ウサギさん、なんかもう面倒臭いから○ッてから考えよう
「馬鹿アンゴルモアーっ!!」
おおぅ、アンゴルモア諸共召喚された赤毛の少女が絶叫している。
アンゴルモアの奴また転移しちまったよ。
今度は何処行ったんだ?
「こんな戦場にうら若き乙女置き去りとかどうなってんのよ! 馬鹿なの!? 死ぬの? デスゲーム再開するのっ!?」
うん、想定外な事が起こり過ぎてお嬢さんが混乱中だ。
ついでに幸運の勇者が蚊帳の外に成り過ぎてて所在無げに佇んでいる。
そーっと幸運の勇者に歩み寄る。
抜き足差し足忍び足~。
テクニシャンスキル発動。
ふにっとな。
太ももにぺたっと手を触れる。
刹那、声に成らない声を上げて崩れ落ちる幸運の勇者。
ふっ。俺の一撃は触れれば悶絶するんだぜ?
「って、ちょっとそこの兎、私どうしたらいいのよ!? アンタがアンゴルモア呼んだんでしょッ! 責任取りなさいよ! 元の世界戻しなさい! 今すぐにッ」
いや、元の世界とやらが何処の世界か分からないからどうしようもないよ?
「どこって、えーっと、科学が普通に発達してる日本っていう国があるのよ。それで、魔法が発見されて、魔科学が発達して、えーっと、第三次世界大戦が終わったくらいの時期?」
……マジ何処よ?
俺の知ってる日本はさ、科学は発達してるけど魔法は……あれ? 魔法、っていうか、正義の味方には魔法っぽいの操ったり超能力使って来たり神の力を手に入れたみたいなのもいたし、悪魔の力だひゃっぽーいしてたやつも居たな。そんなに変わらない? でも第三次世界大戦は起こってないから別世界だよな。
逃げようとした幸運の勇者を再タッチして悶絶継続。
赤髪の少女の話を一応聞いてやる。
まぁ、俺も責任は感じてるんだよ。
アンゴルモアを何度も意地になって呼び出したし。でもだからってアンタまでこっち来ちゃダメだろ。帰れないじゃん。
キャンキャン吼える赤髪少女。
ツンデレなんだろうけどツンしかない。
俺に好感度がないからデレが見当たらない。
結果うざったいくらいに叫び続ける女性でしかない。
……というか、なんかもう面倒臭くなってきたな。
幸運の勇者ちゃんと致したいし、そろそろ一旦お暇させていただけません?
さっきから幸運の勇者が泡吹き出しちゃってさ。向こうも限界だろうから定期悶絶入れるのもう勘弁してやりたいんだよ。
あー、うーん。
いや、もう、面倒だな。とりあえず、ヤッちまおう。それから考えよう。
ジョゼに頼んで幸運の勇者共々ラビットネストの中庭に転移。
ここなら誰にも邪魔されないから……って、ちょっとジョゼさん、なんでこの赤髪さんまで一緒に転移させちゃったの!?
「ど。どこよここ!? また訳の分からない場所に!?」
というか、お嬢さん、アンゴルモア呼んだらどうよ?
「え? あ。そうね。召喚すればいいんだわ!」
水を得た魚のように召喚を開始する赤髪の少女。
しかし、魔法陣が反応しない。
「なんでよ!? 召喚に応じられる状況じゃない? どうなってんの!?」
あー。あいつ不幸だしなぁ、向こうでまた変なことに巻き込まれたんだぜきっと
「あー、もう、どうしろってのよーっ」
アンゴルモアの奴、今度は戻って来れる可能性すら無いみたいだな。
ってことはこの女はここに居続けなきゃいけなくなるのか……
ついでに……ヤッちゃうか。
「あー、もう、最悪よ最悪。今日こそはって媚薬まで飲んだのに、あの馬鹿、こんな直前で……」
にじり
「にしても、やばいわね。体熱くなってきちゃった。あの馬鹿すぐ帰って来るかしら?」
にじり
「ん? 何よウサギ?」
ハッハーッ!! そんなにお肌が恋しいならウサギさんが温めてやんぜってなぁー。
アンゴルモア戻ってこねーし、いいだろぉ、なぁ、なぁ、なぁっ!!
「ちょ、ちょっと、寄らないでよ? ねぇ、わ、分かってんの? 私はアンゴルモアの……」
そういえば世間話で思い出したけどあいつ結婚してたんじゃなかったっけ?
「それでもいいからって言ったのよッ、あ、ちょ、待って、待って、待って」
とりあえず後のことは後で考えよう。
どうせあいつなら不幸だーって言葉だけで終わらせるだろうし。
ヤッたもん勝ちじゃーい。うさしゃんいっきまーっすっ!!
「ま、待って、そいつ、そこの悶絶女がいるじゃないっ、私は、あ、待って待ってそこダメーっ!!」
……
…………
………………
……さて、どうしよう。
アンゴルモア戻ってきて現状知ったら怒り狂うだろうか?
さすがにアレを敵に回すのは、怖いなぁ……
青く輝く空を見上げ、俺は一人、賢者の時間を味わう。
もう他人の女は襲わないって、皆と約束したばっかりなんだよなぁ……
皆言った通りだったわ。俺に自制は無理っす。
 




