トーナ、おかしいな、拮抗してる
おかしい、拮抗してる。
ふと、それに気付いたのは、殆ど戦闘に参加せず周辺を見回してた荷物持ちである私だからだろう。
私の所属チーム、カラフサのリリーレンはダリスをリーダーとして、ピーラ、シエスタ、ケストニー、そして私トーナの五人組冒険者である。
ダリスは斧持って吶喊するアマゾネスタイプの思考回路だし、狸娘のピーラはそのフォローに入ってダリスの死角を潰している。
シエスタは斥候役でもある軽装ポニーテールの女性だ。皆からはよくポニ子とか呼ばれている。
彼は今、タンク役である相手のイエローマンと闘っている。
そのフォローを行っているのがポロロン横鳥のキグルミを着たケストニーである。
魔法使いで優秀なのだけど、そのファッションセンスが壊滅的で、でも実力を買われてダリスに見出された少女だ。
今では立派な後衛として仲が良いけど、最初の時は何この奇妙な服装の子。とか思っちゃった。正確もおどおどしてるし、ダリスの声にびくっとしてるから直ぐに辞めちゃうかと思ったんだけど、意外と根性があるのだ。
そんな二人がイエローマンと背後のブラックマンを相手取っている。
この二人、女の子二人とパーティー組んでたんだけど、その二人がウサギさんに襲われた後だったらしく、裏切られて二人取り残された。
いや、ブラックマンの方はこちらに付きたそうだったけどイエローマンに仕方なく付き合ってる形だろう。つまり、イエローマンさえ倒せばもう一人は戦闘放棄してくれるかもしれない。
問題は、新たに参戦して来た冒険者。
漏れ聞こえて来た言葉からはラザッツ、ケイニー、パラゲリスというメンバーらしい。他にもいるみたいだけど、そのメンバーは魔物やアトエルトと戦闘中だってさ。
ラザッツはダリスと斬り合っている。双方脳筋らしいのでむしろ拮抗してしまっている。
そしてフォロー要員がパラゲリス。ラザッツに対して口は悪いものの、しっかりと連携が取れているのが凄い。
御蔭でウチのピーラが苦戦気味である。
んで、私としてはもう一人残ったケイニーの動きに注視している訳だけど、この可愛い娘、応援しかしてない。
ガンバレガンバレラザッツ~。とかアンダースコートルックで応援し始めたのだ。
強化スキルかと思ったけどそんなこともなく、ただただ踊りながら応援してるだけである。
手に持ってる毛玉みたいなのはなんだろう? ちょっと楽しそうだ。
ダリスが手をこちらに向ける。
すぐに反応してポーションを投げ渡す。
サポーターである私は戦局を見まわし、危険に瀕しそうな仲間にアイテムを渡したりフォローするのがメインの仕事だ。
しかし、拮抗してるなぁ。
なんでここまで苦戦気味なんだろ?
まぁ、理由は簡単だ。イエローマンの防御力とブラックマンの補助魔法や回復魔法を抜けられないのと、ラザッツの実力と経験がウチのリーダーと拮抗してるのが長引いてる理由である。
とはいえ、私だってぼーっとしてるわけではない。
いろいろフォローしているものの、私にも思い出したように牽制魔法がブラックマンやパラゲリスから飛んでくるので、下手に戦闘に参加できないのだ。
ゆえに、崩れそうな時にフォローのアイテムを渡すだけにとどめざるを得ない。
もうちょっとスマートな戦術もあるだろうとは思うのだけど、やきもきしながらキュアポーションをシエスタに渡す。
ケストニーにはうさぎさん印のマジックポーション。これ一つで全快するし、ポーション中毒にもなりにくい最高級のMP回復ポーションである。
こういう凄いポーションもコピー能力で無限に作りだせるとか、ウサギさん極悪だよ。
これ売るだけでも一財産稼げちゃうんじゃないかな?
ウサギさんと出会えてホント良かった。
まぁ、結婚相手がウサギさん固定になっちゃうことが何とも言えない状況だけど、これはこれで皆と一緒に居られるし、幸せなのかなぁ。
「そろそろ、参戦するぞドガッサ!」
「任せな! 防御は俺の専売特許だ!」
不意に、ブラックマンが動きを変えた。
今までの補助一辺倒から、自分も双剣を引き抜き走りだす。
マズい、あいつ補助専用じゃなくてオールラウンダーだ!
「シエスタ、ケストニー、オールラウンダーが来るわ!」
「なにっ!?」
「ひぃ、黒服の人が走りだしたっ!?」
これはマズい。今まであいつが参戦してなかったから拮抗してたけど、これでわからなくなった。
何しろ今の状況でシエスタが抑えられていて、ケストニーの魔法も効いてなかったのだ。
ここにさらなるアタッカーがイエローマンを補助しながら突っ込んで越されたら。
ええい、私も参戦するしかない。
「ダリス、状況変化B-1、ダメージは極力減らして!」
「おうさ! 任せときな」
「こっちは気にしないでトーナ。なんとかフォロー仕切る!」
ダリスに回復薬、トーナにMP回復役を投げ渡してハンドボーガンを起動する。
私じゃ大して闘えないかもだけど、二人のフォローくらいはして見せるからね!




