表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
938/981

幸次、ようやく見つけたぜ

「なるほどなァ」


 思わず笑っちまった。

 なんのことはない。脅威だと思っていたスキルはあまりにも脆弱だったのだ。

 俺自身が凶悪なモノだと勘違いしていただけだ。


 クソ、あまりにも警戒し過ぎてて可能性を捨てちまっていた。

 気付いちまえばあまりにも簡単なことだった。

 確かに、こいつのスキル禁止という固有スキルは脅威だ。


 木下や俺みたいにスキルを使いこなしていれば、おそらく俺が考えていたくらいには脅威になっていただろう。でも、だ。

 この馬鹿は折角の固有スキルをほぼ使ってなかったらしい。

 御蔭でスキルレベルが低いまま。


 木下のスキルだって初期は一つのスキルを一分の間のみ重ね掛け可能だった。

 今じゃそれを使用しまくって固有スキルのレベルが上がり、戦場全ての味方全員に一分間永遠全能力増加を無限に与え続けられるぶっ壊れスキルになっている。

 つまり、俺達の固有スキルは使えば使うほど価値が上がって行くぶっ壊れスキルって奴なのだ。

 なのにこの馬鹿は、いや、多分ラビットネストのメンバーは固有スキルを有効活用出来てない。


 ゆえにスキルの効果時間が限りなく短く、スキルの重ね掛けでどうしてもタイムラグが発生しちまう。

 つまり、そこが付け居る隙だ。

 さっきからこいつの動きを観察してたが、たまにこう、くいっと人差し指と中指くっつけてこちらをBANGっと打ち抜くジェスチャーを小さくしてるのが気になっていた。


 行う動作のタイミングを計っていると、丁度俺に木下のバフが付与されるた直後にスキル全てとバフが封印される。

 そのせいで違和感があったのだ。なにしろ一瞬だけ体が軽くなるからな。

 何度もくらってりゃ犬でも気付く。


 こいつのスキル感覚は大体一分だ。

 おそらく一分なのだろうがたまに遅れる時がある。つまり、彼女自身は一分ごとにスキルを掛けることにすら慣れていないということである。木下を見習いやがれ。

 ジェスチャーも理解した。

 つまり、こいつはもう、俺の敵じゃぁねぇ。


 タイミングを計って絶妙なタイミングで腹パン決めてやる。

 どうなるか楽しみだなァオイ?

 こいつを殺った後は真廣さんの確保だ。

 確保さえしちまえばこんな戦場に用も無い。

 さっさとずらかって真廣さんと幸せ家族計画だ。


「行くぜクソ雑魚ッ」


「煩い変人ッ。さっさと倒れろ!」


 倒れるのは、テメェだよ!

 来た、スキルが封印された。

 ここから一分。

 一瞬の油断が貴様の負けだぜ戸塚ァ!


 最初の切れ時、タイミングドンピシャで次の封印が入る。

 まだだ。まだ普通に攻めろ。

 次の切れ時、一瞬遅かったがタイミング的には仕掛けるべきじゃなかった。

 落ち付け。相手に悟らせんな。

 ベストのタイミングであらゆるスキルを一瞬で使い、たった一撃で全てを覆す。


 次ぎ、一分間の封印が切れ……ここだっ!

 一分間を数え間違えたのか明らかに遅れた戸塚、慌てて指先を俺に向けようとするが、それを蹴りあげスキル発動を失敗させる。

 明らかに焦った顔をする戸塚。


 使えるスキルを全て乗せる。

 木下からのバフが一気に流れ込む。

 体の制御すらままならないまま、拳に力を込め、ボディーブローを叩き込む。


「爆ぜろッ」


「ひっ」


 タイミングはばっちり、威力は充分、死ね、戸塚ァッ!


「はーい、そこまでぇー」


 っ!?

 な、なんだ? 拳が、進まない!?

 

「危ない危ない。いやーお姉さんが来なかったら大変なことになるとこだったよ」


「え? あ、助っ人……?」


「はいはい、ここからは、このエリスエールさんが参加しちゃうわよー」


 と、空から降りて来る妖精女王。

 クソ、今のめちゃくちゃベストタイミングだったんだぞ!

 戸塚が一撃で爆散するくらいの一撃を軽々と……


「そんな一撃女の子向けるとか最悪ね。向けていいのは男の大ほ「何訳の分かんない事言ってんですかッ!?」ああんもう、台詞被せないでくださる!?」


「とにかく、これ以上は限界でしょ。私が引き継ぐわ」


「す、すいません。で、でも、気を付けてください、こいつ女性に腹パン決めるのが性癖らしくて」


「え? ドSな人なのね。私はそういうのはちょっと……」


「だから違ぇっつってんだろ!?」


 仕方ねェ。こうなったら纏めてぶっ倒す。

 とにかく、戸塚の倒し方は既に覚えた。向こうがどんなにがんばろうとも既に見付けた攻略法は確実に奴の息の根を止められる。

 つまり、このエリスエールとかいう女をぶっ倒せば……は?


「んじゃま、始めましょうか。スパイラルトルネード四連」


 え? え? 何コレ?

 俺の周辺に風が渦巻いて竜巻に囲われて、四つの小さな竜巻が円を描くように俺に近づいて来てるんだけど……


「あ、それ触れたら普通に死ぬから」


「うおおおおおおっ!? クソ、逃げ場は何処だ!? 何時の間にか風で壁が作られてる!? お、おい、これどうなってんだよ!?」


「ウサギちゃんは脱出したけどねー。ふふん。私のダーリン程の実力が無かったら、うん、ただただギュイーンっとミキサーに掛けられるだけよ♪」


 こ、こいつ、腹パン云々よりヤバい奴じゃねーか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ