沙希、運命の選択16
女子会は結局うやむやのうちに解散になった。
いつの間にかいなくなったロア。西瓜は稲葉と葉桐と共に食堂に向かい、ルルジョバは何処へともなく去って行った。彼女は面白いことを探して城内を彷徨うつもりだろう。
楽しむことが生きがいなのでそこいら中で面白そうな事を探しているようだ。
皆、進むべき道を決め始めてる。
ウサギと共に歩むか、ウサギを殺しに向かうか。
私は……
そもそもな話、やっぱり原因と言えば私になるのだろう。
私が磁石寺を殺しさえしなければ、彼は異世界にウサギとして転生することは無かった。
その場合、おそらく桃瀬と二人で冒険を行い、それなりの闘いを……いや、むしろ、魔王相手に死んでたんじゃないかな?
すると結局転生することになって、その場合桃瀬さんたちも転生して、あれ? なんかいろんな意味で今より悪くなってるような?
あれ? それじゃ、私むしろナイスアシスト? 磁石寺殺した事むしろプラスに働いたんじゃ?
ふと、視線を下に向けると、ウサギがまだその場に突っ立っていた。
視線に気づいてつぶらな赤い眼をこちらに向ける。
―― なんだよ? ――
「そっちがなによ? なんでまだいんのよ?」
―― 別にいいだろーが。何処行こうか考えてたんだよっ ――
「……ねぇ、ウサギ」
―― ん? ――
「よくよく考えてみたんだけどさ。あんたが私に殺されなかったら、異世界召喚時、私達と一緒になってたわけじゃない、そうなってたとして、今の状況からどれだけかけ離れてたと思う?」
―― そうだなー。そもそも桃瀬があんな強くなったのって俺に会うため冒険したからだろ? じゃーそこまでじゃなく物見遊山で行ってただろうから、レベル的にはそこまで強くなかっただろうな。それに、俺とピスカが王城に向かうことは無かったから鏡音死ななかっただろうし、相田を二回ほど俺殺したからなー。その辺も無しになってるだろ? ピスカもまだ地下にいるだけだったろうし、ドルアグスの旦那とも会ってたかどうか。そうなると……魔王戦、死んでたな確実に ――
「やっぱりそこで詰むわよね? つまり、私がアンタ殺したことって長期的に見れば良かったんじゃないかしら?」
―― そうだな、俺死んだ方が結果的に……って言うと思ったか!? ざけんなコラ! 死んだ事実は覆らねぇんだよっ!! ――
「あら、でも死ななかったら桃瀬さん諸共死んでたんじゃない?」
―― そりゃま、そうなんだけどな? ――
そうなのよ。ウサギに謝って許して貰ったとしても、私自身は納得できてなかった。
でも、でもね。結果的に皆を救えたこの未来に持ってこれたのが私の行動によるものだって思ったら。なんか、すっと身体が軽くなった気がした。
「よかった。なんか、私の罪が清算された気がするわ」
―― 自己完結するために確認したんかーいっ!? はぁ、まぁいいけどよ。俺はそろそろ行くぞ? ――
「ええ、あ、一応言っておくけど私もこっち側に居るわ。あんたの女にはならないけど」
―― そうかい。まぁお前が抱いて。とか言い出したら絶対裏あるだろって警戒するけどな。襲うけど ――
「襲うのは確定なんだ」
―― 据え膳食わぬは男の恥ってな ――
「あんた、ほんと短い人生駆け抜ける気まんまんよね。また最後は刺し殺されるんじゃない?」
ウサギははっはっは御冗談を、と適当に告げながら去って行く。
さて、一人になっちゃったか。
何処に行こうかしら?
そうね、そろそろ、私としてもあいつに一刺しくらい行っとこうかしらね。
今度は間違えないために、実力高めて、確実に殺す。その為に……確かアーボとか言うのがあいつとシュミレーションで闘ってるって聞いたし、ちょっと参加して来るか。
どこでやってるのかしら?
一応何処でも出来るらしいけど……
―― なんじゃ、主も参加するのか。じゃったらエントランスでやっとるぞ? ――
……なに、今の声?
い、いや、多分念話とかでしょうし、ウサギ関連でしょ。
いちいち驚いてたら心臓が足りないからそういうもんだと思っときましょうか。
エントランスね、入口まで行かなきゃいけないのか。
まぁ、暇だからいいんだけど、歩くの面倒よね。
城内をゆっくりと歩く。
この城には無数のロボが闊歩しており、掃除していたり照明の取り換えしていたりとせわしなく動いている。
ちなみに、照明や必要なねじなどの道具、そしてロボに至るまで、全自動でロボたちが作ってるらしい。
その御蔭で備品の不足がなく、盛大に崩壊することもなく、今までどおりの城が維持されているのである。
ふふ、なんか、こういう城にずっと住めるのっていいわよね。
永住しちゃおうかしら?




