うさぎさん、ラビットフォレスト3
仮にラビットキングダムとでも名付けるとして、土製の家が無数に建ち並ぶ街並みには、ウサギが大量に存在していた。
本当にここに国を作って住んでいるようなのだが、どうもウサギたちは国民と呼べる知能がないようだ。
そこらへんで草食んで、糞を転がして、食糞してる野生生物である。
うわっ、あそこのウサギどう見ても病気じゃん。耳垢すごっ。
これ、一度感染したら国全滅する奴じゃね? 大丈夫かこの国?
さすがにウサギしか居ないので商品を売ってたり、販売が行われてたりなんてことはなく、皆家の中に出たり入ったり、揃って草を食べてたりくらいしかしていない。
これ、国作る意味なくね?
いや、外敵に襲われないってだけでもいいのか?
たまにアーミーラビットが銃持って歩いてるけど、二足歩行してたと思ったら疲れたように四足に戻し、普通に草喰ってたから所詮軍隊っていってもウサギなんだなぁと納得させられた。
こんな雑魚い国、外敵からの襲撃とか大丈夫なんだろうか?
守護者次第になんのかな?
えーっと、あれか?
砂で作られた城と思しきモノを見付けたので向かってみる。
城といっても子供が砂場で作るような大きさの城なのでウサギ数匹入ればもう一杯一杯の大きさだ。
正直そんなもん城などと呼べない。土で作ったほら穴だ。
「来たな侵略者め!」
おお!? 俺の事を気付いていたらしい。城から出て来たマントと軍服来たウサギが仁王立ちで俺を睨む。
その周辺ではうさぴょん大佐やコマンダーラビット、その配下のアーミーラビットや突撃兎、弾丸兎などが布陣されていた。
あれが、この森の守護者か?
とりあえず戦わないと話も出来そうにないな。
こういう場合は、相手に恐怖を与える存在が……恐怖恐怖……白い悪魔?
「我こそはこの国の支配者! うさうさ総統である!」
「「「ハイルうさうさー」」」
えぇー。
なんか軍隊に属するウサギ共が普通に喋ったんだけど。
これ、多分うさうさ総統のスキルだよな。部下にハイルうさうさーって言わせる強制スキル。
うん、意味ねー。
ビームなサーベルに赤い盾。進化先の種族は白兵戦兎。白きウサギさんはブィンっとサーベル振って盾を構える。
ふっふっふ。僕が一番白兵戦兎を扱えるんだっ。
うさしゃん、いっきまーす!
「こしゃくな! かかれぇ!!」
弾丸兎たちが突撃して来る。
接敵の瞬間転移で彼らの後ろに。
弾丸兎って前進しかできないんだよ。なので背後に行っちまえばもう攻撃されることが無いんだな。
と、いうわけで、一匹の腰を掴んで反転させてやる。
近くの奴も追い付いていちいち反転。
反転された弾丸兎たちは味方である軍に向かって特攻して行く。
うん、前進しか出来ない兎を強制的に転進させてやれば同士打ち確定っと。
鉄砲玉たちが銃身へと戻り、弾丸兎と突撃兎が同士打ちを開始する。
「お、おのれ貴様ァッ!!」
しかし、うさうさ総統も喋れるのか。
あっちも制約はありそうだな。
「射撃、始め!」
コマンダーラビットの号令。あいつも喋れるのか!
アーミーラビットたちが俺に向かって銃撃を放つ。
どうでもいいけどあの銃ってどっから手に入れたんだろう?
盾で受け止めつつ前進。
ついでだ。ロンギヌスを受け取りやがれ!
一点突破のロンギヌスを銃撃の合間に投げてやる。
すると、避けることすら出来なかったアーミーラビット数体とコマンダーラビットが瞬殺された。
「ひ、ひるむな! 仇を討てぇ!!」
うわーお、指揮官やっちまったよ。
うさぴょん大佐が慌てて号令をだすが、アーミーラビットはこちらに怯えを見せている。
ふっはっは、白い悪魔(笑)が来るぞー。
「ええい、逃げるなッ! 総統閣下が見ているのだぞーッ!!」
あれって死にそうになったり部隊壊滅しかけたら言う台詞なのかね?
ところで総統さん、俺らってなんで闘ってんの?
「お前が侵略者だからだろぉが! 我が国に我が加護以外の加護持ちはいらぬ!」
ああ、ドルアグスさんの加護か。
こればっかりは無理だな。
でも話し合いくらいはできるんじゃ?
「ええい、我が守護神よ、奴を倒せぇい!」
ドグァっと城壁粉砕して現れる巨大な生物。
うん、ビッグラビットさんだ。
いや、大きさ的にジャイアントラビットだな。
民家よりも大きいし。
でも山みたいな大きさじゃないからマウンテンラビットではない。
やっぱりジャイアントラビットだな。
「貴様に奴が倒せるか!」
はぁ。いいだろう。お前に巨人殺しのメテオストライクを教えてやるぜ。
まずは、ヴォルパーティンガーで上空へと飛翔!
からのぉ……進化、高速落下!
大気圏並の高所から超高速落下、ついでに両足使ったドロップキック。
すなわち、メテオストライ――――クッ!!




