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済みません。
きりが良いので今日は短めで。
「さて、突撃準備は?」
「了解!」「オーケーです!」「何とかなるだろ?」「ホントに大丈夫?」「いや、成せばななるだろ?」
うん。まるで統率の取れて無い返事だ。
治療を終えたレナ、カナン、サインを含めた俺たち八人は、グラナダが見える森の出口に身を隠していた。
彼らの話を聞きざっと見た限り、グラナダはまだ落ちて無い。
城塞都市の象徴である一〇メートル近い壁は、所々崩れているが健在だし、城壁に備え付けてある連弓も健在だ。
今でも城壁の上の兵士が壁に取り付く魔物目がけ、怒声を浴びせながら弓や岩を落としていた。
そう。
問題なのは、城壁に取り付いている魔物の数だ。
町を囲む数キロに渡る城壁に、数えるのが馬鹿らしいぐらいの魔物が攻め寄せている。
当然、俺たちがすんなり町に入ることは出来ず、ここで突入準備を始めているのだが、さすがにむやみやたらに突っ込むような危険を冒す気は無い。
グラナダからの反撃か、なにかしらかの行動を待っているのだが……。
「……なんか、町の反撃……しょぼくないですか?」
「確かに、城壁の上から弓を放ち、岩を落としてるが……勢いがない。兵もなんだが、やっと動いてる感じに見えるな」
「なにか、あったのでしょうか?」
「そう考えるのが妥当ですね。サイン殿。あなたが町を出る前、なにかありましたか? 例えば…………」
「飯や水が不味かったとか、やけに喧嘩が多かったとか、どんな些細なことで良い。何かなかったか?」
アルデラの言葉を遮り、俺は身を乗り出す。
「なんかっていっても……飯はいつも不味かったし……これと言って……」
サインが顎に手を当てて考えるが、何も思いつかない様子。
俺はレナとカナンにも視線を向ける。
「あの……どうでも良いことなんですが……」
不意に目の合ったレナが、申し訳なさそうに手を上げた。
「何でもいい。何かあったのか?」
「ひっ!」
思わず近寄る俺に、短く悲鳴を上げるレナ。
(うん。そんなに俺、怖かったかな? まさか、気持ち悪いとかじゃ無いよね?)
静かにダメージを心に刻む俺に、
「ああ。レナって人見知り激しんですよ。特に男の人には」
傷が気になるのか、脇腹に手を当てたカナンがさりげなくフォローを入れてくれた。
良かった。
危なく世界に呪詛を掛けながら、魔物の群れに飛び込もうかと思った。
内心でホッと胸を撫で下ろしつつ身を引き、彼女の次の言葉を待つことにした。
「あのですね……少し汚い話なんですが……」
オドオドしながらの彼女の言葉に、嫌な予感がした。
「あの……その……グラナダを出る前に、町でお腹を壊す人が多くて……」
「ああ! 町中が臭くてたまらないって言ってたな! でも、冒険に出れば下痢なんてしょっちゅうだろ? 生焼けの肉なんて食って!」
がははと笑うサインの言葉を遠くに聞き、俺はある一つの仮説にたどり着く。
慣れな長期の籠城戦。
町民が体験したこと無い、恐怖と緊張の日々。
それに、連日続くこの暑さ。
「皆、いったん森に戻るぞ」
「え⁉ 何でですか? このまま様子を見て、突入するチャンスを待った方がいいんじゃないですか?」
ティンの疑問の声。
俺もさっきまでそう考えていたが、
「作戦変更。これから森に入って、集めるものがある」
皆の非難めいた視線を無視し、俺は森の中へと戻る。
もしかしてグラナダは、魔物より厄介な相手と戦っているのかもしれないから……。
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