表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
929/981

エフィカ、ミミックイーター

 さて、リルハにインビジブルゴーレムを押しつけてみたが、まさかの好采配でインビジブルゴーレムを倒してしまった。

 これは僥倖。

 透明な敵をどう倒すべきか悩む必要が無くなったのは嬉しい誤算だ。


 ならば私は、邪魔になる司令塔を潰すとしよう。

 一番危険なのは狒狒爺だろう。

 しかし彼女を潰してもタマが司令塔を引き継ぐだろう。

 つまりこの二体を何とかしないといけない訳だ。


 私一人で司令塔を倒すのは難しい、しかしながら、リルハの手が開いたので、彼女にタマの相手をお願いする。

 さぁ、一騎打ちと行こうじゃないか!

 ミミック相手ならミミック狩りしてた時に二つ名に追加されたミミックイーターが効果を発揮するしな。


 称号、ミミックイーターはミミック種の魔物に対して攻撃力、反射速度、防御力が増加するスキルだ。

 ミミックハンターの進化系なのでかなり効果は高い。

 御蔭でこのスキルが身に着いてからはミミック狩りが捗った。


「行くぞ狒狒爺!」


「ええい、エルフ風情が調子に乗りおって!」


 ミミックレディといえどもミミック種に変わりはない。

 ならば私の敵ではない。


「くらえ!」


 まずは走りながら弓矢で狙撃。

 トリプルアローを使ってみるが、難なく避けられた。


「基礎攻撃スキルでどうにかなると思っていたのか!」


「ただの牽制だ。わめくな」


 エルフとしては弓矢が得意なのが当然なのだが、私の場合冒険者時代が長かったせいで剣の方が付きやすい。

 最近はほぼ使ってなかったから今のうちに弓に慣らしておこうかと。

 ついでに剣を使う意表を付けるだろうと使ってみたのだが、駄目だな。

 既に得意武器からは外れてしまっている。

 落ち着いたら弓の練習から始めないとエルフとしての矜持が揺らぎかねない程に下手になっている。


「こちらから行くぞ!」


「ディスペル!」


 魔法を使う気配がしたのでその詠唱をキャンセルさせて貰う。

 ぬぅっと呻いたミミックレディは自分の上半身を使って宝箱ごとバックステップ。

 自分の身体をよく理解した逃げ方だ。


 倒立した状態で宝箱を振り上げ真後ろに弧を描くように飛び退くのだ。ミミックの癖に動けるのはなかなかに厄介だ。

 下手に近づくとあの宝箱を鈍器に使ってきそうだな。

 魔法自体はディスペルを唱えればなんとかなりそうだが、物理で来られると少々面倒だ。


「即死の魔眼」


「ブラインド!」


「ぬぅ、ええい、地味な魔法をっ」


 危ない……もう少しで何も出来ずに死ぬ所だった。

 ついさっき死んだら記憶を持っての転生は無理だと言われたばかりだ。

 さすがに死んだ後の事は分からないとはいえ、もしかしたらこの記憶を持ちこせるかもしれない以上、今殺される訳には行かない。


「おい、狒狒爺、助けろ!」


「は? タマ、お前なら一人で何とか出来るだろう! 取り込み中じゃ!」


 ワーキャットに怒鳴り、再びこちらに意識を向ける狒狒爺。

 面倒な……今のやりとりで混乱が収まってしまった。

 狒狒爺はこちらを警戒し、妨害の穴を探し始める。


 これでは迂闊に攻め込めないな。

 主武装が剣だとバレると少しやりにくいんだが。

 まぁいい、特攻して即座に潰す事にしよう。


「来るか!」


 一足飛びに距離を詰める。

 腰元の鞘から剣を抜き去り一閃。

 宝箱を盾にして受け止められた。


 続く二撃、これも駄目か。

 ならば! 三度目、と見せかけて宝箱を蹴りつける。

 自分の腕を使って宝箱をハンマーのように使っていた狒狒爺は、宝箱を真上へと跳ね上げられ、初めて焦った顔になる。


 そこへ、私の一閃。

 両手を地面から離して飛び上がる。

 これで、トドメ!


「甘いッ」


 空中で体を入れ替えながら宝箱の中へと消える狒狒爺。

 ええい、失敗した。

 一瞬早く宝箱に身を潜められたことで、剣先が宝箱に弾かれる。


「お返しだ」


 ブレス攻撃!?

 咄嗟にサイドステップで躱す。

 ブレスが触れた場所が石化した。


「石化ブレス!?」


「避けたか」


 まさか即死系スキルが二つもあるとは……

 これは本気で即殺を狙わないと、こちらの方が一瞬で殺されかねない。


「ぎゃー!? 狒狒爺! 狒狒爺ヘルプ!」


「煩いッ! 勝手に死んでおれ!」


「うをい!? テメェ狒狒爺、俺がピンチなんだから助けろよ!?」


「煩いと言ったぞ! 今忙しい!」


 なんか、仲間割れ始めたな。

 実は結構仲はよくないんだろうか?

 いや、そう見せかけてるだけかもしれない。油断は禁物だ。


 リルハと一度視線を交わす。

 互いに頷き、距離を詰める。

 私は狒狒爺、リルハはタマへと攻撃を仕掛ける。


 やっぱりか! この二人、互いにフォローするタイプの司令塔だ。

 二人一緒の場所に纏めると協力し始めるから放して闘った方が良さそうだ。

 私の攻撃をタマが、リルハの一撃を狒狒爺が受けたのを見て即座に判断する。

 行くぞリルハ。こいつ等は各個撃破だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ