邂逅
文章書くのって難しいね。
地球で巻き込まれる部分までの話はいつか書く。
「⋯⋯」
──声が聞こえる。
「⋯⋯さい」
──聞こえるけど、上手く理解出来ない。
「⋯⋯を開け⋯⋯さい」
──俺は、今、何をしてるんだっけ。
【いい加減に目を開けなさい。】
「っ!?」
突然脳内に響いた音に驚き、反射的に目を開く。
「ようやく目を開きましたね」
脳内に響いた音と、同様の音を発する物がそこに有った。⋯⋯いや、居た。が正しいのか?
それは、恐らく人⋯⋯か?
全体がモザイクのようにぼやけており、何も特徴が見えない。
⋯⋯視界がぼやける程、長く目を閉じていたのか俺は。
「私の姿が視認しづらいのは、貴方の目のせいではありませんよ」
「⋯⋯それは、どういう事だ?」
「私は神。それ故決まった姿を持ちません」
神⋯⋯ね。
素直に受け入れるわけではないが、自称神である事自体に突っ込みは入れるまい。
こういう事を言いだす奴にそんな事を言ったところで、まともな返答が来るとは思えん。
「ふむ。何が故なのかはわからんが、ぼやけて見える理由は把握した」
そこまで話した俺は一息つき、一つ問うことにした。
「⋯⋯で。この状況を簡潔かつ、理解しやすく説明願いたいわけだが?」
◆──────────◆
「おめでとうございます。貴方は召喚術の対象に選ばれました」
「⋯⋯はぁ」
確かに理屈抜きで呑み込めば、これ以上理解しやすく簡潔な説明は無いだろう。
加えて俺が自称“ヲタク未満パンピー以上な二次元好き”である、という誰得な情報を脳裏に浮かべておこう。
「おめでとうございます。貴方は召k」
「聞こえているし理解もしているから、もう言わんでいい」
すると何か。
このモザイクから色々恵んで頂き、恵んで頂いたモノを活用し、異世界を救う。という事か?
「察しが良いですね。ですが貴方が思い浮かべているモノとは少々異なります」
「ナチュラルに思考読んでくるんだな。モザイクにはプライバシー無いのか、モザイクの癖に」
「私から一方的に恵む事はしません。取引です」
⋯⋯スルーだよ。って待て。
「あ?世界救うって部分は否定せず、取引だって?そんなの何処の馬鹿だったら喜んで飛びつくんだよ」
「貴方達地球人は異世界へ転移・転生できる機会があれば、どれ程のデメリットが有っても、尻尾を振って飛びつくと記憶してますが」
コイツの中の地球人、チョロすぎるだろ。
「⋯⋯その言い振りだと、既に何人かは飛びついたように聞こえるが?」
「ええ、既に10人程。比率は10/10ですね」
訂正。地球人チョロすぎ。
「で?この流れからして分かるだろうが、俺の言いたい事は」
「拒否する。地球に戻せ。この辺りでしょうか」
「わかってるじゃないか。さっさとしろ」
「ふむ。分かりました」
存外物分かりが良いものだ。と思考した瞬間。
──では死んでください。
「は?」
俺の返答が届く前に、モザイクから鋭い光が放たれる。
「っ!?」
無駄だと考える間もなく、本能で両腕を交差させ身を守る。
光は⋯⋯俺の半歩先に刺さり、地面を抉った。
「なに⋯⋯を⋯⋯?」
「貴方もご理解頂けましたか?拒否権は有りません。いえ、拒否は出来ますが、命を代償にして頂きます」
コイツは⋯⋯本気か⋯⋯?
ブラフの可能性もある。危険を突き付け道を塞ぎ誘導する、所謂恐喝だ。
だが仮にブラフだとして、要望を突っ張り異世界行きを拒否しても、俺を戻せるのは現状このモザイクしかいない。
簡単に恐喝紛いな事をする奴が、すんなり要望を聞いてくれるか。
それに合わせて、突っ張るとしても、賭け金は自分の命。
「して、どうなされますか?」
──俺の返答は⋯⋯。
「⋯⋯わかった。異世界に転移しよう」
「賢明な判断です。それでは⋯⋯」
一息置いて、モザイクはこう言った。
──貴方の大切なモノと引き換えに
異世界で役立つ能力を授けましょう──