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半径三〇センチぐらいの最強勇者  作者: 岸根 紅華
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更新遅れてすみません!

言い訳はあとがきで!

「んで、なんでアルデラはここに? 確か東の門を守ってたんじゃないか?」


 すでに太陽は西に傾け始めた頃。

 魔物の襲撃も、患者の治療も一段落ついた俺たちは、治療所の横でかなり遅めのお昼を頂いていた。

 確か王都では遅い朝食か、早い昼食のことを、ブランチなんてシャレたこと言ってたが、遅めの昼食か、早めの夕食のことはなんて言うのだろう?

 なんて詮無きことを考えながらも、アルデラがここにいる理由を聞いてみた。

 まあ、無言で食べる食事が味気ないってだけの、他愛の無い質問のつもりだったのだが、


「ああ。西の門が破られたのは知っているだろ? 私たちはそこに救援に行く途中だったのだよ」

「うん。それってここに寄り道して、のんびり食事しながら言うこと? いや、それで俺たちは助かったんだけども」


 俺の心配を余所に、アルデラは静かに微笑んで、


「大丈夫だよ。西の門が破られたと言っても、もう押し返してるって情報が入っている。さすがは剣の勇者ってことろかな」


 西の門は確かにあの剣の勇者(爽やかさん)が守っていた場所だ。

 爽やかな統率力も、爽やかな実力も兼ね揃えた、キングオブ爽やかさんだ。

 自分で何を言ってるか分からないが、とにかくスゴイ奴なのは知ってる。

 でも、なぜだろう?


「一度手合せをしてもらったのだが、彼は凄いのだ! 私の知らない剣技や…………」


 途中からアルデラの声が耳に入らなかった。


 きっときっと、疲れていたせいだと思いたい。

 彼女が他の男を微笑みながら讃えるのが、物凄く不快に思えてしまうのは……。

 だが、この嫌な気持ちは、頭を振っても全然消えてくれなくて、

 だからだろうか?

 

「ああ、そんなに奴が好きなら、早く西の門に会いに行けば!」


 なんて、つっけんどな態度を取ってしまった!


「あ! ごめ……さっきのは……」


 とっさに言い訳をしようと思ったが……何か思いつくより早く、


「うわ、カイルさん、それはないわ!」

「ちっちゃい男!」

「短小、童貞!」


「なにその文句の連打! それにライ! 俺は短小じゃない! …………っと思う」

「ちょっと、私は別に……」


 三人の怒涛の文句と非難の視線に、謝罪の言葉は四散。

 血が上った頭からは、さらに、


「なら、そんなちっちゃい男の所にいないで、さっさと西の門へ行け!」


 売り言葉に買い言葉。

 疲労のためか、回らない頭は加熱したまま収まらない。

 なのに、


「すまないカイル殿、どうやら私は君を怒らせることを言ってしまったらしい……。さあ、レフライ、カイル殿の邪魔にならぬよう、私たちは私たちの仕事をしに行こう」


「「お、お姉様!」」


 もちろん、納得いかない二人は、非難めいた視線をアルデラに向けるが、


「レフ……ライ……」

「…………」


 彼女の寂しそうな微笑に、二人は無言で出立の準備を始めた。


「お姉様……カイルさん!」


 引き留めようとするティンが、俺に言葉を求めるが……なにも思いつかない!

 そうこしているうちに、三人は準備を終えた。


「それじゃカイル殿、また」

「あ、ああ」


 去りゆくアルデラを、何とも言えない思いで見送る俺に、彼女は一度だけ振り返り、


「カイル殿、もしこの先君の願いに、少しでも手伝えるとしたら、私は何をすれば良い?」


 振り向く彼女の視線は、只々真っ直ぐで……。

 そんな瞳に、


「今の願いは、この町の住民に大怪我や不幸が起きないことだ」


 少しつっけんどだが、これは俺の本心だ。


「そうか、善処しよう」


 彼女が少しだけ寂しそうに笑い、今度は振り向かずに歩き始め、俺は無言で見送った。


 後にこの言葉が、彼女の勇者生命を危険にさらすとは、この時俺は、まったく思っていなかった。

最後までお読みいただきありがとうございます!

更新が遅れたのは・・・・・・最後まで書いてあったデータが消えたからです!

これから復旧作業にかかります。

面白い! 続きが気になる方。

応援すると思って、ブクマ、評価、お願いします!


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