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稲葉、運命の選択12

「さて、んじゃ私達の会議を始めましょうか」


 私は今の所ウサギに襲われていないメンバーを集って会議を開いていた。

 ウサギに襲われた人物を一度排して、まっさらな状態で話をしておこうと思ったのだ。

 共に会議室にやってきたのは、戸塚葉桐、九重西瓜、二階堂ロア、ルルジョバ、中浦沙希と私の六人。

 他のメンバーには御遠慮頂いた。


「しかしなぁ、ウサギの女になるか、ヘンドリックと一緒にウサギと敵対して、負けたら襲われるかだろ?」


「あら、別にこっちに居てもウサギに襲われる必要は無いらしいわよロアさん」


「そ、そうかもしれんがな九重」


「まぁ、四六時中ウサギが可愛いとか周囲から聞かされるとねぇ、ちょっとアリなのかな? って思いそうになるのよね」


「それはそうと、まだ襲われてないメンバーよね? なぜ兎月さん呼ばなかったの?」


「あの子はもう決まってるみたいだからね。こっちでウサギを倒すとかよくわからないこと言ってるし、どうせその内ウサギに襲われるわ。それに、私あの娘あまり好きじゃないの」


「うっわ、河井がぶっちゃけた!?」


「オウ、なんでまた嫌いなのデース?」


「だって、頭おかしいじゃない。正義正義って。正直正義なら二股した坂上ぶっ倒すくらいしなさいよ。って思ったんだけど、結局あの娘って弱者の味方とかじゃないのよ。自分の求める正義のためだけに行動するから手に負えないのよ」


「あー、自分の意見押し付けて来てお前は正しくないとか決めつけちゃうタイプね。私もそういうの嫌いだわ」


「九重は人間自体が嫌いなのでは?」


「私桃瀬さんは好きよ? 恋した男に一途でがんばりやだもの。まぁ、男の方が碌でもないけど」


「それについては私が謝ることになるんだけど。結果的にくっつく前に殺して転生させた原因だし」


「でも中浦さんは既に許して貰ったんだからいつまでもソレで落ち込むのは駄目だと思うわ。私達だって二股された被害者なんだし」


「それは……でも、よくよく考えるとウサギは二股以上の事してるのよね。それを思うと坂上君ってそこまで悪かったのかなって……」


 多分、本人にその気は無かった。

 でもその一言が私の琴線に触れた。

 カチンときた私の声は、多分底冷えするほど冷たくなっていただろう。


「悪いわよ」


「河井……さん?」


「あいつは笑顔で私だけだよ。愛してるよって。言うだけで影であんたと付き合ってたじゃない。そんな裏切り行為、悪くないわけがないでしょ」


「それを言えばウサギなんて極悪だな」


「いえ、ウサギの場合は自分から告げてるし、周囲もそういう存在だってわかってるじゃない。だから磁石寺君に惚れるかどうかは自己責任だし、他にも女性が居るのを知ってて抱かれにいくんだからそれはもう悪い悪くない以前の問題よ」


「まぁ、確かにウサギはエロウサギと知られてるからあいつの女になるなら他にも女性いるってことを了承して付き合うってことになるのよね」


「隠されてるから悪なのよ。最初に俺は浮気しまくるけどそれでよければ付き合うぞ? って言ってくれれば私は付きあったりしなかったし、それで中浦さんがあいつと付き合ってても私は気にしなかったのよ」


「私が気にしますっ。なんで浮気者相手に付き合わないといけないんですか!」


「オー、ではお二人はウサギの女にはならないってことデースか?」


 私達がヒートアップしそうになったところに冷や水浴びせるようなタイミングで声を掛けて来たのはルルジョバ。

 

「そうね。そりゃあんなエロ動物に抱かれるのは……」


 そうよね。あんなウサギに……

 でも、坂上という失敗例を知ってるせいか、どうにも磁石寺を嫌いになれないのよね。

 いや、私達のせいで転生させてしまったという負い目もあるんだけど。


 だからといってハーレムに入るべきかと言われると違うと……というか、そもそもウサギに抱かれるかどうかを真剣に吟味している今の状況だいぶおかしくない?

 あれ? そもそも普通に男性と付き合うのを考えればいいのになぜウサギとくっつくかどうかを考えてるんだ私達?


「ちょ。ちょっと怖くなってきたから皆にも考えてほしいんだけど……」


「ん?」


「そもそも人間な私達がなんでウサギの彼女に成るかどうかで真剣に悩んでるのかしら?」


「……正論デース!?」


「そ、そうだよな!? 我らがなぜウサギを選ばねばならんのだ!? 求めるべきはいい男であり人間でよいではないか!? なぁ!?」


「そ、そうよね? そうだよね? なんで真剣にウサギとのデートとか考えてたんだろ!?」


 考えてたのか九重!?


「い、いや、別に、デートとかするのは背丈が違うしどうやるんだろ、とか一緒に歩くときはやっぱり頭の上に乗せるのがいいのかなとか、ウサギとってことは桃瀬さんとある意味姉妹にとか、あ、あれ? 私だけ?」


「そもそもウサギとデートを考えてる時点で抱かれる気満々なのでは?」


「ロアに言われたくなかった!?」


「ちょ、なんでじゃーっ!?」


 駄目だこいつら。

 でも、私達もだいぶ毒されてたってことは理解出来た。

 このままここに居るとウサギとそのうち付き合いかねないかも……

 うーん。さすがにそれは……でもヘンドリック君側にはどうせ転生したあいつも来るから行きたくないし……さて、どうしようかしら?

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