うさぎさん、分担作業
「さて、皆さんごきげんよう、であります」
ラビット・ネスト中庭にて、俺たちは分担作業説明のための会議を開いていた。
皆を集めて。知り合いの守護者には念話繋いで。海の守護者さんにもご参加頂いている。
今回集まって貰ったのは森の生き字引バァバによるお言葉で、俺とアーボが宇宙へ行きます。
んで、ボルバーノスさんはピスカと協力して海の守護者を味方に付けてくれ。
―― あっるぇ、僕の行動範囲広くない? ――
ピスカ、ボルバーノスさんを強制同行よろしく。
「はい、なるはやで弾丸旅行していただくであります。簡単に告げるならマッハ8くらいで」
―― 普通に死ぬからね!? 空気の壁があるの考えてッ!? ――
それからゲスターは他のメンバー引き連れてミミック狩り。
悪いけどアウレリス。お前んとこのアボガード全員ミミック狩りに同行させてやってくれ。
―― ちょっと、いいけど私の森の守りどーすんの!? ――
―― 我が眷族を貸しておいてやる。森が近くだからすぐだ。明日には交代できるだろう ――
おっけ、んじゃーチョコミント、城をアウレリスの森に向けてくれ。
ユーリンデ、悪いがリアの面倒頼む。同じ妻だし、喧嘩のないように。
「まぁ、こんな可愛い子に悪役令嬢のようなことはいたしませんわ。全く私をなんだと思ってるんですか。襲いますよ」
バッチコイっす。
「ユーリンデさん、啓太君にご褒美あげてどーすんの。それで、私達は今までどおりミミック退治でいいのね?」
ああ。全体的なレベルの底上げを頼む。というか、全員一人で魔王倒せる位になっといてくれ。そうすれば俺が楽できるから。
「ムチャ振り過ぎだなオイ!?」
そういうなよ真壁。イチャつくのは許容するからその合間にレベルあげさくっとやってくれ。即死草大量にくれてやるから。
「い、イチャつくって、むぅ……」
「ん。ミミックパレスの時、これがあれば……」
沈黙した真壁ととばっちりで赤くなる楓夏。おそらくだが、一線越えたなこいつ等。
かわりに取り出された即死草を自分のアイテムボックスに放り込んで行く天音。
その天音は持っていたアーボを解放して俺の元へと押し出す。
オイコラアーボ。なんで白いハンカチを天音に振ってさようならー。みたいな雰囲気だしながら嫌そうに俺の元に来たんだ? ネタか? それとも煽ってんのか? 買うぞ喧嘩なら?
「でも、いいのかしら? 私達ミミック狩りし続けてたら本当に魔王単騎撃破できちゃうんじゃ?」
「いいんじゃねーか。せっかくだしそうなったら磁石寺ぶっ倒して上から目線で見降ろしてやろうぜ」
オイコラ真壁、なんでそう言いながらカルセットの背中叩いて同意を得ようとしてんだよ!?
しかし、宇宙なぁ、アーボは呼吸可能なのか?
尋ねてみれば、アーボは小首を傾げる。
うん、これは一度確かめた方が良さそうだな。
アーボ、一回空上がるぞ。
中庭から唯一兎で跳躍。
このウサギ、宇宙に瞬間転移できちゃうのが凄いよな。
一度宇宙に脱出。
アーボは……あー、呼吸できてないっぽい。いや、違う、こいつ、呼吸出来ないフリしてんじゃねーよ!?
アボガードは宇宙行動も可能なんだな? よし、なら問題無しだ。
俺は宇宙系ウサギに成れば呼吸は問題にならないし。出来ればピスカ連れて行きたいんだが、ここはアーボと二人だけでなんとかするか。女性が恋しいぜ。
ラビットネストに戻り、自分たちは宇宙に出ても問題無い事を皆に伝えておく。
さて、あと決めとかないといけないのは……
「ああ、そうだわ。せっかくだから今のうちに。ヘンドリック陣営に向かった福田君からいくつか報告」
ん? なんであいつが報告してくんの? え? もしかしてスパイ?
「ええ。私がお願いして寝返って貰ったわ。本人も向こうに付くというより彼女が欲しいからウサギに取られない向こうに行っただけだもの。向こうで彼女が出来たから今は中立。私とウサギの御蔭だから情報だけは流して貰っているわ」
……え? マジか、あのまま彼女出来たの? やったな福田。
「ただ、まぁ……事案だったけれど。まぁそれはどうでもいいわ。要注意人物が大体出そろったわ。守護者についてはまだわからないけど、魔王並に強力な手合いが数体居るらしいわね。あとは転生した魔王と坂上君。S級冒険者のストナ、ナイス・ガイ、パオ、マージェス、べルクレア、マックスと娘のリピラ。それから木下さん、ライゼンさん、天竺さん、ジョージ、上田君。それから、なたでここというマッドサイエンティストと彼が作った最終人型兵器QSK181。通称クスカ」
おいおい、ピスカさんや。ライバル登場ですって。
「これは、負けられない闘い、でありますね。ちょっと異世界行って魔神狩ってくるであります」
レベリングの規模がヤベェ!?
―― 異世界移動できんじゃろ ――
そして誰もツッコミ入れなかったから神様からのツッコミ入った!?




