が関与する遠江国まででなく、尾張までも探るものなのですか?」


 純粋な疑問だな。

 

「人というものは他人が思う以上に己が欲望に忠実に動くものだ」


 四郎が不思議そうな顔をして聞いている。その辺の経験は少ないか。


「そうだな。例えば、今川家が遠江に攻め込むのは何故だ?」


「幕府や斯波家に奪われた遠江守護を取り戻すためにございます」


「何故取り戻そうとするのだ?」


「それは……今川家としては足利御一家吉良家の分家である今川家の名に懸け、奪われた物は取り戻さなければならないからだと考えます」


「その通りだ。しかし、それは現守護の斯波家も変わらない。1度就いた守護を剥奪されては足利の庶長家としての面目が丸潰れだ。2.30年程前には家祖の同母弟の末裔の渋川出の人間に乗っ取られかけたからな。奪われることには敏感だろう」


 2.30年前に斯波家を乗っ取りそうになった渋川の人間の名は斯波義廉。元は父が堀越に入った当時2人いた堀越執事のうちの一人渋川義鏡の子である。

 もう20年程生存を聞かないので死んでいるかもしれない。


「話を逸らしてしまったな。人の欲望とは果てなきもの。今川の行動が己の面目を果たした時、斯波もまた己の面目のために遠江へ攻め入る。そこに幕府も絡むかもしれない。それに対処するためには広い視点が必要なのだ」


「それが尾張まで探ることに繋がるのですか?」


「いや、紀伊国まで探らせている。船旅は伊勢までだが、もしもの時の影響を考えると隣国は無視できないからな」


 視線を四郎左衛門に向けると“その通りにございます”と答える。


「そこまで探る意味はあるのですか?」


「今はないかもしれない。しかし、いざという時に役立つかもしれないぞ」


「そんな曖昧な……」


 普通はそう思う。


「戦場に出ればいずれ分かることだ。情報は重要ということを心に留めておいてくれ」


「ははっ」


 今、納得しなくてもよい。いずれ。


「四郎左衛門、続けよ」

 

「はっ。現伊勢半国守護は一色家。国司の北畠と半国ずつ治めているようです」


 半国守護一色家の力は全く及んでいない。北畠がいるのもあるが、一色家は守護の解任と就任が多いことから分かるようにあまり統治が上手い方ではないようだ。


 対して北畠家は国司として己の領地をしっかりと治めている。ここ数十年の北畠家は伊勢守護になることもあり、地盤がある程度安定しているのだ。


 それに北畠家は堀越御所との商いでの長さでは筆頭候補。そこそこ仲が良いのだ。


「以上にございます」


「四郎左衛門報告助かった」


「はっ」


「吉良と斯波、北畠、畠山については便宜を図るよう改めて俺から文を送っておこう。武衛殿や尾州殿からは色よい返事は期待できないがな」


「そうしていただけると助かりまする」


 四郎左衛門を下がらせると四郎に話しかける。


「四郎、話を聞いて如何であった?」


「何故情報を求めるのか未だよく分かりませぬ。必要なことは分かりますが……」


 情報に対する姿勢を変えるのは難しいか。


 何とかする方法はやはり……遠隔地で戦を引き起こすのも良いかもしれないな。


「では分かりやすいお手本を見せようか。今川と斯波を使って」


 

次回は簡易な内容にしたいです。

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