うさぎさん、だからなぜ皆各個撃破にこだわるの!?
「ヒィッヤッハァーッ!!」
天幕を抜けた瞬間、モブっぽいおっさんたちが踊りかかってきた。
そして俺の目を見て即死した。
まぁ、俺の今の種族、死を呼ぶ流体兎だし? 魔眼で即死付与しちゃうし?
「あぼぁ!?」
よしっと、周囲に敵影なし。
進化種族はヒヒイロウサギでいいかな? 防御力はピカイチだし。
「うわ、奇襲されかけてたのね」
「瞬殺か。やるではないか我が運命の伴侶よ!」
ふっはっは。我が魔眼の餌食となりおったわ。
「え? 魔眼!? いいなぁ。ウチも欲しいっ」
ドクターに頼んでみたら?
「魔改造は嫌じゃぁい!」
確かに、ドクターに言ったが最後、嬉々としていろいろ盛って来るだろう。
しかも、たまに収拾付かなくなって失敗する事あるからな。
あいつら失敗したら、その瞬間、そこには怪人は居なかったことにして普通に次の検体改造しはじめるからな。まさに怪人、灰燼に帰す。ってなもんで、放置された奴はそのまま死ぬらしい。
「おーし、やっぱ来たな戸塚」
「あら? 上田じゃない。何、負けに来たわけ?」
「うるせぇ! テメェの無効化スキルにゃ何かデメリットがあるんだろうが! 今度こそ腹パン決めて内臓ぶちまけさしてやるから覚悟しやがれ!」
「女性に対してなんて奴。こんなのがクラスメイトだったなんて……ウサギ、こいつとっちめるから私はここで脱落しとくわ」
了解~。
ってか、思ったんだけどわざわざ一人一人残る必要なくね?
なんで皆一対一になろうとしてんだろうな、ロア?
「そんなもの……ロマンだからだろう?」
と、幾らも駆けないうちにロアが立ち止まる。
おいおい、まさか……
「よぉジョージ。懺悔の時間が来たようだぞ?」
「抜かせ二階堂。私とセレスティ―アの愛の巣計画、邪魔はさせまセーン! お前も屈服させてハーレムに加えてやりマース」
「言うではないか、残念ながら先約済みだ。貴様の無様な土下座姿でも拝んでやろう。ダーリン、先に行くが良い。ルルジョバ、後は頼む」
「あらー。ワタシ見学するだけのつもりだったんだけど……」
まぁ、後はヘンドリックだけだろうし、見学でいいんじゃね?
「あ、そうなんデスか? では送り届けたらサンバでも踊っておきマース」
踊っとくのかよ。なんか萎えるよな、背景で踊られると。
……と思ったけど、まだ一人いたな。
「あらあら、貴方がわざわざ出向いてくれるとは。命はいらないらしいわね」
セレスティーア。
お前、やっぱアレのために俺と敵対する気か?
「当然よ、私は元々一人じゃ満足できないの。貴方はとても素敵なウサギさんだけど、私はもっと沢山の男に抱きしめられたいのよ。寝取りとか寝取られたとか、貴方たちの小さな尺度で計らないでほしいわ。私は自由。誰の物でもあり、誰のものでもないのよ。それを独り占めしようだなんて、万死に値すると思わない?」
思わねーな。元々俺はジャイアニズム肯定派だ。俺のモノは俺のモノ。お前のモノも俺のモノってな。
自分から寝取ったりするのは好きだが寝取られとかされると激怒もんだよ。
ソレ相応の罰は受けて貰うぜセレスティ―ア!
「全く、だから私は一人じゃ満足できない女だって言ってるでしょ。諦めて、死になさい! 貴方の呪縛を解いて、私は世界中の男を知るのよ!!」
「あー。順番的にこれ、ワタシが相手した方が良さそうデース?」
あれ? いいの?
「なんかその方が良い気がしました。この戦争祭り気分になって来てマース」
それはそれでいいのか?
まぁ、個人のモチベ維持のためならいいのか。
「では、ワタシはここまでデース」
了解。しかし、ホント一体一の法則はなんなんだろう?
「ワタシに聞かれ困りマース」
「行くならさっさと行きなさい。あんたなんてウサギ肉になっちゃうんだから」
へいへい。んじゃールルジョバ、悪いけどセレスティ―アちょいとシメといて。
「オッケー」
ルルジョバに別れを告げて先へと進む。
はぁ、普通にヘンドリックと一対一になっちまったな。
なんでこうなったし?
よーす、ヘンドリック。
なんか奇襲する雰囲気じゃないから正面から来たぜー。
「……馬鹿かな?」
酷い言い草だな。
天幕の一つから出て来たヘンドリックは溜息を吐いて俺を出向かえた。
「一応、僕らは殺し合いしてるつもりなんだけど?」
知ってるよ、けど、お前の行動がイマイチよくわからなくてな。
俺が憎いなら戦争なんて仕掛ける必要無かっただろ? まるで俺に対する危険な生物全員集めて一気に無くそう、と思ってるように見えるんだが?
「それで僕に何のメリットがあるんだい? 変な推測するより、自身の心配したらどう? 一応敵の総大将前にしてるんだよ君は?」
ふむ、それでもいきなり攻撃はしてこないんだな。やっぱり意図が不明な気がする。
 




