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済みません。
少し短めです。
「…………よし、だいたいコレラ菌は体外に出した。あとは今日一日安静にしてアクエリオを出来るだけ飲むように。はい、次!」
感染して間もなかった彼女の治療は、思った以上に早く済んだ。
「…………」
だが彼女は、俺を睨んだまま動こうとしない。
今の彼女の体力なら自力で動けると思ったのだが、何かあるのか?
俺が視線で問い掛けると、
「あの……その……」
彼女は何か言いたそうに口をもごもご。
視線をせわしなく彷徨わせ、それでも意を決したように俺に瞳を向け、
「あ、ありがとう」
そう言って、不器用に口角を吊り上げた。
(こいつ、こんな顔も出来るんだ!)
不器用な彼女のお礼に対し。
治癒術師は患者の前でうろたえてはいけない。
そんなことを頭の端で思い出す俺の答えは決まっていた。
「なんだ、そんな顔も出来るんじゃないか。今度はその笑顔、意中の相手にしてやれよ!」
うん。美少女と呼ばれる生き物の笑顔に耐性の無い俺にしては、気の利いた台詞ではないだろうか。
そんな自己満足に浸ってる俺に、彼女は一瞬笑みを曇らせるが、
「分かった。また笑いに来る」
そう言って穏やかな表情で去って行った。
「これってもしかして……いやいや、こういう勘違いがモテない男を拗らせるんだ。うん。彼女はきっと、俺を笑顔の練習台にしようとしてるんだ。そうに違いない!」
美少女の不意の笑顔で不整脈なった俺は、そう結論付けることにより己を保つことに成功した。
「カイルさん、この人で黄色の患者は最後です。他の患者さんの容体も安定してます。この隙に少し休んで下さい」
ろくに寝ずに治療を続けて、はや三日目の夕方。
いつも騒がしいティンが、そんな優しい言葉を俺に掛けてきた。
多分明日は、槍か隕石の雨が降るだろう。
あれ? そうしたらせっかく助けた患者も死んじゃうじゃん!
ぼっとした思考で、そんなことを思う。
「うむ。後は私たちがしておく、君は少し休め」
アルデラの言葉にフッと肩の力が抜けた。
切れること無いと思われた患者と俺の魔力はゴッソリ無くなり、代わりに精神と肉体に恐ろしいほどの疲労が蓄積されていた。
もう腕を動かすことも、立ち上がることさえも面倒臭い。
「んあ。悪いがそうさせてもらう」
俺は気を使ってくれてるだろう二人にそう告げ、「よっこらせ」なんてジジ臭い掛け声を掛けて立ち上がる。
もう寝たい。
今寝かせてくれるのなら、俺は噂の魔王にすら刃向うことが出来ると思う。
そんな意味もない思考を巡らせながら、俺は仮眠用にあてがわれた町長の屋敷の部屋のベッドで、ただただ睡眠を貪ろうと体を引きずらせた。
のだが、
「「お帰りなさいませご主人様!」」
通された部屋には、なぜか物凄く布地が薄くて少ないメイドっぽい少女が二人、俺を笑顔で出迎えた。
いつもいつもブクマ、評価ありがとうございます!
このままラストまで突き進むつもりなので、
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