桃瀬、クラスメイト会議を行う5
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 桃瀬さん、今、何をした!?」
鏡音君が目ざとく見つけ指差して来る。
皆普通に気付いてると思ったけど違ったのかな?
「えっと、アイテムボックス、だけど? 皆は確認してないの?」
不思議そうに告げてみると、中井出君や瀬尾君が慌てて確認する。
「本当だ。アイテムボックス、念じるだけで開けるや」
「これは驚いた。道具を入れられる空間が全員使えるのか」
「よくわかったねーももちゃん。もしかしてももちゃんもゲームするの?」
「え? ううん、その……九重さんがゲーム世界ならあるんじゃないかって言われて……」
「ってことは九重もゲーム知識あんのか!?」
あ、しまった。慌てて九重さんにごめんっとジェスチャーするが、九重さんは気にしてないと困った顔のまま小さく告げた。
「MMOとかやってたから。学校登校してなかったから……」
九重さんが告げると、問い詰めようとした相田君が押し黙る。
そもそも九重さんがゲームに夢中になる切っ掛けを作ったのは彼女の名前を弄った人が居たからだ。その一人が、相田君である。
バツの悪そうな顔をして視線を逸らしたので、私は話を再開することにした。
「じゃあ、もう、話して大丈夫?」
「あ、ああ。とりあえずアイテムボックスについては後回しにしよう。高藤さんが言いたいのはアイテムボックスではないのだろう?」
気を取り直し、中井出君が許可を出す。
皆が再び私に注目するのが分かった。
あまり注目浴びたりとかはしたくないんだけどなぁ、恥ずかしいから。
「えっとね。私のアイテムボックスに、神様っていう人から手紙が入ってたの」
「神?」
「いやいやナイナイ」
「そうとも言い切れないよ真壁君。僕らは異世界に転移したんだ。小説や漫画だとその過程で神様に選ばれた勇者候補がちょっとだけ他のメンバーよりチートになってることがあるんだよ」
それは知らなかった。
では神様からの手紙が自分のアイテムボックスだけ入っていたとなるとちょっとマズいかも?
流石にそれで勇者とか言って祭り上げられるのは嫌だなぁ。私は早く磁石寺君に会いたいからそういうのにされると自由行動が出来なくなっちゃう。仕方ない。言うつもりなかったけど目的を話しておこう。
「えーっと、そのね、実は、磁石寺君がこの世界に転生してるらしくって、神様が告白されて気落ちしてた私に気を聞かせて教えてくれたみたいなの」
仕方なく端折りながらも事実を告げる。
磁石寺君の事を知っているだけに皆思わず押し黙ってしまった。
「なるほど、つまり、君に対して神は同情していると、そんなところか?」
「えーっと、そういうのはちょっと私にはわからないかな? そ、それよりね中井出君。この手紙に重要な事が書いてあったの」
「ふむ……聞こう」
もう少しいろいろ問い詰めたい。そんな顔をしていたが、私があまり聞かれたくないと思っていたのに気付いたのか、先を促すことにしたようだ。
「この世界に付いてなんだけどいろいろと書いてあったんだよ。法則性とか、スキルの覚え方とか」
この世界の名はヘリザレクシア。神様を名乗るおじいちゃんっぽい口調の誰かが管理してる世界で、世界の法則は日本のゲーム世界を参考にして魔物が蔓延る中世位の街並みを作っている。
中世といっても人々の暮らす雰囲気が、ということであり、服装などは中世だけど、個人宅に風呂があったり、水洗トイレがあったりとところどころ不自然な点が点在している。武器も銃器は火縄銃が一部地域で出回ってるくらいらしい。
剣とか槍を使っている国々が点在しており、それを結ぶ道の途中には魔物達が跳梁跋扈しているため商人たちが国から国へ移動するのに冒険者ギルドから派遣された冒険者達を雇うことになるそうだ。
定期馬車などは定期で冒険者を雇ったりもしているらしく馬車専用の冒険者などもいるらしい。
そんな国々の中でもロスタリス王国は比較的安定した安全な国らしい。冒険を始めるには最適の国で、出現する魔物も雑魚魔物が多い。神様曰く、最初はレベル上げの為に冒険者や騎士を雇うのがいいということだった。最低でも10レベル程あればフィールドを歩くのに問題は無くなるらしい。
気を付けるべきはゴブリンやオーク。女性には種族構わず襲いかかり、孕み袋にしてしまうらしいので絶対に掴まらないように、とのことである。夜霧さんの忠告は本当だったようだ。
また、個人で闘うつもりであるのなら、にっちゃうと呼ばれる魔物を相手にレベルが3になるまで闘い、ホーンラビットやリーフリスなどを相手にレベルを上げて行けと書かれていた。
「なるほど。この周辺には比較的雑魚の魔物しか出現しないのか」
「うん。それでね、森にはどの森にも原種と呼ばれる大きな木があって、それを破壊すると森が消えるらしいの。森を無くした魔物達が一斉に近くの村に襲いかかったりするからモンスターパレードを起こしたくなければ絶対に原種だけは手を出すなって」
「なるほど」
「あ、そうなると原種って守ってるボスキャラとかいたりするのかな? 魔物達も森を無くさないように守るんじゃない?」
「さすがだね瀬尾君。うん、なんでも森の大きさに比例した強力な森の主が居るらしいよ。森を守っているんだって」
「レベルさえ上がれば経験値稼ぎには良さそうだけど、出来るだけ出会わないようにしないとね。他には?」
他に? えーっと何かあったかな?




