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ウサギさん、死んでましたが何か?

「ディアリオ……」


「久しいな、決着が付いたようで安心したか? 悪いが個人的な理由でウサギを生還させて貰う。私としても、彼にはいろいろと恩義を感じているのだよ。彼の御蔭で人間の幼児時代がとても楽しかった、これは、その礼だ」


 ……うぅ。

 気分悪りぃ……

 最悪の気分だ。多分魂が半分以上体から離れてたからだろうな。


 おー、ディアリオさんか? 成長しましたな。

 助けて下さったんで? まさか蘇生していただけるとは思わなかったので感謝感激っすわ。


「ふっ。うさぎよ、死んでしまうとはなさけない。向こうの奴らに死んでたらこう言ってやれと言われてな」


 普通にへこむんで止めてくれませんっ!?

 というか、さすがに二歳児になれば言葉も話せるか。

 しかし、随分と成長したっすね。


「内も外も予想以上にな。御蔭で少々遅くなった。まさか我がいない間に死んでいるとは思わなかったぞ? 後少し遅れていれば転生だったな」


 いやー、それが転生不可フィールドにしてるんで、死が確定した瞬間俺転生出来ずに記憶消去っす。


「ほぅ、随分と博打を打ったものだ。しかも負けておるし」


 ぐほぅっ!!

 いや、油断したんすよ。

 まじで相手のが上手でした。俺のいいとこまったくなし。

 まさか先手必勝で確殺されるとは思わんかったぜ。


「ああ、畜生……最悪な結末だ……」


 ヘンドリックの声が聞こえた。

 諦めたような。投げやり気味の声に困る。

 いや、俺としてもここから再戦するなんてのはちょっとなんか違うかなって思うっつーか。

 正直完敗だったから恨みとか怒りが全く湧いてこない。見事にしてやられた感はあるけども。


 そのせいかなぁ、なんかもう、どうでもいいって感じがします。

 それに、これからどうするかは決めてるし、後は、もう、戦争終結を待つだけだなぁ。


「ふむ、つまりこれ以上ヘンドリックと闘う気はない、と?」


 そもそも、敗北したからなぁ、復活したからワンチャンって程でもないし。

 それに、勝った筈なのに、ヘンドリックの表情に晴れやかさが無さ過ぎる。

 俺が復活したから絶望って感じじゃない。あれは、目標無くして無気力になったのに、また目標出来ちまってどうしようか戸惑ってる顔だ。


 しかし、咲耶はともかく、セレスティ―アとルルジョバも俺を心配してくれたんだなぁ。つまり、ルルジョバは誘えばワンチャンあり?


「こんな時までぶれないのは凄いデース。でもあ・り・え・ま・せんっ」


 そんな力強く否定しなくとも……セレスティ―アは?


「いえ、なんか、もう会えなくなるとか哀しくなるとか以前に、あまりにもあっけなく死んだから思わず駆け寄ったのよ」


 うぅ、面目次第もねぇ……

 仕方ねぇだろ。俺はどんなに強くなってもただのシロウサギさんだぞ。

 いままで何でもない風に装いながら強敵と闘ってたけど、ガッツ発動を加味しても二発で死ぬ紙装甲だからな。


「そう言えばそうだったな」


「普通に忘れてたわ」


「Oh、そう考えると弱いでーす。ワタシでも倒せますか?」


 そりゃ倒せるだろうよ。俺が逃げ回ったりゴールドフィンガー使わなきゃ。


「ん、ではソレを使ったこちらの負けですか?」


 そりゃそうよ、俺は回避と先手必勝でここまで生き残ったんだぜ? そんなウサギさんが先手必勝されて、まぁ殺された訳ですが。


「なるほど、確かにそれなら、死に易さをカバー出来まーす」


「殺される前に速攻で倒すってことね」


 基本それだな。あるいは避けタンクで相手の集中力奪って一撃必殺にかける、とかかな。そも、対人戦で不意を突くならともかく、複数の敵に混じったボスキャラ討伐となるとさすがに、なぁ?


「我はその程度なら苦にもならんぞ? 体型的にはお前と一緒だが」


 邪神様と一緒にされても困るッす。


「磁石寺……」


 ヘンドリック、随分と空虚だな。

 俺を殺せて満足したんじゃねーの?


「そう、思ったんだけどね。彼女は戻ってこないし、目標もなくなった。生きる気力までごっそり消えた気がするんだ。これ以上磁石寺を殺せって言われてももう、僕には殺せそうにないし」


 そりゃよかった。俺もお前と殺し合いはもうお腹一杯だ。俺の敗北ってことで結論付けとくよ。

 正直、ディアリオさんが来なけりゃあのまま死んでたし。

 ディアリオ様には足向けて寝られませんわ~。


「全く感情が籠ってないな。しかし、戦争はどうするんだ?」


 さすがにここで勝敗決したから止めまーすとか言っても誰も止めそうにないぞ。


「いいよ、とりあえず一段落するまで待っていよう」


 ヘンドリックがソレでいいならいいんだが……ああ、不意打ちする気かもだけど二度目はねーぜ?


「それくらいは分かるさ。ああくそ、結局殺し切れなかったのは僕の実力不足ってことか」


 つーわけで、俺らの闘いは俺の敗北ってことだ、あーあ、完全な失敗だぜ。

 ま、ヘンドリックが念押しでアイテムダイアログ押してアイテム回収しときゃ、俺は既にいなかったんだが……


 そう考えるとほんと、綱渡り落下して死ぬ所をディアリオさんが釈迦の掌みたいに救ってくれた訳か……めっちゃ命の恩人じゃん。どうしよう、報いるモノがなんにもねー。これはもう、焚火に飛び込んで私を食べてー。くらいの何かしなきゃ駄目だろうか?

 いや、それやったら命を粗末にすんなとか言われそうだしやめよう。

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