ボルバーノス、なんだこの地獄絵図?
―― 死ぃぬぅぅぅ!? ――
なんやかんやあって僕ことボルバーノスさんは今超獣決戦の現場で逃走中であります。
なんでこうなったし!?
地上をタコと深海人型生命体ディープワンっぽい生物の群れが闊歩してるとかどんな人外魔境かな!?
しかも相手は新旧地上の守護者様。
古から生き残ってる守護者は僕や先達のドルアグスさんを持ってしても敵わない存在が結構居た。
いやぁ、まさかドルアグスさんが辛勝した相手が向こうの守護者の部下でしかなかったとか、どんだけ強力な個体がいるんだよ。
しかも最強なソイツはドラゴンだし。
もう、僕ら絶対絶命じゃない? と思った瞬間、空から落下して来た巨大なタコさんがドラゴンに絡みついて超獣決戦が始まった。
締め付け始める深淵の生物相手に必死にもがく守護者がドラゴンブレス周囲に吐き散らして、タコさんがソレを回避するために墨を噴射して……
なんかもうすんごいことになってしまっている。
周囲に居た雑魚敵は暴れた二体に押しつぶされたし、なんとかフォローしようと突撃して行ったアトエルトの群れは一秒にも満たない合間に消失した。
ゆえに僕とドルアグスさんはあの二体に殺されないよう逃げ回ってるのが現状である。
正直あそこまで来ると僕らでも手が出ない。
ウサギ君の助っ人というかピスカさんの助っ人だよねアイツ。あんなに強かったのか。
というか、僕らまで巻き込みかねないってどーなの。そこらへんはちょっとくらい……あ、手が抜けない実力? そりゃそーっすよね? 合間の念話ありがとうございます。
深淵ダコVS天空覇者ドラゴンの一騎打ち。
正直海じゃない時点でドラゴンの勝利じゃないかなって思ったんだけど、想定外と言うべきか、タコ、むっちゃ強い。
え? なんなのアレ?
振り回した爪に触手は切り裂かれ、牙を突き立てられた頭が食いちぎられるが、次の瞬間には高速再生。……あ、タコの膨れた部分って頭じゃなかったな。胴体だっけ?
新しい触手がドラゴンの急所を的確に締め上げて行く。
ダメージ自体はタコの方がだいぶ受けている。
しかし、既に死が近いのは、首を絞められ泡を吹き始めたドラゴンの方。
どれ程切り裂こうと再生してしまう深淵の魔王相手に、天空の魔王はただただもがき苦しむのみ。
陸と空の合間で溺れ続ける。
僕はなんという存在に助っ人頼んでしまったんだろう?
アレは、想定以上だ。この世界、地上よりも深海に潜む守護者の方が強過ぎたんだ。
っていうか、あの巨大な放射能受けた恐竜みたいなのはどうするんだろう?
もはや戦力的に余ってしまっているんだけど?
敵の守護者たちもアレに手を出したらヤバいって本能的に分かっているから避けてるし。
向こうは僕らの違いが分からないらしく敵だけを狙い撃ち出来ずに戸惑い動きが止まっている。
ドルアグスさんや、これ、勝ち戦って思っていいんすかね?
―― さて、戦争に勝ったとて真の強者は海の者。彼らが新たな侵略者にならねばいいがな ――
確かにっ!?
正直あのタコとゴ○ラだけでも地上の守護者全滅させられるだけの実力があるんだよな。
それに加えて空中浮遊するクラゲの守護者もまたえげつないし。
長い触手使ってそこらじゅう纏めて一網打尽の雷電スキルだもんよ。
「ちょっと、ドルアグス様、ボルバーノスちゃん。なんであんなのこっちに持って来たし!?」
―― そーだそーだ! 僕らの元に持ってくんなー ――
おお、ゲスターにマッシュリア。
なんでこっち来たの? こっちは死地だぜ?
「ちょ、こっちも巨大な海のバケモン暴れとるんか!? もう逃げ場がないじゃないか」
は? 逃げ場がない?
あ、ルアネの姐さんチーッス。
んで、逃げ場が無いってどゆこと?
「海の守護者共が暴れまくってんのさ。あたいらも気にせず殺しに来てるから逃げなきゃ死ぬ。んで逃げてきた先でタコとドラゴンの頂上決戦。南にゃ超巨大な大陸覆う電撃クラゲだろ、西はダツの群れを発射しまくるイソギンチャクを両手に持って移動する巨大蟹。東からは赤い鮫とそれに群がる無数の青い鮫の群れ、なんで鮫が空飛んで頭が六つになってんのさ!?」
どこも地獄か!?
海の守護者やべぇよ!? なんで地上でも生活出来る上にそんなに強いのさ。
しかも北からゴ○ラまで歩行開始して近づいて来たしッ!!
仕方ない。ここはもう、海の守護者に任せてラビット・ネストに戻ろう。
僕らの戦争は終わったんだ。
―― それが、無難かもしれんな ――
「正直、これ以上ここに居ても死ぬだけだと思うナ☆」
―― 賛成ー。アウレリスさんはもう帰ってたし、僕らも帰ろーぜ ――
「なんだ。もう帰ってる奴いるのか。んじゃさっさと帰ろう。後はうさしゃんに責任取らせりゃいいだろ。もともとあいつの起こした戦争だし」
ルアネの姐さんの一言で僕らはジョゼさんに頼んでラビット・ネストに逃げ込むことにした。
ラビットネストの管制室に移動して直ぐ、さっきまで僕らがいた場所がゴ○ラに踏み潰されてる画面が見えた。あっぶねぇー。
 




