桃瀬、運命の選択21
「さぁ。断罪を始めましょうか?」
私の声が謁見の間に響き渡る。
なぜか促されてしまったので玉座に座ってるんだけど、なんかこれ、私が悪の女王陛下みたいになってない?
天音さんと美与さんに促されるままに威厳をもって座ってるんだけど、冷酷そうな声音で告げたら皆震え上がってるんだけど、これ、本当に遊びだよね?
いえ、一応本気で怒ってはいるんだよ? いるんだけど、王様ロールプレイで行こうとかノリノリでやらされてるんだよね。いいのかな?
片胡坐で頬杖ついて眼窩の愚か者どもを見据える。
そこには土下座状態で震えるウサギが一匹、そして老人、幼女な妖女、クラスメイトでパーティーだけどやらかしてしまった中二病患者、ユーリンデさんまで巻き込んでるし。
「宰相、罪状を」
ノリノリで宰相役をやるのは美与さん。天音さんは私の傍で佇むだけの役らしい。
「善良な一般市民より通報があり我々が駆け付けたところ。チョコミント氏の部屋にて二階堂ロア被告が改造手術を受けていることが判明しました。ゆえにその場にいたものすべてをボルバーノスの糸により捕獲。こちらにひっ捕らえた愚か者どもをしょっ引いてまいりました」
どういう報告なんだろう。大岡裁きでも求められてるんだろうか?
「まず、啓太く……」
あ、はいはい、ロールプレイね。美与さんの視線を感じたので言い直す。
「ウサギよ、お前に聞こう。何をやらかした?」
―― やらかしたっていうか、やらかしてる場面見つけたから何してんだと近寄ったら捕まった。俺はただの野次馬っす ――
啓太君……なにやってんの。
「ユーリンデよ、そなたに聞こう」
「わ、私は助手でしたのでただ言われるままに、ご本人も了承してましたので問題ないのかと」
この世界の人だしね、改造手術とか言われてもよくわかんないよね? うん、でも一緒に悪乗りしたのはギルティーだ。
「では被害者にして被疑者、ロアよ、貴様の言い訳を聞こう」
「ちょ、我への風当たりひどくない? まー。そのー、だな。ウサギの怪人姿みたらなんか甲冑カッコいいなって思ったから怪人になることにした。以上」
大罪人だった。なんでそこで改造手術受けちゃおうってなっちゃうの!?
「で? その改造した犯罪人どもの言い訳は?」
「ない。満足である」
「久々の改造じゃったからハッスルしちまったぞい」
「……よしわかった。全員ギルティー」
―― なんで俺までっ!? ――
あ、まとめちゃった、ごめん。
まぁ、啓太君だし問題はないか。
「し、しかしだな。我が求めたわけで、改造されるのも自己責任ではないか!」
そうだろ? とロアが告げてくる。
まぁ、そうなんだけど、ついでに言えばすでに事後だからどうしようもないんだけども。
はぁ、なんで改造手術受けちゃうの。
「一応聞くけど、後悔しない?」
「もう遅いとは思うが、後悔はしとらん、それより変身後の姿を見たいんだが?」
ああ、まだ見てないのか? なのに後悔してないって、なんかフラグ立った気がするんだけど気のせいかな?
「よかろう、ならば、今、ここで変身するがいい」
んー、なんかこの話し方結構気に入ってきた気がする。
私もコスプレしてみようかな。というか、アイテムボックス内にブラックメタリックな全身鎧あったからそれ付けてみるかな。防御力も結構あったから普段使いもできるし。
「おーし、座して見よ! 音に聞け! 我が至高の御姿を!!」
立ち上がったロアが天に片手を掲げて不敵にほほ笑む。
「変・身!!」
……
…………
……………………?
何も、起きない?
「言ったはずじゃぞ、flexionじゃと」
「お、おお、すまん。flexionッ!!」
ちょっと締まらない変身だったけど、ロアの体が光り輝く。
おおぉー、ちゃんと変身はできちゃうんだ。
さすがに腕は確かみたい。
ただ、やっぱりフラグが立っていた。
変身したロアの姿はなんというか……サキュバスかな?
「な、な、なんだこれはーっ!?」
―― おお、ナイチチサキュバス! 破壊力やべぇ!? ――
「装甲をといわれたのでな、素材としてあったヒヒイロバットの素材をメインにしてみたぞい」
「私からは妖艶でカッコいいといわれたのでハイペリオンマグニロードの素材使ってみた」
「な、なんでこんな格好にっ!? 甲冑は? 甲殻は? サソリみたいなカッコいい外装甲はっ!?」
あーあぁ。ちゃんと確認とかしてないから。
防御力は凄いみたいだけどほぼ全裸じゃない。全身鎧みたいなもの、とだけじゃ彼らには伝わらなかったようだ。硬ければよいのだろう? と体表のほう硬くしちゃったっぽい。
啓太君が言ってたじゃない。そいつら科学者じゃなくて、マッドサイエンティストだって。
予想通りに予想外の改造結果になっちゃったようだ。だからやめとけって言ったのに……
「なんでこうなるんじゃーっ!!」
愚かな少女の慟哭が、城中に響き渡るのだった……




