表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
906/981

うさぎさん、TS魔王を襲いたいだけの人生だった

 よし、ある程度の敵は皆になすりつけ出来たな。

 御蔭でヘンドリックの天幕までもう少し。

 が、嫌な気配が行く手を阻む。


「クハハ、また会ったなウサギよ! 前回の雪辱、果たさせて貰うぞ!」


 魔王がTSして現れた。

 何コレ、可愛いっ!? 襲っていいですか!?


「クハハ、相変わらずド変態よな。いいぞぉ、我を倒せるようなら好きにすればいい。死んでなければ、なぁ!」


 突撃して来たTS魔王。

 思わず抱き付きそうになるが、必死に本能を少ない理性で抑えつけて回避。

 下手に近づいたら消し飛ばされる。


「逃げてばかりか? そうだよなぁ、今までの実力に加えて木下麗佳による極限強化。我が力、貴様の実力を上回ったか!」


 ホント、チートだよあんた。

 初期ステータスが狂気の沙汰なのに、ソレを超強化するとか馬鹿なの? 死ぬの? 


「ならば次に死ぬのは貴様の番だな! 死ぬがいいッ!!」


 はっ、甘いな魔王、お前の相手は俺じゃねぇぜ!


「なに?」


 さぁ、お前の出番だ。チートはチート同士、やっちまいな! アーボ!!

 じゃじゃーんっと背後にやってきたアーボと位置を入れ替える。

 何の気なしに寄って来ていたアーボは突然魔王の前に躍り出る形になり、両手を上げて驚いた。


「ほぅ、貴様か。覚えているぞ。姿形は変わったようだがな。ウサギ共々我が相手してやろう」


 あ、こらアーボ、俺の後ろに隠れようとすんじゃねーよ。お前が前だっつの。


「って、それ前もやっておらんかったか!?」


 別にお家芸とかじゃねーぞ。アーボを前に出したらこいつが後ろに回りやがるから!

 あいつの実力からいって俺よりお前当てた方が良いんだって。

 嫌だじゃねーよ、メシア担ってるくせに魔王相手に逃げてんじゃねー。


「どちらでもよい、むしろ纏めて死ねぃ!」


 突撃して来た魔王。

 ソレを見た瞬間、俺とアーボはどちらからともなく散開。

 左右に別れて逃げだした。


「チッ! ならばうさ……なにっ!?」


 俺に視線を向けようとした魔王。それに気付いたアーボが転進して槍を一突き。

 咄嗟に身を捻って躱す魔王。しかし、そこにウサギさんからの投擲七色之槍。


「ぬ、あぁっ!!」


 崩れた体勢から無理矢理体を回して槍から逃れる。

 地面に両手を着いて回転を止め、突撃して来たアーボを倒立でぎりぎり回避する。

 そのまま腕の力だけで飛び上がる。


「やるではないか!」


 お前がなっ!

 飛び上がった魔王の背中にドロップキック。

 さすがに抱き付きとかは無理そうだったのでテクニシャンが仕事した急所直撃ドロップキックに留めておいた。


「ごふぁっ!?」


 飛び退いた瞬間間横からの一撃にくの字に折れ曲がった魔王が吹っ飛ぶ。

 よし、一撃。

 って、なんじゃありゃ!?


 ふと視界に入ったのは、無数の人の群れ。

 冒険者たちではなくヘンドリック陣営でもない、もっと多くの人間の群れが遠くから迫り来るのが見えた。


「くぅ、この我が一撃喰らうとは……やはり貴様等二人が相手だとこちらに分が悪いか」


 それより魔王、アレってあんたらの増援か? 


「あれ? いや、人間の増援は聞いとらんぞ? あれは……軍隊だな」


 軍、ねぇ。なぁんか嫌な予感。っていうか、アレってロスタリスの旗じゃないか?


「あの辺りはボザークか。これ、もしかして各王国が手を組んだか?」


 チョコミント、アレに付いて分かるか?


 ―― こちらでも確認した。どうやらロスタリス王国主導で勇者討伐軍が結成されたようじゃの。両陣営に居る勇者全てが討伐対象じゃ。これは……第三勢力かの ――


 マジかよ!?


「ふん、有象無象がいくら増えようが問題はないのだが……」


 ―― ふ、ふ、ふ。困っているようだな。ならば我が手を貸してやろう ――


 ん? あ、おい、待て。お前はまだ使う気は……

 しかし、俺の言葉を無視したソイツは空より来臨する。

 世界の守護者、ヘリザレクシア。


 口が光りはじめたことから確実に破壊光線発動のようだ。

 あーあ。あいつの使いどころはここじゃなかったんだけどなぁ。

 破壊光線が寄せ集め軍隊に降り注ぐ。


 逃げまどう暇などなかった。

 ただ軍隊は歩行していただけで光に飲まれ、何も分からぬままに消えうせた。

 結局本当に第三軍だったのか、あるいはどちらかの軍勢に加勢に来ただけの軍勢だったのか。

 一つだけ言えるのは、どんな理由でやってきたとしても、大量の人間達が一気に消失したという事実だけが残った。


 ―― ふぅ、ウサギよ、貴様らへの義理は果たしたぞ ――


 無理矢理だけどな。はぁ、まぁいいか。あんがとよー。


 ―― ああ。だから、ここからは我は貴様の敵に付く! ――


 ……はい?

 この星より巨大な守護者様が星に取りつき俺への殺意を迸らせる。

 お前、まだ諦めてなかったのか!? 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ