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半径三〇センチぐらいの最強勇者  作者: 岸根 紅華
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なに⁉ ブックマークが増えてるだと!!

 そんなユルユルと過ごすある日の午後。


「カイルさん急患だ!」


 午前中の診察が終わり、お昼を済ませてのんびりお茶を飲んでいると、そんな切羽詰まった声が小さな町に響いた。

 身の丈二メートルで筋肉質の、町の自衛団隊長であるゲンさんが見知らぬ少女を抱きかかえて診療所に飛び込んできたのだ。


 まったく厄介事の匂いしかない。


 ここ最近、ある程度小銭がたまったので、

『医者の会合が王都であるので、しばらく休みます』

 と看板を立て、どこか見知らぬ街にでも遊びに行こうと思ったのだが、


「先生! この娘がコナンを庇って怪我したんだ! なんとか助けてやってくれ!」


 ゲンさんの背後からは他の自衛団が簡易的に作られたタンカで、うめき声を上げる男を運んできた。


「この娘、コナンを庇って魔物の前に立って……」


「コナンの奴もコナンの奴で、来月『幼馴染と結婚するんだ』って張り切っちゃって」


「『早く帰って来るから』って朝、頬にキスしたんだなんて惚気やがって」


「なんで婚約者がいるお前が『いいから先に行け!』って、襲ってくるゴブリンから俺たちを庇ってんだよ」


「よし君たち。こいつの死亡フラグが立ちまくりだから今すぐ口を閉じようか!」


 俺が女神から貰った本の『死亡を予期する一〇〇の名言の章』に乗っている言葉を、ピンポイントで連発している若い衆の口を閉ざした。


 フラグなる言葉は一つに付き、死亡率が七〇から八〇パーセント近く跳ね上がる呪いの言葉らしい。

 それに照らし合わせれば重症の少女に比べても彼は、約二〇〇パーセントも死亡率が高い勘定になるのだ。


 コナンは今、死に最も近い患者と言えるかもしれない。


『もう静かに死なせてあげた方が良いのでは?』


 そんな考えを、俺は頭を振って追い出した。

 いつもヤル気無さそとか言われる俺だが、今するのは諦める事じゃない。


『寝てるか起きてるか分からない』とか、『いつも目が死んでる』とか、


 いつもそんな陰口叩かれてる俺だけど、自分のやること、やれることは理解してるつもりだ。


 今は出来る限り運び込まれた患者は助ける。


 俺は半開きの目をやや開き、死亡フラグなる呪いの言葉を吐き続けそうな男達を黙らせ、俺は患者に向かう。

最後までお読みいただきありがとうございます!

それにしても不思議なもので、ブックマークが増えるだけでこんなにやる気になるなんて思いませんでした!

調子に乗って今日とは言いませんが、今夜中にもう一話更新頑張ります。

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