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半径三〇センチぐらいの最強勇者  作者: 岸根 紅華
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なんか、二章って長くない?

それは無駄な話が多いからだ!

この回も無駄に長い。

でも楽しかったから後悔はしてない!

「私、あなたと結婚します!」

「うん。それ二回目。それよりも、なんでいきなり結婚するとか言い出したかを知りたいんだけど?」


 確かに彼女は美少女! っと呼べるほどの目鼻立ちは整っているし顔も小さい。

 しかも少女にしては、ドコとは言わないが発育も良い。

 結婚したら村の連中に自慢が出来るとは思う……。

 

 だが、


 今までの態度から、俺の中では彼女は微妙な『微少女!』になっている。

 嫁さんにしたいランキングでは、かなり下の方だ。

 だって毎日の結婚生活が疲れそうなんだもん!

 なのに彼女は、


「お願いです! 結婚して下さい!」

「やだ!」


 怒涛の如く攻めてくる彼女を、バッサリ切るが、


「そう。それじゃ、結婚してあげてもよろしくてよ?」

「なんで言い方変えた? もしかして王都で流行ってると聞くツンデラってやつなのか?」


「正しくはツンデレです。分かりましたかマイダーリン!」

「なにしな作って近付いて来るんだよ。もしかして今度はデレデレか?」


 彼女の勢いは手を変え品を変え、留まることを知らない。

 さらに、


「そんなの無いですが真面目な話し、これだけ会話が弾むんです。相性は良いと思いませんか?」

「一方的な言い分にツッコミを入れてるのが会話って言うならな!」


 よくよく考えるとそれも会話だと思うが話が、彼女の有利に働きそうなので、ここはあえて言わない。


「それにだ。何でいきなり結婚? ってか、離れてくれない?」


 驚きのあまり放心してた隙にタックルのように抱きついて来たティンティンを、力ずくで引き剥がした。

 そんな俺を信じられないとばかりにくずおれ、地面に手を付き視線を上げる彼女。

 ここだけ見れば立派な美少女なのだが、


「なんで? どうして? って言いました? 私の体を隅々まで堪能して、心《心臓》まで……私の一番大事な所を揉みほぐしたくせに!」


 やはり彼女は微少女だった。


「誤解を受ける言い方やめろ! 確かに心臓は大切だが、なんかお前の良いかは卑猥だ!」

「卑猥だったじゃないですか! 傷付き、身動きの取れない私の服を切裂き、身体を好きなように弄んだ……だから責任取って結婚して下さい!」


 どうしよう?

 治療代を踏み倒されるのはしょっちゅうだが、治療してプロポーズされるのは初めてだ。


「結婚して、王様の命令どおりグラナダに行きましょう!」


 それに、物凄く裏がありそうなプロポーズも初めてだ。


「王様? グラナダ?」


 彼女から出ていた単語を拾い出す。

 途端、


「えっと……それは……」


 必要以上に視線を彷徨わせ、狼狽える彼女。

 正直それだけでなんとなく、面倒臭いことだけは分かった。


「何を隠してんだ?」


 彼女がここに来た、本当の理由の確信に近ついた時。

 

「隠してませんよ! ただなんで行くのか理由を忘れただけです!」


 そうか、聖女って、こんな自由人バカでもなれるんだ!


『頭を抱えるような問題って、一周回ると頭痛すらしなくなるんだな』


 なんて、悟りを開けそうな境地に俺はたどり着いた。


「おい、まさかグラナダに行く理由を知らない。もしくは忘れた訳じゃないだろうな?」

「………………」

「言い訳もできないのかよ!」


 不自然に視線を彷徨わす彼女に、残りの精神がゴッソリ奪われ、俺はそのまま床に両手を付いた。

 もう寝よ。

 こんな奴のことは、綺麗さっぱりいないものとして、布団をかぶって寝よ!

 そう決心した俺が立ちあがり寝室へと移動しようとして、


「あ! そうだ!」


 視線をあちらこちらに彷徨わせ、ダラダラと冷や汗を流すこと数分。

 ようやく彼女は何かを思い出したように床に、転がしていたバックの中を漁り始めた。


「えっと、これじゃない。これでもない……」


 そして。


「なんかゴミ多くないか? な!? おいおいゴミに紛れて下着まであるじゃねーか!」

「きゃっ! いくらモテないからって、聖女候補である私の下着の匂いを嗅いだら天罰が下りますよ!」

「あ……いや、なんか……うん……なんかゴメン」

「そこでなんで謝るんですか! なんで残念そうで可哀そうな視線を私に向けるんですか!」


 どうやら慌てて下着を隠す彼女を、俺は憐憫な瞳で見ていたようだ。

 なんだかここまでガサツだと、二週まわって可愛そうに思えてくるから不思議だ。

 いくら未聖女だからって、嫁の貰い手とか無さそうだな。

 まあ俺も独り身だが、彼女だけは無いと断言できるレベルだ。


「あった! ありました!」


 そんな俺のイタイものを見る目を気にしながらも、彼女がバックの中からクシャクシャになった封筒を取り上げた。

 元は上質で綺麗だったのだろうその手紙には、ちょっと触りたくないレベルで謎の染みがこびりついていた。


「さあ、これを読んで下さい!」


 なのに彼女は、それをドヤ顔で差し出してくる。

 普通に御免こうむりたいのだが、どうやらこれを見ないと先に進まないらしい。


「ああ。開けるぞ」


 俺は意を決して手紙に手を伸ばし、封を切った。


「うわぁぁぁ……」


 一瞬。

 何とも言えぬ不快な匂いが鼻孔を蹂躙するが、俺は息を止めてやり過ごし中身を確認。


「…………うわぁぁ…………」


 その内容に再び口を開き、吸い込んでしまった匂いに二重の意味で眉をしかめた。


 内容は要約すると、以下の通り。

 

『お前、偽勇者だけど温情で生かしてやってんだから、この国の勇者としてグラナダに行け』だった。


「……意味が分からない。やっぱこの国の王様って、ろくな奴じゃないよな?」

「さあ、王様からの激励の手紙も読んだことだし、さっさとグラナダに向いましょう!」


 もう理解していたが、さっきからこいつとの温度差がハンパない。


「嫌だよ。なんでこんな奴《王様》のために俺が苦労しなきゃなんないんだよ」

「ええ! でもでも、この国の王様ですよ!」


 彼女の言い分はもっともだと思う。

 もしかしたら、この国の王族、貴族に会わなけりゃ、まだそんな気持ちにもなっただろう。

 だがしかし、

 奴らの見下した物言いと、偽勇者と言われた時点で俺が奴らに従う義理は無い。

『国民の義務?』そんなの知ったこっちゃない。


「とにかく俺は行かないから」


 王様の我侭で、今の安定した生活を失ってたまるか!


「え? でもでも、王様や貴族様の命令って、絶対じゃないんですか?」

「なら、俺はこの国を出て行く」


 どうやら俺は物凄いバカか、物凄い意地っ張りなのだろう。

 今の生活を捨ててまで、王様の言うことを聞きたくないらしい。

 そんなへそ曲がりな決意をした俺に、


「そ、それじゃ困るんです! そうじゃきゃ……」


 ティンティンの顔が急曇りだし、


「そんな、そんな……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


 殴られても蹴られてもヘラヘラと笑ってた彼女が、突然泣き始めた。


ブクマとか感想って、不思議とやる気と希望を与えてくれますよね?

だから、やる気と希望をプリーズ!


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