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ライゼン、孫が強くなり過ぎてるのだが

 力と力がぶつかり合う。

 雷属性の魔法を纏った我が槍が周囲に紫電を迸らせる。

 しかし、その麻痺効果付きの雷撃がリアに当ることはない。


 同じようにリアの槍から放たれた揺らめきが紫電を全て撃ち消しているからだ。

 目に見えないが、打ち合う度に謎の揺らめきを迸らせる怪しい槍。

 何らかの付与魔法が掛けてあるのはわかるが、初めて見る魔法なのでどんな属性が纏い付いているか分からないのが怖いところだ。


 槍が交錯する度に怪しい揺らめきが周囲に飛び散る。

 力の奔流?

 その程度ならいいが、気のせいか?

 周囲に揺らめきが停滞している気がする。

 これは……飛び散れば飛び散るほど、危険なのでは?


 紫電であれば数瞬光る程度。

 触れれば麻痺が付随するものの、効果は数秒。

 つまり、一瞬の停滞を持って相手の隙とする付与魔法なのだが、ミストルティンといったか? この魔法はどうやら付随効果が停滞して行くらしい。


 徐々に周囲の揺らめきが多くなると、警戒してしまい、動きが小さくなっていく。

 気にはなるが触れたくないと思うせいでなかなか動きに集中しきれない。

 これが狙いだというのならそこまで問題はない。

 問題はやはり揺らめく空間だろう。

 触れた瞬間起こりうる事象が不安過ぎる。


 リアの動きに隙が見えた。

 踏み込んで追撃すれば倒せるかもしれない。

 しかし、踏み込む先にあの揺らめきが存在している。


 もしも設置型トラップの類であれば窮地に陥るのは自分自身である。

 ゆえに下手に揺らめきに触れられない。

 なので、この隙を使って仕掛けてみる。

 地面から小石を拾って揺らめきの一つに投げる。


 次の瞬間、キュンと奇怪な音を立てて小石が消失した。

 ほわぁっ!?

 今、なんか小石消えたんじゃけど?

 アレ、儂触ったら同じように消失するんじゃないかの?


「リアや」


「……な、何かな? おじいちゃん?」


「今の、見たじゃろ?」


「……な、なんのことかわからない、かなぁ」


「あれ、触れたら死ぬんじゃないかの?」


「……うぅ。だってお爺ちゃんの付与魔法に対抗しようとしたらこれしかなかったんだもんっ!!」


 ちょっと涙ぐみながら告げるリア。

 小さかった彼女が少し見ない間に成長したように見えたが、やはりリアはリアらしい。

 不意に懐かしく思えてしまった自分に慌てて叱咤する。


 今、彼女を孫と認識してしまえばもう、自分は戦えなくなる。

 落ち付け。話し合いに持ちこんでいる今なら多少油断しようとも攻撃は来ない。

 周囲の敵対存在はアボガードたちが防いでいるのでこれも問題はない。

 リアなら正々堂々闘うことだろう。


 よし、落ち付いた。

 とにかく、このミストルティン、下手を撃てば儂が死ぬ。

 死ぬのは辛いし、リアに儂を殺すなどというトラウマを植え付けたくもない。


「仕方ない。付与魔法は封印じゃな。どうかの?」


「でも。お爺ちゃんの持ち味が……」


「なぁに、付与魔法がすべてではないわい」


 そう告げて、儂は指笛を吹く。

 少し遅れてシャウラがやってきた。


「騎馬戦といこうかの」


「うふふん。ならば私も呼んじゃうよ!」


 自慢の名馬、シャウラにまたがって見せると、リアも指笛吹いて馬を呼ぶ。

 天空より風を切り裂いてやって来たのは、忌々しいウサミミを持つ翼の生えた馬。


「ラビットペガサスのうさうまちゃんです」


 リアよ……なぜそんな名前に……?

 リアには名付けに付いて教えておかねばなるまいか?

 さすがに壊滅的じゃなネーミングセンス。


「さぁ、行くよお爺ちゃんっ」


 って、空飛ぶんかい!?

 ペガサスだから仕方ないとはいえ、空中戦は分が悪い。

 何しろシャウラは普通の馬。

 うさうまと敵対するには相手が近づいてくるのをまたねばならない。

 それ、シャウラの優位性完全に消し飛んどらんかの?


 おかしい、なんだか儂の能力、全てリアに抜かされとる気がする。

 い、いや、気のせい、気のせいだ。

 気を取り直して気合を入れる、さぁ、自分で騎馬戦を提唱した以上、相手が空を飛んだところで文句は言うまい。来るがいい、リア!


 天高く飛翔したうさうまが一気に急降下。

 斜め下に居る儂向けてリアが槍を構えて突撃する。

 これを弾くのは一苦労じゃわい。


 一撃目はなんとか弾き切った。

 落下速度が合わさった一撃はあまりにも重く、もう少しで心臓を貫かれている所だったが、ぎりぎりで踏ん張り弾く事が出来た。

 ただ、シャウラにはかなり負担を掛けてしまった。


 続く二合目。

 なぜかシャウラが暴れ出し、踵を返して逃げだす。

 かと思いきや、一定距離を離れて落下して来たうさうま目掛けて反転からのジャンピングキック。

 丁度リアの攻撃が行われる瞬間に、うさうまの鼻面にシャウラの蹄が突き刺さった。


 悲鳴を上げるうさうま。

 悶絶した拍子にバランスを崩したリアが落馬。

 思わず助けに入ろうとしてしまったが、リアは自力で上手く着地し、無傷で脱出した。


 むぅぅ、互いに傷付けるのに遠慮がちになっているせいで決定打に掛けるわい。

 何かいい方法ないかの?

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