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美与、天音だけ、いればいい

「あまねーっ」


「わぷっ!? み、美与? 本当に大丈夫なの?」


 ふっふっふ。何時か天音に必要になるかもと思って常に自分の固有スキルレベルを上げてたのよね。

 御蔭で任意で癒し空間をどこまで発動させるか誰に発動させるかを選べるようになった。

 なので、基本は味方以外に対して発動するようにしている。


 最初こそ、このスキル何の意味があるんだろう、と思っていたのだけど、実はこれ、癒しを与えることで相手を堕落させ、逆に私と任意の対象にHPなどの回復効果を与えるスキルだったのだ。

 レベルが低い間はただの癒されるだけの空間だったのだけど、レベルが上がれば上がるほど、凶悪なスキルになっていた。


 二年以上前、ワールドエネミーを発動させた啓太さんの種族が確か怠惰属性だったと思うのだけど、このスキルはレベルを上げ続ければアレと同様の効果くらいまで上げられると思われる。

 それくらいの極悪スキルだったのだ。


 今は味方には回復効果、敵には極悪スキルとして発動するように指定してあり、悪意ある者、悪意ある攻撃、そして私の身体にとって有害になり得るもの全てを対象に、私の周囲で癒され怠惰化するように設定されているのである。

 ゆえに、病原体とか言うのがどれ程凶悪であろうとも、私の傍にやってきた瞬間骨抜きとなって感染する気力を失い周囲に漂いながらもただただ存在するだけの物質になり下がる。


 感染することすら、そう、生存のための行動すらも億劫になるほどに怠惰。

 それがこのスキルが敵に与える能力である。

 常時発動な上に状態異常としてもかなり高位らしく、どうやら精神異常無効化スキルを持っていても怠惰化してしまうらしい。


 おかげで今殴り飛ばしたマージェスだっけ? Sランクの冒険者らしいけど、私でも倒せちゃったよ。

 あんまし鍛えてないから細腕のままなんだよね。

 まぁミミック狩りには天音と参加してたからそれなりに強くはなってると思うんだけど。


「ま、天音さえいれば私は他の事はどうでもいいけどね」


「美与……なんでそんな残念なの……」


 ああ、呆れてる天音可愛い。

 頬ずりしていいかな? いいよね?

 うふふ。すべすべもちもちぃー。ジト目も最高よ?


「がぁ……クソ、なんなんだ……なんなんだよお前らはァッ!!」


 鼻から血を流し、歯が折れたようですきっ歯になったマージェスが起き上がる。

 よろめきながら立ち上がる。

 しつこいなぁ。天音との一時邪魔するってなら確実に潰すわよ?


「殺す……お前ら絶対に纏めてぇ……」


「おや、まだ勝敗着いてませんでしたか」


 不意に、また別の声が近づいて来た。

 誰かと視線を向ければ、アトエルトさんじゃん。

 なんでここにいるの?


「はっはっは。私はどこにだっていますよ。それより、桜坂さん、夜霧さん、とても素晴らしい働きでした」


 何故かほめられた。

 どうやらマージェスを止めたことを評価されているようだ。

 まぁ、病原体どうこう言ってたし、放置しといたら喜べない事態になってたのは確かよね。


 ということは、天音がいい仕事したってことね!

 やっぱり天音は凄いわ。

 私が好きになっただけはあるわね!


「マージェス。そろそろ終わりにしましょう。貴方は世界を滅ぼす気ですか!」


「煩いッ! どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって! 細菌なんて扱い方さえ知ってれば味方に被害とかでねーんだよ!!」


「いや、どー見ても被害でるでしょ! 私何度も死んでますからね!」


「うるせぇ!! くそ、三対一? ふざけやがって。僕に攻撃手段が細菌撒くだけしか出来ないとか思ってるんじゃないだろうな? だったら、見るがいい。これが奥の手。細菌強化ッ」


 えぇ。なんか悪役じみた行動しだしたんだけど? 

 何かの細菌が詰まったアンプルを取り出し、まさかの自分で服用。

 細菌、飲んじゃっていいの?


「ぐ、が、がああああああああああああッ!!」


「えぇぇ」


 な、なんかぼこぼこ体中が膨らみ始めたんだけど!? あれ、大丈夫な細菌なの!? 


「うえぇ……アトエルトさん、アレ、大丈夫なの?」


「そ、それが、あの能力は初めて見るので時間経過で戻るかどうかすら……どうなるのでしょう?」


 分からないのか。

 とにかく、天音は私の後ろね。

 アトエルトは数人私達の盾になるように。


「酷い話ですがそれが一番良さそうですね」


 百人のアトエルトが私達を囲う。

 膨らむマージェスの身体が赤く変色。

 人がしていいような色合いじゃなくなってしまった。


 徐々に、肥大化が収まって行く。

 どうやら二メートル大に変化したマージェスはそこで肥大化が終わったようだ。

 そして、涎に涙にと無数の体液に塗れたマージェスだったモノがゆっくりと起動する。


 筋肉ムキムキマッスルボディー。顔だけマージェスで弱々しいのに体は二倍くらい巨大化したスプリンターとでも言うべき存在になった。

 マージェス。凄くアンバランスだよ。顔を1としたら1:10くらいの筋肉量があるよ、あんたの身体……

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