葉桐、運命の選択14
女子会開いてたらエロウサギが乱入して来たんだけどどうしよう?
とりあえず問答無用で襲われるってことはないみたい。
代わりに城から降りるつもりなら降りたい街に降ろしてくれるそうだ。
残念なのは、そういった街について予備知識がないので何処に降りればいいのか全くわからないことだろう。
下手な場所に降りて後悔するよりは、このまま城に残った方がスローライフ的にも充実してるんだよね。
ウサギに襲われる確率があるってことだけが懸念材料だけど。
それにしても、徐々にだけどこの城に残ってるメンバーが減ってる。
モテない同盟もいつの間にかいないし、セレスティ―アさんも無言で消えた。
イルラさんの情事を見てしまったらしくここに居られないと去って行った天竺さんもいる。
私も、そろそろ考えないといけないだろうか?
ウサギの女になるか、城を出るか、ヘンドリック君のとこにいくか。
正直な話、私自身は中井出カッコイイなとか思ってたのよ。でもあいつあろうことか瀬尾君と良い仲になっちゃったし、なんていうかこう、男に負けたっていう何処へ向えばいいか分からない感情が未だに持て余してんだけど、これ何処持ってけば処理してくれんのかな? やっぱウサギ?
はぁ、さっき河井さんが言ってたけど、ここでウサギに直結しだす時点で私達の思考回路がウサギに毒されてるって確かに思うわ。
ウサギ、周辺の女性に対して毒電波出してたりしない?
―― だから、しないっつーの。俺のスキルでヤバそうなのはエロウサギうさしゃんのスキルだけど、アレって七大罪種族の固有スキルになるからその種族にならないと使えないんだよ。しかもアレ、誰彼かまわずだからちょーやべぇの。もう使う気はねーよ ――
と、言うことらしい。つまりスキルは使ってないそうだ。
それにしては皆ウサギと寝るかどうかを前提に考えてる時があるのがなんとも、カルセット君までその思考だったりするもんね。ウサギの浸食率が半端無くて怖い。
さて、そんな危険な城から脱出するのは多分今回が最高のチャンスと言えるだろう。
何しろそのウサギ自らが脱走していいよ? と言っているのだ。
「でも、一度降りたら戻れないんでしょ?」
「まぁ、連絡取りようも無いから戻ってはこれないでしょ」
―― 念話使ってくれりゃ届くけど? ――
「あんたみたいなチート存在と一緒にするな」
―― ひでぇ!? 俺チートじゃねーし、廃課金者プレイとかしてねーんだよ!? ――
存在からしてチートでしょ。
―― まぁいいや。それよりお前ら、俺かヘンドリックかと考える前にチョコミント共が呼んでたぜ。なんかお前らに話があるんだと ――
チョコミントさんが?
ウサギに案内されてチョコミントさんの待つ最下層へ。
皆何の話かすら聞かされていないので戸惑いしかなかったが、部屋に入るとチョコミントさんが待ちくたびれた顔でようやっと来おったか。と言って来た。
どうもウサギは偶然呼ばれた訳ではなく私達を監視しているチョコミントたちに呼んでくるように告げられたそうだ。
ってかこの城監視されてるんだったね。いまさらながら思い出したよ。まぁ。その辺りは既に聞いてたことだから、別にいいんだけども、せめて何の話かくらい告げといてよ!
「なんじゃ、なーんも聞いとらんかったんか。まぁいい。呼んだのはお前さん等の身の振り方についてじゃ。こちらからもいくつか案出しとこうかと思っての」
「どういうこと?」
「ほれ、ウサギに協力して戦争するにしても、その状態では足手まといになったりするじゃろ。そこで、じゃ。儂らの技術を使えばなんと! 怪人として超強力な実力を一瞬で手にいれられるのじゃ!」
あー。これ人体改造したいだけじゃん。なんか趣味か何かでやりたくて堪らなくなったんだな。
私達を巻き込むなってのよ。
ルルジョバ、楽しそうだからアナタやってみたら? とか私に促すな。冗談じゃないわよ。
「か、怪人、か……」
あぁ、ロアが喰い付きそうだ。
「落ち付けロアさん。口車に乗って絶望味わう必要は無いわ」
「ぬぅ? し、しかし、怪人だぞ!? なんかこう、変身しちゃうんだぞ?」
「そのために親から貰った大切な体を切り刻むんだけど、本当にいいの?」
「そ、それはさすがにちょっと」
興味本位で手を出すべきじゃないわ。
「まぁ、それはついででの、おまいさんら良い怪人素材って知らんかの?」
よくわからないけど、怪人作るにあたって中心素材になるものが足らないそうだ。
そんな事言われても素材くらいしかないけど?
え? ウサギ怪人作る? ボーパルバニーの素材?
他人の身体切り刻んで何作ろうとしてんのよ!?
完全にウサギの女にされる奴じゃない。却下! 却下よ却下!
なんで結局ウサギにならなきゃいけないのよ!




