うさぎさん、ラビットフォレスト4
超上空より飛来物一つ。
音速の壁を突き破りながら炎に包まれ、一匹のウサギさんが両足揃えてメテオストライク。
ぴくっと音を聞いたジャイアントラビットが真上を見上げたその刹那。
ジャイアントラビットの眉間を貫く音速越えのドロップキック。
きっと落下する兎など見ることすらできなかっただろう。
何かが近づいて来た。それに気づけたが顔を向けた時にはもう、遅かった。
いうなれば……お前はもう、死んでいる。
ズシャアッと着地上手とテクニシャンで地面を滑走しながら着陸。
多少HPが削れたが、ジャイアントラビット撃破に比べりゃ充分な成果だ。
遅れ、命を失ったジャイアントラビットが倒れる。
「ば、ばかな!? ばかなぁ!?」
アイテム入手ダイアログがあんな高所にでてやがる。
誰が操作できるんだアレ?
一分放置しとけば自然と手に入るから放置だな。
「ジャイアントラビットが、死んだ? 一撃で?」
ふっ! ジャイアントキリング持ちの俺に巨大兎程度ぶつけたって負けやしねぇぜ?
「くそ、ただのシロウサギではなかったのか!? 貴様、一体何者だ! って!? 本気で何者ーっ!?」
うさうさ総統が振り向いた先に居たのは、額に宝石が嵌った黄色い毛並みのウサギさん。
そう、そこに居たのはカーバンクルのうさしゃんだった。
シロウサギじゃ、ないんだぜ?
「くぅ、貴様、一体我が国に何をしに来た!?」
え? そりゃ、兎だらけの森があるからちょっと見に来ただけ?
友好的だったら戦争参加お願いしようかと思ったんだけど攻撃して来るなら潰しちゃっても問題ないよね? 的な?
「バケモノめ……」
同じ兎種にバケモノ呼ばわりされたッ!? なにこのショック? 予想以上に心に響いたんですが!?
「ええい、全軍、あの化け物を殺せぇ!」
あー、そう来ちゃうか。
友好的にはいかねぇなぁ、兄弟。
本日は、ちょっとストレス発散させてもらうぜ。
今必殺の! ジュエル・ビィィィィム! なぁんてなぁ。
「な、な、なあぁぁぁぁ」
あ、やっべ、射線上にうさうさ総統普通にいたわ。
こりゃ頭が初っ端におっちんだな。
光が消え去る。
あー、やっぱり、守護者やっちまった。
「か、閣下ぁ――――っ!」
あー、その、すまん。
「ど、どうすれば、我々はどうすればいいのだ!?」
俺は戸惑う大佐の元へと近寄り、ぽんっと肩を叩く。
はっと気付いたうさぴょん大佐がこちらにゆっくりと振り向いた。
「あ、ああ、あぁぁ……」
今日から君が、うさうさ総統だ。やったね!
「な、待っ……」
皆がソレを望んだのだろうか? うさぴょん大佐が光に包まれる。
そして、新たなうさうさ総統が産まれた。
うむ。これでよし。
「なんと……私が、次の総統?」
名前考えとけよー。んで、いろいろと聞きたいんだけど、念話は可能?
総統、どの程度まで会話出来るのか分からんからなぁ。
「くっ。よかろう、貴様と和解を申し込む」
話が通じるようで結構。
「うーさーしゃーんっ」
んお?
リアとピスカ?
しかも後ろにはアボガーどもがうさぎたちと一緒に仲よさそうに歩いて来やがる。
……なんでさ?
「これは、勝ち目もなくなったか……」
まー、つーわけで話し合いしましょうか?
「それで頼む」
疲れ果てたような新生うさうさ総統が項垂れる。
いままで大佐でしかなかった彼が総統になったのだ。これから大変だろう。
ま、がんばれや。
それからしばらく、この森の歴史についてうさうさ総統が語りだした。
なんでも初代うさうさ総統が守護者となって森を作ったあと、兎達を集めて兎だけの楽園をつくりだしたそうだ。
最初こそ無数の森から侵略を受けはしたものの、突撃兎がアポトーシスウサギや爆裂兎たちが決死の突撃で強敵を撃破し、長い年月の闘争ののち、ようやく今の楽園を作り上げたそうだ。
先程まで居たうさうさ総統は12代目らしく、ちょっと閉鎖的にこじらせ過ぎて兎であっても新しい入居者を拒絶しまくっていたらしい。
一応戦争参加を頼んでみたんだが、さすがに兵力も減ったから無理だって言われた。
これから立て直しのために兎の転居解禁するらしい。
外に居る兎達も国の中に入ることができるとか。どうでもいいなそれ。
あ。でも、なぜかアボガーどもと闘ってた格闘系ウサギ共は一緒に参加してくれるらしい。俺らに付いて来るんだと。アボガーたちがそれぞれ兎達を連れて移動し始めた。
うん、まぁ、俺に迷惑掛からないならいっか。戦力的に増えたかどうかは疑問だけど、とりあえずミミック系のレベリングに参加させてみるか。
うーん。思ったようなメンバー強化ができなかったな。まぁウサギ天国があるって分かっただけいいか。
平和になったら皆連れて来るのもいいかもな。




