郁乃、純潔に、戻してあげるね?
イルラちゃんイルラちゃんイルラちゃんっ!
イルラちゃんはどこにいるのー。
邪魔だよ冒険者。味方だけど邪魔だから切り殺しちゃうけどいいよね?
おっと、桃瀬ちゃん発見。
あ、雑踏にまぎれて見失っちゃった。
ええい、ホント邪魔だよ冒険者。
なんで死にまくってる雑魚なのにこんなに大勢残ってるの!?
さっきのミミックパレスで軒並み死んだんじゃなかったの?
あ、そっか、世界中の冒険者が集まってるからまだまだ冒険者が途切れないのか。
これ、向こうの方が不利なんじゃないかな?
だってまだ魔族は温存されてるし、強力な守護者たちや高ランク冒険者は様子見に徹してるよ?
あっと、パオさんと涙亞だ。
二人でなんか楽しそうにしてるし、さすがにちょっかいかけたら怒られそうだ。
ここはスルーしておこう。
「天竺君か、イルラだったかは右奥に居たぞ」
ライゼンさんを追い抜かす時、声をかけて来た。有力情報ありがと。
おっと、クラスメイト達だけじゃなく冒険者達用の雑魚キャラとして機械たちが出現し始めた。
これ、どっから湧いて出て……あ、そっか。ジョゼのスキルで逐次投入してるんだな。
ロボットは殺甲斐がないから放置で良いや。
ロボットたちも同士打ちや味方を攻撃するのを避けるために銃器は封印されているらしく、ステゴロで闘っているロボットたちが多い。
チョコミントが作りだしたロボットたちだからそれだけでも充分過ぎるほど強いけど。
麗佳のスキルで強化された私達には雑魚キャラだよね?
おっと危ない。
ロボットに吹き飛ばされた冒険者が飛んで来たのでかわしながら掴み取って喉を掻き切り回転しながら真下に投げ捨てる。
もぅ、私のとこに吹っ飛んで来ないでよね。
あ、また。
吹っ飛んで来た冒険者を回転しながら掴み取る。
勢いそのままに掴んで回転で速度を落として斬り殺したあと反対側に投げ飛ばす。
よし、邪魔が居なくなった。
「見付けた! イルラちゃんッ!!」
「郁乃!?」
驚くイルラちゃんに飛び掛かる。
が、イルラちゃんの近くから飛び出て来る邪魔者一人。
「ま、予想通りよね。来ると思ったわ」
「雲浦さんじゃん。なんでそっちいんの? ウサギ絶対殺すマンじゃなかったの?」
「別にあいつを倒したいからってヘンドリック側に行く必要はないでしょ? 私はこっちでウサギを倒す。かなり実力は付いたつもりだし、後は戦争終わったら仕掛けるつもり」
「そっかー、残念だねぇ。ここで私に殺されるからリベンジまた遠のくね」
「面白い冗談だわ。私も死なないし、イルラさんも殺させない。全く、何をどう間違えたらシリアルキラーに目覚めるのよ。さっさと戻ってきなさい馬鹿郁乃!」
「ごめんね。元々がシリアルキラーだったんだよねー私。イルラちゃんが純潔失ったことで自覚しちゃっただけなんだよ。だから……イルラちゃん、美しく気高く殺してあげる! 転生したらまた仲良くしよう? 純粋で純潔で清らかなイルラちゃんこそ気高く神々しく憧れの人だからっ!」
「ウサギのせいでまたクラスメイトがイカれちゃったじゃない。ホント害悪ねあいつっ!!」
「なんでもかんでもウサギのせいに……イルラちゃん襲ったのあいつだから普通にあいつのせいだった!?」
会話しながら互いに切り結ぶ。
短剣二つで攻撃してるけど一本の剣に普通に防がれてしまう。
強化された私の攻撃に普通に付いて来てる?
雲浦はまだ変身すらしていないし、手に持っているのはあまり使うことの無いロングソードだ。
明らかに手を抜かれてる状態で互角の戦いになっている。
どういうこと?
たった二年の間になんでこんなに実力の差が?
認めたくなくて必死に短剣を打ち込む。
しかし雲浦の守りを崩せない。
このまま変身されれば実力は雲浦の方が有利になるだろう。
イルラちゃんを殺すには雲浦を倒さなければならない。
でも、今の状態だと相打ちは目指せてもイルラちゃんに届かない。
くやしいが、ここは踏み込む場面じゃない。
一旦下がろう。
もう少し混戦になってから再突撃だ。
それまで待っててねイルラちゃん。
こんな女の邪魔がない場所できっちり殺してあげるから。
バックステップで飛んで来た冒険者を避けながら真後ろに蹴り飛ぶ。
「待ちなさいッ」
「再戦希望、イルラちゃん、次こそは気高く殺してあげるからねっ!」
イルラちゃんに宣言し、私は踵を返して走りだす。
もう少し混迷するまでヘンドリックの元に戻っとこう。
今回は悔しかったけどある程度向こうの戦力は見れた。
ここから巻き返しだね。いや、巻き返しも何も向こうは既にほぼ全戦力だして来てるし、私達の勝ちなんじゃないかなぁ?
ウサギ見付けたら率先して殺してあげよっと、イルラちゃんの純潔奪った相手だしね。思いっきり惨殺してやるんだからっ!




