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思わず狼狽えて止まってしまった俺の腕に、そっと何かが触れた。
「わ、私、助からないんですか?」
スリープで寝ているはずの、聖女候補の細い指先だった。
心臓が止まっているのに、ふにゃりとリラックスした様子で笑う少女。
「なら……私はほっておいて……あっちの男の人……見て下さい……せっかく……私が助けた……命だから……」
そう言って彼女は静かに目を閉じた。
自身の命を顧みず、他人のために尽くす。
俺の知ってる聖女の姿がそこにあった。
だから、
だから俺は……。
「ふざけんな! てめぇはなにカッコつけてんだよ! 聖女様かなんだか知らねーが、ぜって助けてやるからな! もちろんこの男もだ!」
反射的にそう叫んで彼女の胸の傷口から主な血管を避けて魔剣で切り裂き、
「ええ、ままよ!」
彼女の胸に手をつっこみ、拳大ほどの心臓を直接つかんだ。
「ふざけんなよ! そんな耳触りの良い言葉並べてお前は満足かもしれねーが、残された人の気持ちを考えろ! お前の犠牲で助けられた者の気持ちを、この先お前の命も背負って生きてかなきゃならない、そんな重みを、お前は助けた者に背負わせるつもりなのか!」
叫びながら直接手に取った彼女の心臓を刺激し続ける。
これが俺の最後の手段。
『心臓マッサージ』だ。
だがまだ、まだ心臓に与える刺激が足りない……。
「こうなりゃ奥の奥の奥の手、ライトニング!」
今だ動かない彼女の心臓に、俺は指先から雷撃を放った。
刹那。
「ぐっ……がはっ!」
苦しそうに吐血をしながらだが、心臓がビクリッと動いた。
彼女は何とか、自力で呼吸を始めたのだ。
動いた!
動いてくれた!
「良し、このまま縫合を再開する!」
両手にある彼女の心臓を丁寧に元の位置に戻すと、俺は出来るだけ傷が残らないよう丁寧に彼女の傷口を、ヒールの呪文を繰り返し塞いだ。
短いので、今夜もう一話投稿します。