表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月の影  作者: キリくん
2/3

いつもの日常

メインより先に書いちゃった

月がいちばん綺麗に見えると有名な町「月光町」。ここにあるひとつの高校「白夜高校」にて━━━


教室の隅でうつ伏せになっている男子生徒に一人の女子生徒がつかつかと近寄る。


「シン・・・・・・シン!もうすぐ先生くるよ?」


眠そうに顔を上げるとそこには少し気の強そうな女子が立っていた。


「ん・・・、なんだ美夜か」

「なんだとは何よ。どうせ遅くまで起きてたんでしょ。せっかく起こしてあげたのに」

「どうもありがとうございます」


シンは面倒くさくなり適当に返した。そのまままたうつ伏せになる。


「何その適当な返事。もっと心は込められないの?」


このやり取りを見てほかの男子生徒達が「ヒューヒュー!」と面白がっている。


「相変わらずラブラブだな!」

「付き合っちまえよ!」


そんな声は気にせず美夜は自分の席に戻る。


(どうして恋愛話になるとこんなに反応するのか)


「おーい、座れよお前らー」


先生がやってくると全員ピタッと静かになり席に着いた。


「はい、挨拶」

「おはよーございまーす」


教室中にやる気のない挨拶が響く。


「えー、今日の連絡だが、みんな知ってると思うが今日コンビニの近くで遺体が見つかったらしい」

「俺今日ニュースで見た」「私もー」


教室中がざわつく中、深也一人が顔をしかめていた。


「みんな静かに!不安なのは分かるが落ち着け。今日は放課後すぐに帰るように。できれば一人で帰らないで親や友達と帰るように。いいな?よし、朝の連絡は終わりだ。今日の日直は月影だな」


「・・・俺ですか?」

「月影はお前しかいないだろ。頼んだぞ」


先生が教室から出たあと深也は面倒くさいと言わんばかりに大きなため息を吐いた。


「おい、シン。何この世の終わりみたいなため息ついてんだよ」

「・・・恭一か」


前の席の男子生徒の恭一が深也に話しかける


「日直でため息つくとか相変わらずの面倒くさがりだな!」

「・・・ほっとけ」


そのまま眠気に勝てず深也は眠りに落ちた。


------------------------------------------------------------------



放課後。渋々日直の仕事を終わらせて、帰ろうと玄関に向かうと美夜が待っていた。


「・・・何してんだよ」

「シンを待ってたの。一人じゃ帰りにくいし」

「・・・わかった」


仕方なく一緒に帰ることにした。校門から出て家の方角に向かう。6月だからか日はまだそこまで落ちていない。


「いや〜シンと家が近くてよかった。おかげでこうやって一緒に帰れるよ」

「・・・そうだな」


周りに見られるのを嫌って深也は美夜と少し離れて歩く。


「それにしても相変わらず怖いよねこの町。謎の死体が良く見つかるってさ」


美夜の言葉に深也は少し反応する。


「・・・美夜の家は神社だろ?死体が出ないように神様にお祈りしてみたらどうだ?」

「無茶言わないでよ。・・・でもそんなこと出来たら安心できるのになぁ」


そんな話をしているうちに美夜の家に着いていた。


「着いたぞ」

「あれ?もう着いたんだ。じゃ、また明日ね」


美夜の後ろ姿を見送って深也は家に向かった。


--------------------------------------------------------------------


家に着いた時には空は少し暗くなっていた。


「ばあちゃん、ただいまー」

「おかえりなさい。レンくん来てるわよ」


台所から声が帰ってきた。

「レン」が来ていることには特に驚かずに靴を揃えて2階の自分の部屋に向かう。

部屋の扉を開けるとそこには寝転びながら漫画を読んでいる青年がいた。


「レン。人の部屋で何やってんだ」

「あ、シン。この漫画面白いよね」


お構い無しに漫画を読むレンこと冬月蓮に呆れつつ深也はリュックを置きレンの横に座った。


「・・・で、何しに来たんだ?」

「そんなこと言って分かってるんでしょ?」


レンは読んでいた漫画を置いて深也に向き直る。


「・・・『妖』の事だろ?」

「そっ、当ったりー」


ニコニコしているレンにため息をしつつ話を続ける。


「それで内容は?」

「簡単な話だよ。「近頃妖の量が増えてるから原因を調査しろ」だってさ」


その言葉を聞いて深也の顔は暗くなる。


「もしかしてまた気にしてるの?」

「・・・ああ」

「呆れた。そんなこといちいち気にしてたらキリがないっていつも言ってるじゃんか。そういう仕事だって割り切った方が楽だよ?」

人を殺すこと(・・・・・・)を簡単に出来るわけないだろ!」


怒りに身を任せ、つい怒鳴ってしまった。


「ビックリしたー。そういうことを大声で言うなら人間の言葉で言わない(・・・・・・・・・・)ほうがいいよ(・・・・・・)

「・・・すまん」

「まぁいいや、話を戻すよ。原因を調べろとはいえ本家でも何も掴めてないらしいから、なにかわかったら報告するようにってさ」

「・・・わかった」


話を終えるとレンはおもむろに立ち上がった。


「じゃ、報告も終えたし帰るね。今夜もまた夜に」


レンは部屋を出ようとしたところでこちらを振り返った


「・・・ねぇシン。シンは本家の子息なんだからさ。いい加減踏ん切りをつけたほうがいいよ」


レンは静かに扉を閉めて部屋を出て行った。

深也は部屋の窓を開けて暗く染まる空を見上げた。


(踏ん切りをつける・・・・・・か)


暗くなった空の向こうからは月が顔を出していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ