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半径三〇センチぐらいの最強勇者  作者: 岸根 紅華
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あと一話で二章も終わりです。

このままの勢いで行きたいな……。

応援よろしくお願いします。

 殴られても蹴られてもヘラヘラと笑ってた彼女が、突然泣き始めた。

 それはもう、大泣きを越えるドン引きレベルでだ。


「おい、なんで泣く? この国には俺以外にも勇者はいるだろ? 別に……」

「ダメなんです! それじゃ、それじゃあ私は……ぐずっ、私たちは…………わぁぁぁぁぁぁん!」

「泣き止め! せめてなんで泣いてるのか説明してから泣け!」

「ぞ、ぞんなごどいっだっでぇぇぇぇぇぇ」


 部屋に響く少女の泣き声。

 混沌としたこの場に戸惑うばかりの俺は、彼女になんて声を掛ければよかったのだろう?



「ぐずっ……ぐじゅ……」

 あれから数十分。

 彼女は声をからすことなく、大声で泣き続けた。

 たぶんこの泣き声は、近隣の人々の耳にも伝わっただろう。

 俺の家の周りに、いくつもの人の気配がする。

 ただ、直接俺の家に近寄ってこないで遠巻きに様子を見ている感じは、彼らなりの優しさだと信じたい。


 外の様子まで把握できる俺が彼女が泣いている間、何をしていたかって?

 それはもちろん!


 ただ何もせず、たたずんでおりました。


 不甲斐ないのは分かっている。

 ヘタレなのも分かっている。


 でも言い訳をさせてほしい。

 彼女の顔は確かに美少女と言っても過言ではないぐらい整っている。

 だが見ず知らずの赤の他人だ。

 しかも言動も行動も残念な少女だ。


 下手に肩でも抱いて慰めると、何が起こるか分からない。

 しかも、自慢ではないがそんな少女を慰められるほど、そしてその後に何が起ころうとも即座に対応できるほどの人生経験は俺にはないのだ。


 だから泣き叫ぶ彼女を放置した。


 いえ、嘘です、ごめんなさい。

 本当は、どうしていいか分からず呆然としてました。


 とにかく、過ぎたモノはしょうがない。

 俺は当初の目的を思い出し、いまだ嗚咽を漏らす彼女に、ソロソロと言った感じで口を開いた。


「ま、まあ、とにかくなんだ、俺もぶっきら棒過ぎたかな? 少し謝っちゃおうかな? だからお前の訳をちゃんと聞こうかな? 行くか行かないかは、それからにしよう、な? な?」


 彼女の気持ちは別にして、アノ王様からの依頼だ。

 俺にとっては最大限の譲歩なのだが。


「嫌です。カイルさんが、グラナダに行くって言うまで、理由は言いません!」


 ……どうやら俺は、彼女の意固地スイッチを押してしまったらしい。


 いまだ涙目の彼女は、フンッとそっぽを向いてしまった。

 まあ小さな耳を澄まし、チラチラとこちらをうかがってるから、本気で怒っているのではないと分かるのだが……なんだかとても面倒臭い。

 これは持久戦だと、新たにお茶の用意をしようと立ち上がった。

 刹那。


「私は、孤児院に捨てられて、そこで育ちました」


 突然語り始めるティンティン。

 絶対ワザとだと思ったが、話が進まないのでイラッとする思いをグッと堪えて座り直す俺は、物凄く褒められて良い気がする。

 そんな大人の対応に対し、


 コンコン!


 彼女は俺に視線を向け、テーブルのカップに視線を移して指先でテーブルを叩き、無言でお茶のおかわりを要求する。


 俺は脳内でブチッ! っと小気味いい音を聞きながら、にこやかに立ち上がるのだった。


何気にブクマ以外、評価も増えてるだと!!

で、でも、続けて更新なんてしなくないわけでもないんだから!

(いやそれどっち!?)

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