プロローグ:世界一のブスとして生まれた僕は世界一運が悪い男だったようです。
初めまして!いつか書きたいと思っていた物語です。話の流れは決まっているので最後まで書けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
オレの名は有田冬馬。世界で最も醜い人間だ。
そして世界で最も不幸な人間であると断言できる。
人間社会は生まれながらにして平等ではない。
それは家柄や頭の良さのことではない。
確かにオレの家は貧しかったし、オレ自身頭も悪かった。
しかし、金や頭脳は努力次第で何とかなる。
しかし容姿だけは無理だ。容姿こそ神が平等に与えなかった唯一の才能である、とオレは思う。
生まれながらにして最低な容姿であったオレは、そのことを一番理解していた。
生まれた瞬間からデブでブス。
小食なのに豚より豚。(そもそも家が貧しいので食事も貧相なものだ。)
トップ・オブ・ブスの称号を持って生まれた男、それがオレ、有田冬馬だ。
希望のカケラもない人生を15年間生きてきた。
そして今何をしようとしているか。身投げである。
オレは学校でいじめを受けている。
机に落書きとか暴力を振るわれたとかそういった類のいじめではない。
人間として扱われないのである。
無視、蔑視、モノを拾ってあげたら「それ捨てといて」といわれる始末だ。
しかし、生まれた時から親からも人間として扱われたことのないオレにとって、
そんなことは日常でしかない。
きっかけは昨日の アニメ『100%アイらぶゆー』 で起こった事件である。
オレの最推しであった神楽アイカ(通称アイキャン♡)がお亡くなりになられたのである。
ヒロインではない。
しかしヒロインではないがために主人公から愛されず、密かに主人公を思い続ける悲劇の少女である。
主人公が愛さないのでオレが代わりにアイキャンの旦那を務めていたのだ。
そのアイキャンが交通事故で死んだ。
オレは人生で初めて絶望を経験した。
神よ!(100%アイらぶゆーの作者よ!)なぜ妻を殺した!
我が希望を!我のすべてを!あなたはなんて残酷な神なんだ!
どんなに辛いことがあっても妻が居たから頑張れたのに・・・
今日の学校はきつかった。辛いことがあっても妻が慰めてくれないのだ。
そんなわけで、オレは橋から身を投げようとしているのだ。
この醜い体形で生まれたせいか、オレは10m以上泳ぐことができない。
しかし今日に限っては好都合。下に見える川は深く、オレの低身長では足は川底に届きそうもない。
確実に死ぬことができそうだ。さらば我が醜い人生。来世はきっとイケメンに・・・
ザッパーンと大きな水しぶきと共にオレの体が沈む。
「苦しいがわるくない。水面に移るオレの顔が醜いから今まで川なんて嫌いだったが、水中から見上げる水面は光の反射で絶景だな。」
なんてことを思っているうちに段々と意識が遠くなっていった・・・。
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真っ白な空間に横たわっている一人の人間と神々しく光る女神のような影が存在していた。
(目覚めよ、不幸な人間。)
なんだここ?あなたは誰ですか?
(私は運命をつかさどる神、運命の神である。)
運命の神様ですか。それなら私はあなたに恨みがある。
(ああ。恨まれても仕方がないほどに貴様の運命はひどいものであった。醜い容姿、貧しい家に生まれどれだけ努力をしても学力は上がらず・・)
そんなことはどうだっていい!
(へ????)
なぜアイキャンを殺した!あなたって神は、なんて残酷な神様なんだ!
(・・・・・案外不幸な運命ではなかったのか?)
いや不幸な人生であることに間違いはありませんよ?
ただ、その不幸に15年間も付き合わされたら感覚がおかしくなっちゃって。
人生の希望だった妻も死んで。良い思い出なんて一つもありませんね。
(そんな貴様に良い知らせがある。)
良い知らせ?
(うむ。貴様に来世の異世界での運命の決定権があたえられた。)
どういうことですか?
(そもそも運命とは
1~20の数字が書かれた二十面体のサイコロを10個、+と×のどちらかが書かれた六面体のサイコロ1個、計11個のサイコロを使って決定される。
出たすべての数字を足す、あるいは掛けた値が大きいほど幸福な運命を与えられるのだが、貴様は出た値が1であったのだ。よって最低な運命を与えられてしまったのだ。)
1って・・・相当運悪いですよね?
(うむ、数字が全部1かつ×の目が出た時に1となる。
しかも出た値が10以下の場合は私が三回再試行してるから余計に運が悪かったことになる。
ほとんどの人間の運命は11以上であるからな。)
つまりオレは『世界一容姿が悪い男』というよりは『世界一運が悪かった男』という認識が正しいってことですね。
それで?なんでオレに運命の決定権が与えられたのですか?サイコロで決めないんですか?
(実は前世の運命の値が1であった者には【前世の記憶の継承、来世の運命の決定権】が与えられることになっておる。お前は来世、異世界で人間として転生する。その異世界でたどる運命を決定する権利が貴様に与えられたのだ。)
なるほどねぇ。でも不幸な記憶を継承するってなかなか残酷じゃないですか?
(・・・前世の記憶を有するということは、生まれながらにして前世の高校生並みの頭脳を持ち合わせているということ。貴様が嫌というのなら前世の記憶は継承しないというようにもできるぞ?)
・・・いや、やっぱり継承してください。
(そうか。では才能はどうする。天才魔導士、最強の勇者、なんにでもなれるぞ。あ、二つの運命を願うことは出来ぬぞ?一つだけ望む運命を宣言するのだ。)
・・・・・・。
(まあ、悩むよのう。ここでの選択を間違えたくはないからな。)
・・・イケメンで。
(・・・・へ??)
世界のだれよりも、神様さえもメロメロにしてしまう・・・
そう!『100%アイらぶゆー』の主人公、神宮司のような完璧な容姿をもって生まれ変わりたいです!
(・・・後悔しない?)
はい!大丈夫です!
(・・・了解した。貴様の来世での【神をも惚れさせる神宮司のような容姿を持つ】という運命が決定された!さあ、不幸な人間よ!転生せよ!!!!!)
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そしてオレは最高の容姿をもって異世界に転生した。
ありがとうございました。
第一話も即投稿するので読んでいただけると嬉しいです!