トラカル
いきなりだが当たり前のことを言う。
それは、生きるもの全てにその人生がある。
これはとても当たり前で、常識だ。
だか、考えてみて欲しい。
なら物語の主人公とはなんなのだ。
人生にはその人のストーリーがある。
でもそのストーリーに主人公はいるのだろうか。
もちろん自分の人生なのだから主人公は自分だと思うに違いない。
でもさらに考えてみてはくれないか。
なら生きている全てに主人公と言う特別な何かを持っている人はいるのだろうか。
皆同じように生きているのではないだろうか?
なら例外を作るなら、その同じような生き方をしていない人こそ本来の主人公と言えるのではないだろうか?
俗に『主人公タイプとモブタイプ』となるのではないだろうか。
だが、その特別なものはどの程度で決まるのか。
イベント的なものか、それとも大多数の人が経験しないようなことをすることなのか。
定かではない。
そしてここに今まさに分かれ道に立つ者達がいる。
新章開幕
「落ち着け、これは何かの間違いだ。そうに決まってる。だって、こんなこと漫画やアニメな世界にしかないだろ。」
1人の青年が頭を抱えてうずくまっている。
それもそのはず。
彼の名は水瀬 智春年齢は21歳極々普通の青年だった。
「なんで、どうしてどうやって俺は今ここにいるんだー!」
智春の心の叫びを幾ら叫んでも誰も答えない。
いや答える人がいないのだ。
ここは智春のいた世界では無く、別の世界に来ているからだ。
だがよくある異世界転移の物語なら誰かに連れて来られる的な何かだろうが、智春にはそんな思いあることは何一つ無いのだから。
ゲームの世界に閉じ込められた?
異世界パラレルワールドに送り込まれる?
召喚された?
残念なことにどれも智春には引っかかることはない。
なぜならこの男は、勉強一筋なうえ非力で根暗なうえ見た目も体格も極々普通。
どこにでもいるような者達の1人に過ぎないのだから。
だが、誰でも『例外』は付くものだ。
そう!智春にはたまたまその例外が付いてきたに過ぎない。